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「アヤシイお店の店主様!」 へのレビュー

オススメ! 油断した…物語の美しさに、脳髄が蕩かされ涙が止まらない

2024年01月09日   Chiyo+ さん

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おさなごを引き取り、育て、妻にする話と言えば、「源氏物語」の光源氏と「とはずがたり」の後深草院が二大双璧と思っている。当時の「もののあはれ」で雅なマイフェアレディ計画かもしれないが、現代人の私としては「オイオイ、なんでやねん」と突っ込みを入れたくなる御二方だ。

本作の主人公、淫蕩の神・店主様の物語も「引き取り育てて妻にする」という流れではある。しかし先の御二方の「妻にする」は「イケイケドンドンな既定路線」。店主様のそれは常に変化と揺れを伴い、現代の、R18世界線の「もののあはれ」を浮かび上がらせ一線を画す。

凄味を見せつつコミカルに、時には聖なる者や妖の様な者として、父性と母性を綯い交ぜにしながら【私】の手をとる店主様。
気まぐれで始めた疑似親子関係。距離感と愛情の絶妙な変化。神らしい大きな慈しみと無邪気さ。人の親として振る舞おうとする意地。芽生える感情への戸惑い。嫉妬と寂しさに抗う姿。経験豊かな性の導き手として【私】を包み込む気遣い。
様々な表情を見せながらも本心は見せない、店主様の綺羅な存在に私もすっかり籠絡されてしまった。

また回想Tr以降は、ジワリとした涙が途切れなかった。
店主様にとって【私】との時間は、ほんの一瞬。どんなに愛おしくても別れは直ぐそこだ。神と人の隔てで子を成すこともない。
それでも【私】を唯一と選んだ。
【私】も、店主様に人の子としての精一杯を捧げる。
単なる情欲以上の神聖な繋がりに心が温かくなった。

物語の設定もイラストも、シナリオの言葉選びもひらめさんの節回しも、全てが個性的。作品紹介やサンプルだけでは迷う方もいるかもしれない。
でも店主様風に言えば「まあ騙されたと思って聴いてみな」だw
特にTr09。【私】を抱けなくなるほどの愛に逡巡する店主様の純情と、散々放蕩し尽くした神の、悪ぶった照れ隠しと純愛は至極だ。
聴けばKO間違い無しのオススメの1作を是非!

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