退会さんのレビュー一覧
レビュアーランキング | 117位 | (役に立った数:86件) |
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投稿数ランキング | 64位 | (総レビュー数:145件) |
曖昧me作品の特徴の一つに「あまり多くを語らない」があるような気がします。色々ゴチャゴチャと説明したり、不必要に多く語らせたりせず最小限の文字と表情だけで気持ちが表現されています。
二つのコマの間でほんのちょっとだけ変わる表情が心の動きを表したりしていて、いつも理屈で読む作品というよりも気持ちや感覚で読む作品じゃないかと思っています。
そしてこの話はタイトル通りユニコーンの「一緒にいたい」気持ちでできている感じがします。セリフをそう細かく追わなくても気持ちの変化が分かって来る表現はいつもながら、さすがだと思いました。それと同時に、周りで気を使ってくれているお姉さんたちの優しさもまたよく伝わってきて読んでほっこりできる作品です。
「コマの下の方にデフォルメ状態になったキャラが集まってワイワイする」
曖昧me作品でよく見かける構図ですが、これがまたえらい可愛らしさでいつも注目ポイントだと思っています。登場キャラが多いとよりワチャワチャ感が出ますが、一人二人であっても顔を半分だけ出しておかしな表情をしている所、すごくいいと感じます。
この作品でも普通に描かれているキャラと下の方に引っ込んだキャラが交互に出てくる感じで、ちょっとしたコントにも見えてしまいます。
しかも本来、片思いで苦しい心の内を描いている展開のはずなのに、登場する雪風が「お任せなのだ!」とか言い出すせいでちょっと別のキャラクターを思い出してしまったりもして、意外な面白さがある作品としておすすめします。
言いたいんだけど言えないとか、言おうと思っているんだけどなかなか言い出す機会がないとか、そういう事ってよくある気がします。何か本当の想いを持っていても、それを言葉で伝えず心の中で泳がせているような感じというのか。
どうして言わないのかはそれぞれの事情としても、それを敢えて自分一人で楽しむこともできるわけですが、逆に人から変に思われることもあったりして…
この作中の二つの話はそんな感じがテーマになっていて、コミカルかつソフトにそれぞれの心の内が明かされて行きます。キャラクターの可愛らしさもさることながら、ちょっとふわふわしている心情の描写にも注目したい作品だと思います。
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この作品は、内容に入る前にぜひとも表紙にも注目したい作品ですね。晴れた空の背景もあって一見爽やかな感じですが、よく見ると山風が困り顔をしていて笑っていません。それでこのタイトルなので、もう表紙から物語が始まっていると思います。
そして肝心の内容は、山風の笑顔を見るために暴走する夕立とあまりブレーキになっていない時雨がずっと空回っちゃってる感じのコメディタッチのストーリーです。時雨のアホ毛も右に左に動きながら、デフォルメされた表情で二人が山風を困らせしまうあたり、とても面白い展開でした。
それでも最後は何とかなるわけですが、ここでオススメなのは最後まで読んだらもう一度表紙の山風を見ることですね。気のせいかもしれませんが、話の結末を見てから表紙を見直すと、最初とは微妙に違う印象に見える気がするので是非試されるといいかと思います。
やはり、月とか月夜というのは人の心を惹くもので、昔から物語なり歌なりいろいろ作られてきています。そしてこの「月輪探偵」シリーズもどこか怪しげな魅力を持つ月夜の風情をよく表現できている作品だと感じています。
今回、探偵団が月夜の晩に遭遇したものの正体とか錬金術師の設定についてもなかなか細かく描かれていて面白いと思いました。登場人物それぞれの人間模様と絡んで表される”錬金術師ならではの表現”も絶対注目したいポイントですね。
この作品は「シリーズ第3弾」とありますが、キャラクター図鑑があるので「月輪探偵」物の中ではむしろ最初に読むのがいいと思います。アイテムや人物、設定の事が紹介されているので、これを先に読んでおけば他のシリーズを読んでもすんなり入り込めるはずです。
ストーリーとしては「月の怪異が~」の設定とはちょっと離れますが、このサークル作品に共通する独特なレトロで不思議、そしてちょっと怖い雰囲気を楽しめる内容ですね。
lunaticと言えば月を意味するラテン語のLunaから来た言葉で、「狂った」とか「おかしな」という意味合いで使われている言葉です。月の放つ一種の瘴気にあてられると気が変になるという言い伝えが元になっているようですが、こちらの作品もなかなかルナティックな感じです。
月の光とそれによってできる怪しい影、そして妙な事件が起こります。正直初めて読むと「何なんだろう」と思ってしまいましたが、そこがまた作品の魅力なのかなという気もします。敢えてそう深く考えず、月夜に起きた不思議な出来事を垣間見てしまったような気持で読む作品に感じました。
この「月輪探偵」シリーズは設定からしてなかなか面白いですね。特別な七つ道具を使って月にまつわる事件を解決していくあたりもまたワクワクします。昭和風味のある世界設定も惹かれる感じで、オカルトとか不思議系が好きならきっと楽しめる作品だと思います。
確かに、特に満月あたりの月夜は明るく、普段見えない物まで見えてしまうような感じです。そして、そんな時に出歩くと逆に何か見えてはいけない物まで見えてしまうかもしれません。この作品もそんな月夜の非日常の雰囲気をよく出していてとても味わい深い内容だと思いました。
影法師って、よく考えると面白い言葉ですね。要は人のシルエットなんですが、法師と言うあたりでそれが自分とは別の存在のような妖怪のような。どのみち実体があるんだかないんだか分からないものだとしても、月夜にできる影法師にはまた違った何かが宿っていそうな気もします。
ストーリーとしてはどちらも月夜に似合いそうな切ない雰囲気の話でした。影を取ったり取られたり、知らない所で影法師が頑張っていたりして。そして、それぞれ登場している人物たちの「影」の所にもよく注目して読むといい作品かと思います。