一陣の光さんのレビュー一覧

疑似兄、疑似母、疑似父、疑似妹、疑似飼い犬
という、キャラ立ちまくりな登場人物の、お金
で繋がる・家族関係を描いた、”遠山えま”先生
表題作・四コマの一巻目。
そのルックスからは想像できない、意外に苦労
人な”ミエ子”は、クラスメート男子”只野夢翼”
(ただのむよく)と、疑似・兄妹を演じることに。
疑似父”新人”、疑似母”色華”、疑似飼い犬との
そこはかとなく、微妙な関係を詳細に描いてい
ました。
読んでいて感じたのは、更に、際立ったキャラ
なクラスメート女子”衣々子”の存在。やんわり
と”ミエ子”をたしなめる姿は、作者”遠山えま”
先生の作品内・分身なのかな、と、感じました。
これから、明かされてゆくであろう”只野夢翼”
の、疑似家族を望む理由、が気になる、一巻目。

多彩な登場人物達が”裕貴”を支えている、という
印象を抱く”西岡さち”先生、表題作の二巻目。
東京から、はるばるやって来た”みう”、少し頼り
ない教員”赤松武彦”など、登場人物が多彩になり、
様々な展開が盛り込める様な構成になった、とい
う感じで、ほのぼのとした作品の空気感はそのま
まに、コミカル色が増量したので読み心地が一層、
軽快になりました。相手のことを思いやり、大切
にする”裕貴”ゆえ、周りに人が集まってくる、と、
いう点を、濃厚に表現している感想を、読んでい
て持ちました。
ほのぼのとした読み心地と読後感が味わえる一冊。

お互いを思いやる優しさを、強く感じさせる
展開が心に残る”西岡さち”先生、表題作の四
コマ漫画・一巻目。
両親の離婚により、生活する環境が無くなっ
てしまった”裕貴”。田舎で、独り暮らしをし
ている”トミ江・ばあちゃん”の元に移り住み、
他の人には見えない”ざわ子(座敷童子)”との
出会いから・・・なストーリー。
読んでいて印象的だったのは、転居先の同級
生や従姉(いとこ)、座敷童子や天邪鬼との出
会い・触れ合いを通じて、自分を取り戻して
ゆく”裕貴”を丁寧に描いている点。コミカル
な色彩を放ちつつも、”西岡さち”先生の描き
たいポイントは、しっかりと伝わってきまし
た。
ほのぼのとした作品の空気感に癒される一冊。

仕事は得意でも、恋愛や生き方が不得意なOLの
心象風景を繊細に描いた”琴葉とこ”先生、表題作
全七話を収録した、単行本。
印象に残る収録作品は、子供の頃、周囲の大人か
ら『本当にしっかりしている』と言われ続けてい
た”益田あかり”が、本当の自分の、しっかりして
いない姿に気づいてゆく・・・「第七話」。
読んでいて感じたのは、不器用を、上手くカバー
する事で周りから期待され、更に頑張ってしまう
”益田あかり”を繊細に描いている点。真の姿を晒
す(さらす)事が出来ず、男性経験の無いままに年
齢を重ねて、不安に陥って(おちいって)いる姿は、
読み手に切ない想いを抱かせます。ですが、同期
の男性が登場、希望の持てる展開へと進んでゆく
のが、良かったです。ほのぼのとした描線・絵柄
ゆえに、救われている印象を抱いた、切ない一冊。

天然記念物なOLさんを、男性社員皆で愛でる、
という”市原和真”先生・表題作・第1話～最終
話(第十話)を収録した、作品集。
印象に残る収録作品は、終業後、デートへ出掛
けることになった”平野千賀”と”三田村俊”。待
ち合わせ場所に来た彼女は、何故かびしょ濡れ
で・・・な、「第五話」。結局、デートに行け
なかったものの、二人のラブラブぶりが良く分
かる、お話でした。
読んでいて感じたのは、天然という自覚のない
”平野千賀”が繰り出す、お約束。周りにいる男
性社員の、彼女を、愛でたくなる気持ちが理解
できます。また、”三田村俊”一筋という、純情
な側面も”平野千賀”を魅力的に見せていました。

あまり見ることのない、和装のヒロインが強く
記憶に残る”カミタニ”先生、短篇八本が収めら
れた作品集。
印象に残る収録作品は、会社の接待吞みで先様
とお付き合いな”岩井荘太”。次に行ったお店で
彼の、初恋の人によく似ている”恵理”という女
性と出会い・・・な、短篇「遊郭純情浪漫」。
読んでいて感じたのは、和装のヒロインがとて
も新鮮に感じられた点。描き込みにとても手数
のかかる和装を繊細に表現していて”カミタニ”
先生の力量を強く感じました。ほのかな色香が
漂う、独自の作品・世界観が、堪能できる一冊。

主人公”松平裕一”の、物語が進むにつれて精悍
な表情をみせるのがインパクト抜群な”マサオ”
先生、本巻の為に描き下ろし『おまけまんが』
と、巻頭カラーを追加した、表題作・第1話～
第6話(第一部/完)を収録した、一巻目。
印象に残る収録作品は、”裕一ママ”の、彼を想
う感情が爆発する「第4話」。
読んでいて感じたのは、”松平裕一”を危険から
守る為、身を挺して、彼を支える”霧野才子”と
”服部飛鳥”の存在感。前述した通り、次第に精
悍な表情を見せる”裕一”に、ただ守るというだ
けでなく、恋愛感情を抱いてゆく二人を、アク
ションを交えながら描いていました。
インパクトということでは、”裕一ママ”の存在
感が、いろんな意味で眩く、光っていた、一冊。

”堀博昭”先生の描く、ヒロインが記憶に残る
表題作・第1話～第5話(最終話)と、世界観の
異なる、短篇一本を収録した、単行本。
印象に残る収録作品は、主人公”有馬誠一郎”
に、どういう訳か、厳しく接してくる幼馴染
の”大村サキ”。そんな彼女が”有馬”に抱いて
いる感情の源泉が描いた、表題作「第2話」。
ここで完結してしまってもよいのでは、と思
える程、完成されたお話でした。
読んでいて感じたのは、”堀博昭”先生の描く
ヒロインの愛らしさ。元々、制服とか衣装の
描き込みには定評のある”堀博昭”先生ですが、
表題作は『パンティ』が重要な役割を占めて
いる関係から、力の入った描き込みが、施さ
れています。展開は、ドタバタしていますが
ヒロインのキャラクターデザインにも気配り
が感じられる”堀博昭”先生らしさ全開の一冊。

黒髪ロングなヒロインが眼福な”南ちさと”先生、
雑誌”ビタマン”へ2016年から2018年にかけて
掲載された短篇六本が収められた作品集。
印象に残る収録作品は、サラリーマンな主人公
”川崎”は、急な出向で東京へお引越し。事前に
部屋探しの為、東京に来た彼は物件を案内して
くれる女性”五十嵐”と出会って・・・な、短篇
「ラブ付き賃貸物件あります」。彼女が”川崎”
と同郷な熊本出身と知り、意気投合する二人を
爽やかに描いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、清楚な雰囲気を
盛り込んだ、ヒロインのキャラクターデザイン。
繊細に組み上げられた状況設定の手堅さも、記
憶に残りました。軽快に、サクサク読める一冊。

引きこもっている青年と、自らラブドールと
名乗り、”アサ”という名前をつけてもらった
女の子との交流を描いた”木材石材”先生、表
題作・第1話～第4.5話を収めた一巻目。
印象に残る収録作品は、青年が、本人の希望
から”アサ”と名付けるまでを描いた「第二話」。
読んでいて感じたのは、”アサ”も、そして青
年も、自らが何故存在しているのか、という
意味を、その答えを追い求めている点。こと
あるごとに、青年を押し倒そうとする”アサ”
に『性』ではなく『生』を感じました。作品
の、世界観の根底に、哲学的な思想が垣間見
える、読み応えがありました。
生活感を忠実に描き込んだコマに”木材石材”
先生の、静かにたぎる情熱、を感じる、一冊。