深淵探求さんのレビュー一覧
レビュアーランキング | 599位 | (役に立った数:212件) |
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投稿数ランキング | - | (総レビュー数:93件) |
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2024年04月29日
終始一貫、タイトル通りの、そして作品紹介通りの内容です。狼少女は自分が望む相手との未来を守るため抵抗の意志を示し続けるのですが、余りにも無力な立場であるが故に何もできず自分勝手な調教師たちに躾けられ続けます。余りにも理不尽で、余りにも非力な状況で何とか精神だけは保とうとするものの、それも徐々に限界を迎えます。読んでいると調教師たちが勝手に狼少女の生態について決めつけたりして狼少女の尊厳までも蹂躙されるところが何というか...かなり現実味があります。現実でも立場の弱い人って上の者の評価通りの人間だと決めつけられがちですから。色んな意味でゾッとさせられる作品でした。
内容自体はストレートだし、作画はさっぱりしてるし、購入して損する作品ではありません。ヒロインも絶望してもおかしくない状況でもかなり粘るので色々好感が持てるタイプです。ただ、その分、即落ち展開などを期待している方にはお勧めできません。本作のヒロインはかなり精神力が強いタイプなので、似たようなジャンルの作品のヒロインたちのようにすぐ堕ちる展開を望む方々はガッカリするかもです。もちろん、強いヒロインをお求めの方々にはお勧めできます。
本作はターゲット層がはっきりしている作品です。自己肯定感が平均以下だけど、社会人としての道徳観念は強い、でもそのせいで自分の欲望に素直になれない全国の真面目陰キャ女子たちがそれです。後はそういう人物像に女子力の高い身体を与えてヒロインを作り、またそういうヒロインを高く評価してくれてセックスも上手くて業務能力も高い先輩を相手役としてくっ付けます。すると、じゃじゃじゃーん! 真面目陰キャ女子の夢が何でも叶っちゃう世界線の完成です!
物語的にも起承転結が整っていて基本に忠実な物語だと感じました。ヒロインがグラビアアイドル級のプロポーションを持っているのにも関わらず陰キャすぎるところが時々気に障ったりはしましたが、ヒロインが物語を引っ張る力に欠けている分、パートナーであるヒロインの先輩が力強く物語を引っ張ってくれるので許容範囲内でした。ヒロインも作品も、色々とパートナー役の男性キャラの度量に救われてます。
性愛描写も女子が夢見るシチュを的確に狙った内容でした。片思いの相手に自分の身体の価値を認められた上で欲情の対象になり、優しく、だけど力強く貪られるのは少し性欲の強い女子なら誰でも夢見る最高の性愛経験じゃないでしょうか。マゾっ気があるなら尚更のことです。それでいて、アフターケアも完璧。やり捨てなんて野蛮な仕打ちは以ての外。女子の夢見る理想の性経験に、理想の恋人像だと言えます。
ただ...そうですね。男性キャラクターをSだと評価するにはちょっと行為内容が温いってところがありますね。便宜上二人の関係をSMカップルとは言っているものの、それはあくまでも二人の人格的な相性の話で、性行為の内容の話じゃありません。その点、相手役はSと言うより「男前」と言った方がもっとしっくり来る性格をしてます。責任感強いけど、良い「女」には強い所有欲を見せる、的な性格だと言えば分かりやすいでしょうかね。
前作は二人の馴れ初めが主題でしたが、本作は恋仲の維持が主題となっています。その分、真面目陰キャ女子であるヒロインの負のエネルギーが物語を引っ張っていて、前作で相手役が物語を引っ張っていたこととは真逆の構成になっています。そのせいで前作は全体的に希望的な描写と展開になっていましたが、本作は絶望までは行かないものの、かなり背徳的な雰囲気の作品になりました。ただ、この場合「背徳」と言うのは二人がお互いのことを「男女」としてではなく「雄と雌」として求め合い始めると言う意味であって、結果的に二人の関係は大きく進展します。要するに、もっと露骨的にイチャつくってことです。
前作では少なからず二人の間にあった「社会人としての規範」がどんどん薄くなって二人が個人と個人として、雄と雌として向き合うことでお互いとの距離がどんどん縮まっていく様を見ていると「この二人、もうちょっとで家庭作りそうだな」って雰囲気を読み取れます。二人の男女が社会的規範を超越して一つに結ばれた瞬間家庭が生まれるんですから、こういう展開は極めて自然の摂理に沿った内容だと思います。その分、作品全体から野性の感覚が感じ取れます。
サラリーマンだらけの現代ものなのに、野蛮になることなく、純粋だと言って良いほど野性的になっていく二人の関係は、ある意味男女の交わりの本来あるべき姿を表しているとも言えます。脇役の方々もスーツ着ているだけで挙動はかなり動物じみてます(草)。
性愛描写と行為内容は二人がお互いの性癖をより深く理解したことによって前作よりはハードになっています。さすがに男性向けのエロ漫画みたいに「暴力的なまでにハード」にはなっていないしなって欲しくもないんですが、そこそこハードな男性向け作品に負けないほどハードです。つまり、女性向け作品の中だと上の中くらいはハードってことです。マゾ性癖がない方はちょっとビックリするかもです。
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素晴らしい題材を素晴らしい絵柄で描き上げた作品です。内容は作品紹介に書いてあるそのままですので内容に関しては省いて早速レビューに入らせていただきます。
この作品は良い意味でも悪い意味でも極めてペースが速い作品です。28ページに詰め込めるギリギリの情報量を詰め込んでいるので、登場人物たちの今までの事情を取り上げる冒頭ではサクサク進められて助かるものの、現時点の話になると話の展開が早すぎる節がありました。
もっと過去回想とか入れてもよさそうな場面でもただ話を進めることだけに集中していて「あ、ここもっと細かく描写したらもっと良い話になるんじゃない?」って思うところが多かったです。テンポが速いのは確かに漫画としては長所ではあるものの、この作品の場合、題材のポテンシャルが高すぎてむしろもっと面白くなれる内容を作家さんが自らの手で削ぎ落している感がありましたね。
その結果、自分的には題材のポテンシャルを半分くらいしか生かしてないって感じました。残りの半分も登場人物たちの過去と現在時点で取り上げられただろう物語の話であって、登場人物たちの未来の話は除外した上での推測値です。ぶっちゃけ、この作品の題材はもっと掘り下げて単行本にしても良い題材だと思います。ただの読者の自分から見ても色々と続編を描けるネタが沢山詰まっている物語なので是非続編を出してほしいです。
ネタバレ無しで例を挙げさせてもらうと、女師匠が淫紋調教された経緯、当時弟子はどこで何をしていたのか、女師匠以外に淫紋調教された女性は存在しているのか、存在しているなら彼女たちはどう生活しているのか、弟子は他の被害者たちに接触を試みたりはしなかったのか、女師匠の戦士としての評判は淫紋調教の後どう変化していたのか、女師匠が女であるにも関わらず戦士を目指した理由は何なのか等々... どれも魅力的すぎるネタばかりです。
是非! 続編を出してもらいたいものです
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主人公の綾瀬千草は残念すぎる頭と残念すぎる学力のせいで親に見限られた可哀そうな女の子です。かと言って勉強以外に真っ当な人生を生きられそうな才能を持っている訳でもなくて自分にも自信が持てず、真っ暗な未来がほぼ確定している子でした。そんな彼女にある才能はただ一つ、痴女としての才能だけ。本作は彼女がその才能を謎の魔法生物ニュウルに見抜かれたことを切っ掛けに魔法少女になって魔法の力で己のメスとしての才能を磨いて明るい未来を掴んでいく物語です。
僕は魔法少女物は非エロだろうがエロだろうが余り好きじゃなかったんですが、この作品は魔法少女というテーマを本当に手際良く活用してエロ面白い話になっています。この作品を切っ掛けに他の魔法少女物にも挑戦して見ようかと思うくらいです。少々惜しい所があるとすればイベント数に比べて立ち絵のバリエーションが圧倒的に足りないということです。同じ立ち絵が別々のイベントに使い回されていることが多く、足りない立ち絵のバリエーションを演出と文章力で誤魔化しているって感じですね。これさえ何とか解決できれば本当に非の打ちどころのない作品なんですが…惜しいとしか言いようがありません。
それと作品紹介のサムネに書いてある通り、本作の主人公はバッドエンドになっても余り酷い目には合いません。本作でのバッドエンドは「魔法少女」としてのバッドエンドであって主人公のバッドエンドではないんです。要するに限りなく主人公に、特に「痴女」としての主人公に優しい世界という訳です。ハードな作品を好む方にとってはこれも惜しいと思うところかも知れませんね。僕としてはどのバッドエンドも納得の行く展開だったのでどれも良かったです。
あと、このゲーム、エロゲのくせに戦闘が本当によく作り込まれています。途中からは戦闘の方がエロより楽しみだったほどに。結構考えさせられるので戦略組むのが好きな方には特にお勧めです。
欲張りな女の子が磨き上げた女子力を武器に暴れ回った結果、弄ばれた彼氏たちに制裁を受ける話です。でも制裁と言っても彼氏たちがお人好しばかりで現実的な怒り方はして来ません。こういうところは流石に女性向け作品だと言うべきでしょうか。明らかにヒロインが悪いのに、男たちはただヒロインを「恋人」から「玩具」に格を落とすだけで、それ以上は何の制裁もして来ません。
ビンタとかお尻叩きとか拘束プレイとか放置プレイとか手軽い暴力から軽く尊厳破壊を試みるプレイまで色々できただろうに、少し物足りなさを感じずにはいられませんでした。まぁ...正義の鉄槌だろうが悪逆非道な横暴だろうが武力を振るう男性は大体女性向け作品より少年漫画のような男性向け作品で主に取り上げられる傾向がありますから納得できなくはないんですが、やはりブチギレるべき場面でも誰一人ヒロインに手を上げないのはおかしいと思います。男性の物理的暴力に本能的な恐怖を感じる女性が圧倒的に多いからって理由ならハードなSMみたいな感じで「性的虐待」を演出すれば良かったんじゃないかとも思います。
男三人が暴力の代わりにヒロインの身体を性処理に使いながら言葉責めに集中しているところを見ると、男性キャラクターたちが少女漫画によく出てくる「身体は男だけど心は女」ってタイプのキャラクターたちにまで思えてきました。怒った時主に言葉で攻撃するのは女性の戦法ですしね。
こういう風に男三人の「制裁」がちょっと生温いって感じでしたが、ヒロインが豆腐メンタルなのでそういう攻めでも充分パニックに陥ってくれてちゃんと「お仕置きされてる」感は出てました。男たちのキャラ作りが惜しかったけどそれ以外は満点です。ヒロインの浮気の動機も現実にありがちだったので読み応えがありました。男性キャラのキャラ作りに目を瞑れる方になら自信持ってお勧めします。
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2024年03月23日
本編のゲーム内容とストーリー、そしてキャラデザが気に入った方なら嬉しいDLCになっています。DLCの内容自体は短めですが、難易度は高めなので、悩みながらやれば安い値段にしては結構楽しめます。個人的にはキョンシーの娘が好みでした。キョンシーとドラゴン娘、それぞれが狙ってくる性癖が結構違うんで両方とも守備範囲外になることは多分ないと思います。
レビュアーが選んだジャンル
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2024年03月23日
キャラデザと物語の構造は素晴らしいと思います。色々とポテンシャルがあって相当な人気作を作れる作り具合のストーリーです。だが、肝心なゲーム内容は少々物足りません。前作の遊女に関するゲームもそうでしたが、キャラデザと設定、そしてシナリオの構造は素晴らしいけどゲームの内容を構築するのはどうやら製作者さんが少し苦手に感じている要素みたいです。逆にゲームの内容を作るのが上手い人と共同作業を行えばどれほど素晴らしい物が出るのか楽しみになったりもしますが、本作に限って言えばやはりゲームの内容から感じる物足りなさが目立ちます。
キャラデザは見ての通り完璧だし、ストーリーも主人公の鬼娘ちゃんと勇者君が本当面白いキャラたちなので色々と楽しめます。ゲームの内容の物足りなさに目を瞑ってストーリーと美しいキャラデザを存分に楽しめる方々になら躊躇なくお勧めします。
レビュアーが選んだジャンル
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女性向けの創作物は大体恋愛を前提にするか恋愛の前哨戦みたいな設定を取ることが多いんですが、本作はドライな契約関係を前提にしている類稀な作品です。強いて言うなら女性たちの執事ファンタジーを現代風に解釈した作品だと言えますかね?女性向けはエロも非エロも恋愛と結婚が中心の作品が大多数なので男性向けより素材が被りやすいんですが、かなり稀で独特な設定の女性向け作品でしたので購入させていただきました。
男性主人公はやはり女性向け作品なので「外見だけ男子、中身は女子」って気が拭えないんですが、女性のファンタジーによく出てくる理想的な爽やか系男子を忠実に再現しています。膣トレーナーという立場も相まってまるで「初恋の先生」みたいな雰囲気を漂わせます。教師と学生の恋にロマンを感じる方々には結構刺さるんじゃないでしょうか。
色々と独特で興味深い作品です。素材が被りまくる女性向け作品らに飽き始めている方には良い刺激なんじゃないでしょうか?自信持ってお勧めします。
レビュアーが選んだジャンル
前作は女性の性的ファンタジーに徹底した内容でしたが、本作は物語の設定の上でそれぞれの人物たちの心情描写がメインの純愛作品になっています。かと言ってエロで手を抜いている訳ではないんですが、エロは本当にただ純愛のための手段でしかなく描かれています。ぶっちゃけエロを取り除いてドラマ化しても大差ないんじゃないって思えるくらいですね。その分前作とは展開の趣旨が大きく異なります。
非エロ少女漫画特有の込み入った心情描写と感情の変化による展開を好む方々になら自信もってお勧めできる作品です。