p4jynさんのレビュー一覧

ストーリー性を非常に重視した、先生と生徒の恋愛ドラマ。
メリハリがあり小説として一級のプロットに、音声作品ならではの感情の入った演技や癒しパートが相乗されていて、いつもながら完成度が非常に高い作品。
ヒロインがメイド口調で二人の時は「お兄ちゃん」、みんなの前では「先生」と呼んでくるのが非常に可愛らしくて好き。

今作だけでも聴けるけど、『キキョウ』『ナデシコ』に続く花言葉シリーズで、初代ヒロインのキキョウさんが出てくるのもシリーズファン的に嬉しい。
お屋敷の存在やメイドとして育てられた上品な言葉遣いが世界観の共通性を感じさせる一方で、主に学校が舞台で先生と生徒という「身分差、年齢差」をやる変化球に意外性があり面白い。
トラック内でも場面転換がありシリアスとほのぼのが移り変わっていき、2時間で二人の半生を濃密に楽しむことができた。

本作も、そして花言葉シリーズも、特にストーリー性の高い音声作品が好きな人にイチオシの素晴らしい作品!!

こりすさんと言えばYouTubeに高頻度で上げているシチュエーション性の高い耳かきファンタジーであり、本作はその中でも特に人気で長寿の「お狐様シリーズ」の新作です。
今回の目玉はやはり、丹下桜さんを双子の姉役で起用したことでしょう!
最強ゲスト×最強シリーズということで音も台本も気合が入っており、これは買いです。
シリーズ作ではありますが、今作から入っても関係性や世界観の分かる作品です。

試聴トラックの通り両側から癒されるシーンが多いのもいいですし、姉妹同士の掛け合いや姉妹とあなたの掛け合いのセリフパートも素晴らしいです。
ずっとこんな掛け合いと耳かきが続いていてほしい、最高の世界。

1トラック100円のコンパクトな慰め耳かき彼女。
みもりあいのさんと言えばあまあまボイスのR18作品ですが、本作は終始落ち着いた口調で、じわりじわりと心に沁み込むようによしよし耳かきしてくれます。
垣間見える関係性や愛も心地よく、音や言葉選びにも不満なく、総じていいですね。

CVみもりあいのさんでこの声な感じの全年齢作品というのは実はかなり珍しく個性として光っており、100円で買えるのもあり、最強耳かきトラックを集めたデッキに差しておきたい作品です。

部室でウトウトしていたはずなのに気づいたら後輩の家でシャンプーされてました。

ぐいぐい来る後輩(付き合ってない)という、僕もあなたも好きなジャンルですが、CV浅見ゆいは本作が初めてだと思います。隠しきれない恋心でぐいぐい膝枕耳かきやおうちお泊まりを提案してお風呂にも突撃してくる一方で、小悪魔成分やウザ絡み成分は控えめで純真さが前面に出ているタイプのヒロインです。好きです。

娘に貰った4枚の「耳かき券」を人生の節目節目で消費するというコンセプト。
1トラック8分という圧縮された時間の中で、父と娘の関係性が大きく変化していく様がハッキリと分かるし、浅見ゆいさんの演じ分けもさすが。ロリ、反抗期、落ち着いた大人と、色々な演技が聴けるのでお得。

このサークルは「トラックごとの大きな場面転換」「全体で一つの物語」の作品において、トラック間の記憶の空白を視聴者が自然に埋められるようなキャラクターとストーリーの一貫性の作りこみが上手い。
耳かき音声で全30分というのは現代の音声作品の中ではリアル時間が短い方のはずなのに、作中時間は何十年も経っており、それでいてストーリーの密度は濃く、極めて満足度が高い。
サークルの強みが面目躍如した、とても良い作品だった。オススメ。

一言で言えば、Youtubeのこりすさんの劇場版です。
Youtubeでも比較的長い30分程度のシチュエーション重視なASMR作品を投稿しているこりすさんですが、本作品は3時間ということでいつもの6倍ヒロインとの関係性が進んでいきます。
やたら眠れるので布団の中で視聴して1回で聞き通すことは不可能なんですが(笑)、作業中に聞き流すASMRとしても良質で音に変化もありますし、ヒロインとの関係性も気になるので、何回か聞き直して全容を理解したくなる作品です。
Youtubeを聴いてみて声や作風が気に入ったのであれば、本作はよりストーリーの濃い作品として、非常に満足できると思います。オススメ。

シチュエーション系の全年齢音声作品が好きな人はこれ絶対好きなやつ。オススメです。
45分の中にストーリーと青春の一幕が詰まっていて、それぞれの行間を容易に自然に想像できる密度の濃さが巧みです。
楽しい演技、真に迫る演技、たどたどしい文化祭メイドの演技も多彩にサラッとこなす浅見ゆいさんの起用もバッチリはまっていて流石の一言。やー、いい作品でした。文句なしの良作。

(ふと収録内容を見ていて気付きましたが、作品を聴いたあとはギャラリーフォルダもぜひ)

2023年は元旦から当たりのASMRボイスドラマが出ました。
「田舎で10年ぶりに幼馴染と再開して、花火大会を象徴とした一夏でいい感じになる」というのはなんぼあってもいい王道ですが、加えて幼馴染が花火職人見習いで花火大会の準備をする側の視点があるというのは目新しいです。
幼馴染のキャラクターも、一見「大人しい敬語年下幼馴染」ですが、地元や花火への愛が伝わってくる語りや、時折見せる大胆さや小悪魔さ、全年齢作品ながらタイトル通りのキス描写や朝チュン描写の色気が、魅力を増しています。このあたりはG'sチャンネルにもキャラの掘り下げがあります。
総じて、「ノスタルジャーニー・キス」シリーズの幸先良いスタートとなる良作でした。この先の展開も楽しみです。

シリーズのヒロイン勢揃いで豪華ASMR!と思いきや本格的に「日常に根ざした怖い話」で肝が冷える作品。

前作まで哺乳瓶で赤ちゃんごっこしてたり女の子2人と添い寝してたよね??なんで今回ちゃんと怖いの??

シリーズのキャラも活きてますし、逢縁奇演先生らしい言葉選びも健在で、何よりヒロインたちの体験談ホラーとして単純にクオリティが高いです。

そういう意味では特にシリーズファンには是非聴いてほしいオススメ作品ですが、音声作品聞きながら寝落ちする派の人も、この作品だけは入眠前以外に聴いた方がいいかも?

「え?これ声優さんのOK出たのか」
最初の感想はそれでした。もう実演では!?と。

この作品のストロングポイントは、「リアルな彼女とのリアルなデート」の妥協なき追求です。
セリフのディテールと臨場感ある音で、既にこのコンセプトとして星5。
さらに本作品が尖っているのは、声優の素の魅力と演技の魅力を引き出しきった点です。

つまり、「リアルにいそうな女子大生、実際に言いそうなセリフ、それを体現する声優演技」だけでなく「声優(藍月なくるさん)の素に近い声質や笑い声の魅力」も織り込んだキャラの造詣という点で本作品は新しい。
さらに、藍月なくるさんが実際に好きな食べ物や言いそうな言い回しが散りばめられていて、キャラクターと声優の境界が意図的に薄められています。

では、この作品は「藍月なくるさんと疑似デートする作品」か?と問われると、それは違います。
ヒロインの設定が固まっており、それがセリフの至るところで表現されているために、小日向ひなちゃんという生きた女子大生とデートする、あくまでシチュエーションボイスとなっています。
声優の存在感を強めた上で、ヒロイン像をさらに強固に確立して「小日向ひなちゃんとデート」にスポットを当てる力量もお見事。

振り切ったコンセプト、声優の素の魅力と演技の魅力、それをまとめ上げる脚本の技術力が、見事に噛み合った傑作。
シリーズ1作目とのことですが、既にリアル寄りデートボイス音声作品の1つの到達点と言える完成度です。

本作品はもちろん自信を持ってオススメしますし、シリーズの今後にも期待です。