深淵探求さんのレビュー一覧

動けないくノ一に性的快感を覚えさせる、ただそれだけでそれだけのための作品です。個人的には微妙なのですが、好みの方にはぐっと来るんじゃないでしょうか。シチュエーションがメインなのでストーリー的な要素はないと見てもいいです。僕は試しに買ってみたものの、自分の趣味には合わないなって実感させられただけでしたが。

「ブラック過ぎだろ!」って思いました。何より同じ女性でありながらも雇われた女の子たちを徹底的に搾取することに全く迷いのない助手の発言の一つ一つが怖いです。労働搾取が何故問題なのかを間接的に知ることができます。借金返済のために働きに来ただけなのに地獄を見てしまう女の子たちを見ていると「契約書を読まずにサインして酷い目に合った」という話が前よりも重く感じられます。脱出できない合法的な牢獄って感じです。そこらじゅうのホラーゲームよりもよっぽどホラーだと思います。

逆に言えばその分絶望とは何なのかをはっきり描写しているので、そういう描写に興味のある方にはお勧めできます。絶望と恐怖、弱者の惨めさが骨に染みるほど分かっちゃいます。

まず、僕はASMR自体この作品が初めてなので正確な評価ができないかも知れません。そんなど素人の僕でも分かるほど無料だとは思えないほどクオリティーが高いというのはすぐ分かりました。個人的に設定が余り好みではなかったのですが、クオリティー自体がすばらしかったので驚きながら聞きましたね。それと、こういう録音をスタジオで一人でされたであろう加藤英美里さんのプロらしさに脱帽せざるを得なくなりました。やはり声優はすごい。見習いたい。

キャラクターが二人追加されただけですが、追加された二人の中で特にアイシャが設定が興味深く、僕好みだったので買いました。まさか鬼畜神父が主人公のこのゲームに異教徒がヒロインとして出るとは全く予想できませんでした。設定も話も悪くなかったし、新ヒロインの二人とも頭が回るタイプの成熟した女性なので個人的に本当に気に入ったパッチでした。

「ゴブリンの巣穴」のファンなので買ってみたんですが結論から言えば少しがっかりでした。設定だけは「ゴブリンの巣穴」よりも僕の好みだったので期待していたんですが、その設定を充分に生かしておらずシステムの出来も余り良くなかったのでスムーズに攻略することができなかったです。ネットで攻略を探して何とかやりましたけど、やった所で余り達成感がなかったですね。

キャラクターメインのゲームなのに都市建設要素が入っているのも微妙でした。ヒロインたちを攻略するために都市を経営するのではなく都市を経営するためにヒロインたちを攻略するような感じになっていくのを感じます。デザイン的にこれは失敗なんじゃないかと思いますね。

それと、僕は個人的に政治的な話も大好きなのでもっと政治的な話が出てきた欲しかったのですが、そういう要素がほとんどなかったです。ゲームのストーリーに政治要素を組み込むこと自体がかなり難しいことですから多分製作者さんもそう感じて「ゴブリンの巣穴」の主人公を知性のないゴブリンにしたのかも知れません。「バージン・ロード」は「ゴブリンの巣穴」が出る前に作られたいわば試行錯誤的な作品ですからシステムもストーリーも劣るのが当たり前なのかもですね。

全エンディング見ました。大変だったんですけど、やはり存在している色んな童話をモチーフにしたお陰か、キャラ作りが今までの「ゴブリンの巣穴」の中で一番良いって感じました。前までは余りにも萌え要素に頼りっぱなしって気がしていたんですけど、本作ではもっとキャラクターのバリエーションが増えていて萌え要素にそこまで頼らないって感じでした。

システム的にも前まではヒロインたちが「仕上がった」後は用済みになる問題があったんですが、本作ではヒロインたちが仕上がった後も巣穴の強化に貢献できる要素を組み込んでいるのでヒロインたちの「賞味期限」がもっと長いです。

前作のゴブリン軍団をそのまま引き継ぐのはできないんですが、アイテムは引き継げるので前作で相当な量の食べ物を蓄えていた場合は簡単にゴブリンたちの育成ができるので妥当な引き継ぎシステムではないかと思います。前作では確かその前の作品から連れてきたゴブリン軍団が強すぎてゲームが簡単すぎる問題がありましたからね。

個人的にも前作は前前作に比べてボリュームが大きくなっただけでそこまで改善されたってことを実感できなかったんですが、本作は確実に前前作よりも前作よりも改善されています。個人的に「ゴブリンの巣穴」シリーズの中でこの作品が一番だと感じます。自分の中で前前作が本作より良いのはエンディングくらいで、その他の要素では全部本作が圧勝しているくらいです。

よって、「ゴブリンの巣穴」のファンなら必ず手に取るべき一作だと思います。キャラクターの出来もシステムの出来も断然シリーズで一番です。

このパッチで追加される女性二人は砂漠の国の出身という設定のせいかどっちも自分なりのやり方で男性に尽くすタイプの美女です。険しい環境で咲く二輪の花ごとく二人とも世の厳しさを直視した上で愛を育もうとする人物なので何の不自由もなく愛を求められる立場の女性よりも深みがある姿が見れます。個人的にただ可愛いだけのヒロインよりこういうタフな面があるヒロインの方が好みなのでキャラ作りに相当力を入れたなと感じました。

もし僕のようにただ可愛いだけの萌えキャラよりタフな精神を持っているヒロインの方が好きであれば自信を以てお勧めできます。

絶望の描写に関しては非エロとエロを問わずに僕の知る創作品の中では断然トップです。ゲーム性には少々疑問があるものの、世界観とストーリーの構造が興味深いです。個人的にエロに関しては微妙でした。ストーリーが余りにも絶望に満ちていて、エロスを感じたくても感じられなかったです。製作者さんはストレスフリーでオナニーフレンドリーを目指して作ったと仰いましたけど、凄惨なストーリーのせいで僕は結構ストレスは感じてもエロスを感じることはなかったですね。

製作者さんの趣旨とは異なる解釈でしょうけど、僕はこのゲームの醍醐味は底知れない絶望の表現にあると思います。「淫界」という名称通り、このゲームの世界観は徹底的に主人公たちを絶望に陥れに来ます。これほど徹底的に主人公たちを打ちのめしに来るのは今まで見たことがないくらいです。あらゆる少年漫画の魔王たちが見習っていいくらい徹底的に主人公たちを責めます。その分、ヒロインが打ちのめされるのも充分理解できる展開なので、どのエンディングにたどり着いても納得せざるを得ないです。

個人的にエロ作品は非エロ作品では取り上げられないレベルの絶望や恐怖を表現できるところが一番の長所だと思うので、僕の似たような観点をお持ちの方になら迷わずお勧めできます。ただし、ゲーム性はほとんどないです。世界観やストーリーは興味深いものの、操作や計算が必要な要素がほぼ皆無なのでゲーム性をお求めの方にはお勧めできません。

ゲーム性自体は簡単ですが、世界観がかなり面白い作品です。

最初からこのゲームは作中で売春ビジネスが厳しく規制されている非合法ビジネスであることをはっきりしながら始まります。助手のサヨコ曰く、「ウラレタウン協会が関わっている売春ビジネスのみが生き残っている状態」だそうですが、残念ながら作中で警察が現れたり司法機関が介入したりする場面は一切ありません。結構面白い話になりそうなのにいまだに不思議です。

形ばかりの「非合法」ビジネスですが、面白いのはその非合法ビジネスを経営している言わば犯罪者たちがお互いとどう付き合っていてどうやって「ウラレタウン協会」を運営しているのかが分かるシーンが多いことです。特に毎年開催される協会の集まりでは授賞式まで開いちゃって、拉致されて売春させられただけの女性たちを勝手に品評したり成績でランク付けして勝手に賞を与えたりするところが完全に被害者を心理的に口封じさせる手口を分かっている感がぷんぷんします。「お花持たせたから文句言うな」って感じですね。当然受賞する女性はほぼ毎年変わっていくのでいかにも「売春娘はただの消耗品」って感じです。まさに犯罪者たちのやりそうなことです。もっと他の経営者たちとの交流ができればよかったと思いますが、この世界観に関しては助手のサヨコの説明と文章だけなのでものすごく残念です。

経営SLGとしては手は込んでいても破産したり失敗しそうな要素がほぼないので気楽にプレーできます。所々で助手のサヨコが支配する者としての「カリスマ」を口にするのを見ると、多分製作者の方は「非合法ビジネスをやっていても捕まる心配がなく、多数の人間を支配し搾取できる立場」を演出したかったんじゃないでしょうか?この「カリスマ」というキーワードは作中でかなり強調されていて色々考えさせる文章も多数ありました。

こういう世界観に興味を持っている方にならお勧めできます。

面白いです。

この手のゲームは大体売春から始まる傾向が強いんですが、このゲームの場合は「モンスター製造工場」から始まって娼館で固定収入を狙うという形を取っています。タイトルが似ている「Black Market」とは一見似たようなゲームに思えるんですけど最後までやってみると細かい表現と製作者の趣向がかなり異なると感じました。

まず全体的な雰囲気も「Black Market」は鬼畜経営者と鬼畜なお客さんたちに囲まれて女性たちが徹底的に玩具にされて底知れない絶望に落とされていくって感覚が強かったのですが、「モンスターブラックマーケット」はほのぼのなサウンドも相まって全体的な雰囲気は「不穏な仕事で平穏な日常を保っていく」感じのちょうど良い具合で明るい雰囲気を維持しています。

それに「Black Market」の場合、システム的に最終的にはお客さんたちに性的快楽を提供するのではなく単に物理的暴力を振るえる機会を売るって感じの娼館とは名ばかりの奇妙な施設に発展していくのですが、「モンスターブラックマーケット」は最後まで娼館としてアイデンティティーを失わず性の快楽だけをお客さんに提供します。女性たちにも「モンスターブラックマーケット」の方が大分優しい環境と感じられます。

モンスターとの交尾においても、「Black Market」では底知れない未知のモンスターが一種だけ現れて女性たちを孕ませるのではなく破壊していく感じに演出されましたが、「モンスターブラックマーケット」ではどのモンスターも女性を孕ませて仔を生ませることが目的なので殺すつもりで襲ったりはしません。調子に乗って体力ギリギリの女性をうっかり過労死させることはあるのですが。

全体的に「Black Market」の底知れない絶望と恐怖を再調整した、不穏な仕事と平穏な日常の奇妙なバランスを楽しめるゲームだと思います。お勧めします。