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今年も前作の"夏休み"のように、子供の頃に夏の野道を駆けまわったのを思い出し泣かされるのだろうな、と...
芹さんと共に過ごす夏はいつも心に響くものがあります。

去年の"夏休み"は場面毎に虫や自然の音をそれこそ秒単位で変化させ、夜はより良くなった機材と、うずめさんの本気の耳舐めによる確かな存在感を感じさせる名作でしたが、今回は更にパワーアップしています。

昼の部は外を移動する"夏休み"と違い縁側から全く移動していません。
にも関わらず、環境音の変化には一切の妥協が無く、終わる頃にはどれほどの種類の音が鳴っていたか記憶にないほどの多彩さ。これは前作"バーバーすずな"で得られた満足感と同じようなものだと思いました。

芹さんのお喋りも以前よりややくだけた感じで進行し、自然と笑顔になれます。
清涼感を感じるラムネの音と風鈴の音... 喋っていることは昔語りですが、広がる光景は縁側に祖母や従兄弟と腰掛けてラムネを飲む子供の頃の思い出そのものです。


夜の部は、何度も聴いている旦那様方なら最早説明不要の"得体のしれない怖さ"を非常に上手く表現している怪談。
今回は効果音も取り入れられており雰囲気作りに一役買っています。
怪談が終わった後ははこべらさんも加わり、たびらこさんが食器などの後片付けをする音や、夜の環境音と共にお酒を飲みます。
個人的に今回のイチオシは後者。
この雰囲気を持ってきている作品は記憶にありませんでした。
例えるなら田舎の実家に滅多に集まらない友人達と集まり、思い出話に花を咲かせている状態。そしてその時間を過ごしてもらうために、片付け等を全部してくれる身内。
道草屋の中で年長者の二人とお酒を飲み語らう時間は、大人が過ごす夜の雰囲気として完成されています。
耳舐めの本気度も相変わらず。はこさんが加わってる分パワーアップです。

夏の道草屋で素敵なオモイデを。