深淵探求さんのレビュー一覧
レビュアーランキング | 335位 | (役に立った数:296件) |
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投稿数ランキング | - | (総レビュー数:95件) |
2023年07月27日
個人的な好みなのですが、主題が何であれ世界観から入るエロは常に正義だと思います。この作品も世界観から入るスタンスが充実していて、僕個人の好みと相性がバッチリだったと言えますね。ただ、前作や前前作と比べてページの数が10ページほど少ないのが少し残念でした。値段は一緒なのに何でページは減ったのでしょう…。でも、それ以外は主役の女の子がどんな風に変化していくのか、それと工場の運営はどのように進んでいるのか色々想像を刺激する内容で、ある意味前作や前前作よりも世界観は充実していました。
もし機会があれば長編ものを出していただきたいです。これほど世界観が充実していれば充分可能なのでは、と思いますね。
エロ業界では大体良くも悪くも男女の交わりだけに集中しがちで世界観作りにはそこまで気を配らない傾向がありますが、本作はそんな業界の傾向など物ともせず、独特な世界観を立てた上で性の物語を綴っています。世界観がちゃんとしている作品自体が少数だけど、その少数の中でもほとんどの作品が「エロのための世界観」って印象が強いですが、本作は「世界観のためのエロ」って印象が強くて、世界観が整っている作品の中でもまた例外的な作品だって印象を受けました。
制作サークルのとっくり海月はシナリオ担当とイラスト担当の二人組なんですが、お二人とも元々クリエイティブ系のお仕事をなさっていたようで、作中のシナリオやイラストからも社会人出身の作家さん特有のセンスがあっちこっちに滲み出ています。ラノベ業界で社会人出身の丸○くがねさんが執筆した「オー○ーロード」から感じ取れる良い意味の異質感が本作にも出ていると言えば分かりやすいんでしょうかね?「オー○ーロード」がファンタジー小説なのに剣と魔法よりは政治とビジネススキルを中心に物語が綴られているように、本作も人間牧場ものでありながらメス牛のエロさ自体に焦点を当てるのではなく、人間牧場という施設とその施設の運営に焦点を当てています。その一環としてメス牛のことを語っているってスタンスですね。
世界観が充実している分、シナリオのクオリティーは当然高いのですが、イラストの方も身体の描写より心の描写に集中するスタイルで、エロい場面ではとことんエロく、エロくない場面ではキャラ自体にとことん集中できるように描かれています。ただ綺麗なだけの絵では感じられない「魂の籠ったエロ」が感じられますので僕はこういうスタイルが好みですね。
エロを求めすぎて逆にエロくなくなる作品も稀ではないこの業界では例外的に「エロをストレートに求めないから逆にもっとエロい」作品だと思います。ぜひ試してみてください。
2023年06月01日
まず言っておきたいことは良くても悪くても絵がうるさいということです。「ド直球彼氏x彼女」並みに絵がうるさくて勢いはすごいものの、その勢いを支えてくれる中身の方はお世辞でも充実しているとは言えません。何よりヒロインがどれだけ立派なヒーローだったかが余り描かれてなくて読者としては周りの人物たちの話でしかヒロインの元々の品性を推測できないのが一番目立った問題です。
だけど、物語が犠牲になっている分、本番の内容は充実しすぎているほど充実しています。元々の品性が分からない分、本番での馬鹿っぽさがはっきりしていて便女っぷりを差し引いても「如何にも脳筋だな」って感じが溢れていて面白く可笑しく楽しめる作品です。脳細胞が筋肉細胞に変換されすぎた残念な女が更に馬鹿になって一級品のオモチャになっていく姿は滑稽そのもので、こういう内容がお好みの方になら自信を以てお勧めできる作品です。ぜひ試してみてください。
2023年05月17日
個人的にゴブリンの巣穴 the Fableはゴブリンの巣穴シリーズの中で一番だと思っていますが、これまでプレイしながらも「これどうやって終わるんだ?」って疑問がずっとありました。このアップグレードデータが製作者さんからの答えです。納得の行く終わり方でしたし、僕としては何の文句もないさっぱりした終わり方だったと思います。
エロゲー特有の赤裸々な表現でエロではなく政治を語る傑作です。一般的に政治劇は、特に非エロ作品は表現の規制のせいで余りにも冷静に描かれる傾向がありますが、この作品は赤裸々な表現で政治の善悪がもたらす結果を何の躊躇なく徹底的に描くスタンスで、逆にとんでもなく熱い作品になりました。これほど熱い作品、僕は「天元突破グレンラガン」以外には知りませんね。その熱さ故に一般的な政治劇よりテーマが遥かにはっきりしていて、作品の方向性が揺らぐことなく最後まで暴政の恐ろしさと優秀なリーダーシップの必要性をプレイヤーに分からせてくれます。エロゲーだからできるクオリティーだけど、エロゲーだから教科書に載せることができないのが本当に残念な作品です。
ただテーマがはっきりしているだけではなく、物語としての深みも相当なもので、前作「King Exit」は主人公だけに物語が集中しすぎている感じがありましたが、本作では仲間一人一人にも主人公並みの深みの物語があります。しかもそのすべての物語が一つの大きな物語に収束するので、ストーリーのクオリティーは格段に前作より上がっています。ぶっちゃけ、どこかの有名なゲームシナリオライターさんが正体を伏せて出した作品ではないかと疑ってしまうくらいですね。マジで製作者さんって何者なのか前作から疑問が絶えません。前作も充分傑作だったのにさらに進化を遂げるなんて…しかも前作の未来の話ではなく前作の過去の話をここまで書けるとは…恐れ入ります、マジで。
子供がいれば子供が成人した後お勧めしたい傑作です。世の中の厳しさや人の人生がお互いにどう影響を与えていくのか、そして力関係を正確に理解して動くことがどれだけ重要なのかをこの作品だけでも充分教えられるほど出来の良い作品です。個人的には古典文学に負けない芸術性があると思います。赤裸々な表現に耐性がある方になら躊躇なくお勧めします。
値段が値段ですから余り期待はできないと思ってましたが、値段に比べれば結構やりこめる要素があるゲームでした。一々クリックするのが面倒ならただ放置しておくだけでもゲームは進みますので、テキストをもっとじっくり読みたい人も充分楽しめます。個人的にはこういうコンセプトのゲームをもっと本格的に作ったら結構良い作品が出るのではないかと思いますが、それは製作者の今後の創作活動に期待するしかありませんね。
世界観やプロットにはやや矛盾点があるものの、キャラ作りの腕で全て勢いで無視して感動をくれる作品です。欲を言えばもっと磨きをかけて地下監獄の警備システムとか、初見の時は不思議に思わなかったけどクリアしてみたら「あれ?あそこであんな反応おかしくないか?」って思う場面をいくつか修正して欲しいところなんですが、今のままでも物語としては十二分に楽しめます。いや、十二分というか、既に傑作の域に達しているのでぶっちゃけ僕が欲張りなだけかも知れません。
個人的に僕はこの作品に巡り合ったことを深く感謝しています。何故かと言うと、僕が個人的に思っていた「表現に比較的に制限がないエロ方面の作品こそ非エロ作品では描けない現実味のある絶望と恐怖を描ける」という持論を裏付けてくれたからです。今までDLsiteでいくつかそういう裏付けをしてくれる作品をいくつか見つけられたんですが、この作品ほどのクオリティーを誇る作品はありませんでした。その分、この作品は「冒険のあるエロゲー」というより「エロで絶望や恐怖を表現し、それに立ち向かう輝かしい希望を見せてくれるRPG」って感じで捉えた方が正確だと思います。
その証拠に、この作品では一人も無駄なキャラがございません。男女老若問わず全員がそれぞれの価値観を持っていて、みんなそれぞれの人生を歩んでいます。男性キャラクターはただエロいだけのゲームだと竿役でしかないことを考えるとこのゲームを「エロゲー」として分類するのは作品に失礼なんじゃないかと思うくらいですね。ぶっちゃけ絶望や恐怖、状況の厳しさを表現するためにエロが使われてるだけなので、そういう表現を全部カットしてしまえばただの非エロの冒険譚にしか見えません。全年齢版で出しても良いんじゃないかなと思います。それほど物語としてのクオリティーが高いです。
僕と似たような持論を持っている方々になら自信持ってお勧めできる傑作です。
2023年03月26日
まずゲームをやっていないとどういう状況なのか少し分からないと思います。どんな作品なのか把握できないほどではないですが、それでもやっぱり「どういうこと?」って自問自答を繰り返すことになるでしょう。ゲームをやっていても内容自体は主人公たちの日常みたいな感じなので物語的な進展はありません。一つの物語として出されたって言うより発売予定のDLCの予告とか宣伝とかの目的で出された作品だと思います。DLCの発売まで待てない人たちにはちょうど良い暇つぶしって感じですね。
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