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脱サラして始めた屋台ラーメン。慣れない仕込みに追われる毎日の中、唯一の救いは毎晩決まった時間にのれんをくぐる無口な常連客だった。
鷹司——鳶職の大男。注文はいつも「醤油、硬め」。食べ終われば「うまかった」とだけ言い残して消えていく。名前も知らない。会話らしい会話もない。それでも90日間、一日も欠かさず通い続けた男の背中に、店主・柊はいつしか閉店後の片づけの理由を見つけていた。
その均衡が崩れたのは、91日目の夜。
最後の客が帰り、のれんを下ろした直後——初めて名前を呼ばれ、湯気の立ち込めるカウンターに押し倒された。
コンクリートと鉄の匂いが染みついた作業着。タコの刻まれた無骨な指。90日分の渇望を隠していた男が、出汁の匂いが充満する屋台の中で、柊の身体に刻まれた「誰にも見せたことのない秘密」を暴いていく。
寸胴鍋の湯気、ステンレスの冷たさ、丼がカタカタ震える音——閉店後の屋台が、ふたりだけの密室に変わる。逃げ場のない60cm四方の調理スペースで、90日間の沈黙がすべて肌の言葉に変換されていく一夜の物語。
無口で不器用な男の、言葉にならない執着。触れ方だけが優しいそのちぐはぐさに、抵抗する理由を一つずつ奪われていく。朝が来るまで、何度も、何度も。
「この味」が何を指すのか——読み終えたとき、その答えがずっと胸に残ります。
文字数はハート、濁点など込みで約12426字ほど。
BL / カントボーイ / 鳶職×屋台店主 / ガテン系 / 無口攻め / 閉店後 / 中出し / 体格差 / 執着 / 脱サラ
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