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音声作品って数時間の枠の中でインスタントな癒やしやイヤらしを求める需要に応えている作品が多いと思います。
したがってシナリオは概ねわかりやすいハッピーエンドであることが多いですし、それはそれで正しいと思います。

一方本作品はメリーバッドエンド、作中の人物にとっては幸せであっても受け手にとっては解釈が変わるような結末を迎える作品です。好みがわかれるところではあると思いますが、視聴後は良質なシナリオゲームをプレイしたような感覚を味わえたのでとても良かったです。

本作品のようなシチュエーションの場合、多くのヒロインは最終的に主人公のこれからを思って送り出すケースが多いかと思いますが、冬ちゃんの選んだ選択肢は一緒に永遠の世界を生きること…まさか音声作品でこんな重いシナリオを聴くと思っていなかったので非常に驚きましたが、石見舞菜香さん演じる冬ちゃんの演技が素晴らしく冬ちゃんの思いを吐露するシーンではこみ上げてくるものがありました。

Spicaさんの作品は早期購入でおまけとして寝息と心音のループ音がついてくるのですが、本編を聴いたあとだと「ああ、これは永遠の世界を生きている主人公が冬ちゃんに抱きしめられているときに聴いている音なんだな～」と心が揺さぶられる物があります。

私は作中の主人公のように誰かにここまで慕われたことがないのですが、冬ちゃんみたいな可愛い後輩にここまで慕ってくれるなら正直この2人だけの世界で永遠に生き続けたいかもしれません。

創作だとそういった苦痛の無い幻のような世界で生き続けるのは間違っているというような書かれ方をすることが多いですが、昨今の世界を生き続けるのなら自分を慕ってくれる人間に抱きしめられながら世界が崩壊するまでを過ごしたいですね。