レビューを報告する(情報入力)

  • 1. 情報入力
  • 2. 報告完了

このレビューを掲載しないほうがよいとお考えの場合は、理由をご入力の上、[報告する]ボタンをクリックしてください。この報告は、レビューの削除をお約束するものではありません。内容によっては、削除されない場合もございますのであらかじめご了承ください

「アヤシイお店の店主様!」 へのレビュー

    • おさなごを引き取り、育て、妻にする話と言えば、「源氏物語」の光源氏と「とはずがたり」の後深草院が二大双璧と思っている。当時の「もののあはれ」で雅なマイフェアレディ計画かもしれないが、現代人の私としては「オイオイ、なんでやねん」と突っ込みを入れたくなる御二方だ。

      本作の主人公、淫蕩の神・店主様の物語も「引き取り育てて妻にする」という流れではある。しかし先の御二方の「妻にする」は「イケイケドンドンな既定路線」。店主様のそれは常に変化と揺れを伴い、現代の、R18世界線の「もののあはれ」を浮かび上がらせ一線を画す。

      凄味を見せつつコミカルに、時には聖なる者や妖の様な者として、父性と母性を綯い交ぜにしながら【私】の手をとる店主様。
      気まぐれで始めた疑似親子関係。距離感と愛情の絶妙な変化。神らしい大きな慈しみと無邪気さ。人の親として振る舞おうとする意地。芽生える感情への戸惑い。嫉妬と寂しさに抗う姿。経験豊かな性の導き手として【私】を包み込む気遣い。
      様々な表情を見せながらも本心は見せない、店主様の綺羅な存在に私もすっかり籠絡されてしまった。

      また回想Tr以降は、ジワリとした涙が途切れなかった。
      店主様にとって【私】との時間は、ほんの一瞬。どんなに愛おしくても別れは直ぐそこだ。神と人の隔てで子を成すこともない。
      それでも【私】を唯一と選んだ。
      【私】も、店主様に人の子としての精一杯を捧げる。
      単なる情欲以上の神聖な繋がりに心が温かくなった。

      物語の設定もイラストも、シナリオの言葉選びもひらめさんの節回しも、全てが個性的。作品紹介やサンプルだけでは迷う方もいるかもしれない。
      でも店主様風に言えば「まあ騙されたと思って聴いてみな」だw
      特にTr09。【私】を抱けなくなるほどの愛に逡巡する店主様の純情と、散々放蕩し尽くした神の、悪ぶった照れ隠しと純愛は至極だ。
      聴けばKO間違い無しのオススメの1作を是非!
  • 理由必須
    0 / 1500