失楽亭さんのレビュー一覧
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長年、森の奥で二人きりで生活してきた兄妹。
或る日、吸血鬼の兄は衝動的に妹の血を求め、尚且つ彼女の膣内に射精する。
未だ、二人ともその行為の深い意味は御互い良く解っていないだろう。
兄妹の互いの口内で混じり合う唾液、妹の血を啜る兄、兄の精液を膣内で受け止める妹、そこには相姦であり相関でもある関係が紛れも無くある筈である。
妹には生殖能力が無いので、兄の精液はやがて赤味を帯び、体内を駆け巡る事になる。
兄は未だ行為に罪悪感を抱いている。ただ、もしかすると、やがては自分が妹に与えてやれる事は、こういうことでしか無いということに気付くかも知れない。
続編があるようなので、これ以上、断定的な事を書くのは止め様と思う。
主人公は所謂、田舎秀才で性格は内気であり、尚且つ傲慢でもある。やや変態気味な性癖もある。
東京の有名大学に合格し、大学院まで進学した頃が人生の絶頂期であった。
司法試験に何度も落第し、アルバイトさえ上手くいかず、文字通り都落ちした。元より故郷に愛着など無い。他に行く所がないから帰郷しただけである。
故郷で見かけた学生時代の初恋の女性とその娘。娘の方がヒロインである。
事故によって数日間の避難生活にして性活を送らざるを得なくなった。
これだけなら割と良く見かける設定の作品である。
しかし、この作品が特異なのは、主人公とヒロインの情交が単に快楽堕ちした所で終わるのではなく、正にその先を描いた点にある。
もう数日が過ぎ、体力気力が衰え、絶望しか残っていない中での何度目かの情交の中で、ヒロインは主人公との対面座位での接吻の時、舌を絡み合わせる。生命力が尽きかける時に御互いの舌の温かさを確かめ合い、唾液を混じり合わせる。この刹那、確かに単なる快楽堕ちではない、原初的とも言える男女の交わりが確かにあった。そして、それがまさしく刹那でしか無い事も、後には主人公の排泄行為に等しいヒロインに対する欲望の射出しか無かった事も描かれている。
主人公とヒロインのそれぞれの末路の描き方にも感心させられた。
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第一話で出てきた、主人公の少年の悪友が再登場する。
まさに悪友と言うべき存在で、主人公を「目覚め」させたのも彼の存在あっての事。彼が居なければ、こんな事にはならなかった筈である。
人間的には善人そのもので、友達想いなのだが、やはり悪友というべきである。
この後の話の展開に彼がどう関わってくるかが、期待される所である。
前回の表紙絵に比べると、ヒロインが自分の中の女を意識した様子が伺える。
ヒロインの過去絵が少し差挟まれている。その一コマを見ただけで、過去の男関係での苦労が察せられる。
ヒロインにとっては、ある時期から性欲は処理せざるを得ないもの、という認識が根付いていた。
しかし、主人公の少年との交接をかさねるうちにその認識が徐々に崩れるのを自覚せざるを得なくなってくるだろう。
設定だけ見ると、およそ現実の現代日本ではありそうもない関係である。
となれば、観るべきは、「お話」として「契約」で出会った男女がどう二人の関係を結び、育み、築き、「成果」を上げていくかという点にある。
主人公もヒロインも殆ど出ない近隣の人々も皆善良な人ばかりである。
だから安心して観ていられる。
今作のキャラクター・イラストは、ねむのや氏である。
お得意(?)の「濡れ透け」描写がこの作品でも観られる。
そのせいであろうか、ふと思ったのだが、ねむのや氏の名作『濡れ透けJ○』シリーズのヒロインが、もしあのバス停での「事件」が無く、そのまま成長したら(といっても、今作のヒロインも成人に達したかどうか位の年齢であるが)、こういう運命を辿っていたかも知れない気がした。
こういう評価の仕方は作者の方々にとっては不本意であるかもしれないが。
ヒロインの衣装の変化、様々な体位、様々な状況下での交接、二人を囲む風景、全て丁寧に描かれている。
是非とも多くの人に観て欲しい作品である。
望まない妊娠への恐怖から解放されたのもつかの間、更なる凌辱がヒロインに対して行われる。今度は複数の男との望まない性行為、即ち輪姦である。しかも生理中の行為のため。流血描写が生々しく描かれる。
正直、性的興奮よりも痛々しさが先に立つのだが、最後の場面は微かではあるがなにがしか救いを感じさせるものがある(勿論、ヒロインへのこれからも凌辱は続くのだが)。そこに作者のヒロインに対する労りを感じ取るのは私だけかもしれないが。
一人の少女が、凌辱によって処女喪失する。
明るく快活だが、恋愛には奥手で、性行為に対しては、今時の子らしい知識はあっても、自分が体験するのはまだ先だと思っていた様な、そんな少女が想像すらしなかったような形で、粗暴な男の一方的な性欲の捌け口にされる。そこに快楽は存在しない。絶望しか抱けない少女の心情が良く描き出されていると思う。
最初の方を見ると、一見ヒロインが助かったように見えるのですが、実は助けた様に見えた男が実は・・・、ということになっており、そこからの展開が巧みに描かれています。
正直言って、ヒロインが可哀想になってくるのですが、作者がヒロインを貶める様な描き方をしていないのが良い。この年頃の少女の不安定な心情を、つまり臆病な所と気丈であろうとする所を余す所なく描いている。
この先、救いがあるのかないのかは解りませんが、安直な結末に至る事だけは無い、と思えます。
思春期男子にありがちな見栄から、ついてしまった嘘から始まる物語。
ただ今回は一人も悪人は出て来ません。
ヒロインは純情というか、直情的に物事を進める女性の様です。もっとも彼女なりの思慮があるとは言えます。
男子の方も、あそこまでの事をされると、確かに歯止めは効かないでしょう。そして、そのことに依って虚飾は剥ぎ取られる事になります。
結果として、二人だけの「秘密」を共有する事になります。
性的に結ばれた所で終わるのではなく、そこから新たな関係が始まるのが、前作と共通する部分と言えるでしょう。
人によっては、過激な性行為が観られないので、物足りなく感じるかもしれませんが、両者の性的興奮の昂揚が丁寧に描かれているのは矢張り本作品の見所であると言えるでしょう。