礼門Ｚさんのレビュー一覧

前作とはまた違った前衛的なインパクトがあるプラットフォーム・アクションゲーム。謎の手投げ武器で敵を退治しながら進んでゴールを目指します。シンプルかつ王道的なゲームデザインですが、残り人数やコンティニューがなく、全4面をノーミスで突破しなければなりません。吹き飛んでる敵に当たってもミスになります。なかなかに難易度は高いですが、慎重に進みながらパターンを構築していけばクリアは可能です。高足名人と苦楽を共にした旅の終着点には、衝撃のエンディングが待っています。

東方プロジェクトの中でも弾幕難易度が高いと言われる本作ですが、
一方で複雑なシステムはない極めてわかりやすいSTGでもあると思います。
ストイックにしてプリミティブでまさにピュアリーバレットヘル。
完全無欠モードは昔ながらの戻り復活を今風にアレンジメントしたようにも思えます。
また星条旗のピエロ・クラウンピースを筆頭に魅力的なキャラクターが多いです。
東方ファンならやはり抑えておきたい一本ではないでしょうか。
昔からのSTGファンも新規の弾幕シューターも
月からの攻撃は刺激的な挑戦状となるでしょう。

これはUnityで作られたゲームで、一定のスペックがあるなら軽快に動作します。操作はマウスのみで、説明書を読まなくても直感的にわかります。敵は必ず一定のパターンで行動しており、負けても何度でもチャレンジできるので、誰でもクリアできるゲームシステムでしょう。それでいて、もうちょっとで何とかなりそうとか、もっといい評価が出せそうとか、挑戦意欲を掻き立てられる作りとなっています。初回クリア時のプレイタイムは1時間20分でした。
全体的にレトロなビジュアルのセンスが素朴なゲーム本来の魅力を引き出していると感じます。BGMも心地好く切に迫る響きを持っており、徐々に謎が明らかになるストーリーや主人公の心情の変化と共に、グッとくるものがあります。
自分はこういう粋な同人ゲームを「尖った作品」みたいに伝えるのは好きではないんですよね。ひとりでも多くの人にプレイして欲しいので。「それでも明日を信じたい」少女と神社の行く先は、是非あなたの目と手で体感して下さい。

サンプルを一見しただけでは、全体的にカクカクとした素人くさい絵面、エフェクトも安っぽい印象を受ける。また1時間という相応な長さでファイルサイズも1Gを超えており、1200円という価格も無料動画が溢れてる現在においてはやや高くも感じられ、購入の敷居は高いと思われる。自分も勧められた時は話のネタのついで、どうせ素人の作ったアニメなのだからと、まったく期待はしていなかった。
実際に見始めると、荒削りな映像の作りは、次第に気にならなくなるどころか、味のある表現に思えてくる。キャラクターの表情や動作は想像していた以上に豊かで洗練されており、喜怒哀楽が確かに伝わってくる。声優さんの熱演によるところも大きい。ちなみに本作の悪役であるゼイルヴァンロードの声は作者様ご本人が担当している。
王道的なシナリオ展開、クドさのない省略化した演出でありながらも肝心な部分は抑えられており、設定周りもしっかりしていて視聴後にちょっとした考証に耽るのも楽しいなど、褒めたい部分は多いが、やはり一番の魅力はキャラクターの造形にあると思う。気がつけば主人公とヒロインに感情移入し、1時間はあっという間に過ぎ去り、感動のフィナーレを迎えているだろう。

2017年1月現在まだ7本しか売れてないが、そのうち4人が自分の知ってる人で、見た誰もが本作を高く評価していた。熱い感想をブログに書いた人もいた。次はあなたが本作に触れて、熱く語って欲しい。埋もれてしまうには惜しい傑作のひとつである。