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「おもいでせっくす」 へのレビュー

オススメ! 言ってもどうにもならない、それでも言わずにいられなかった言葉

2021年11月22日   失楽亭 さん

このレビューは参考になった x 2人

兄は卒業して二年経ち、今は妹が通う母校の文化祭を訪れる。
そこで兄は如何にも「恩師」といった風格の教師に再会し、久闊を叙す(序でに書いておくと、このシリーズで中年以上の男性キャラクターの容姿が描かれるのは、これが初めてではあるまいか)。
妹の友人関係も良好のようだ。しかし、周囲が明るければ明るい程、自分たち兄妹二人の関係の暗部が気に掛かる。
道ならぬ関係に至った事自体に自身は悔いが無くても、他人を巻き込んだ事には蟠りがある。その人があらゆる意味で最愛の人なら尚更である。
文化祭名物の「告白イベント」、それを観た時、兄は妹には決して体験出来ない「イベント」である事を痛感させられる。
兄は妹に「好き」ですと「告白」する。
其の「告白」は妹を泣かせる事になる。今更言っても、何も変わらない、「嘘」にしかならないというだけではない。妹は、兄が其の「嘘」の「想い出」すら持ち得なかった事を何とは無しに感じとってしまったのだ。
妹に出来るのは、兄が嘗て通っていた学校の制服を着た儘、交わって見せる事、それしか無かった。
道ならぬ関係に至らなければ、この兄妹に「普通」の関係は在り得たのか。
多分無かっただろう。そうは言っても、まだこれからもこの二人に何らかの形で試練は続く。妹の前向きさが救いである。
こういう場合、女性の方が強いのである。抱えるものが多い男性は得てして心弱くなるのである。

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