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こういったいわゆる「クトゥルフ神話TRPG」というものには前から興味はありましたが、なかなか本格的には手が出せずにいました。

この作品はゲームブック形式でその触りが感じられるようになっていて、本格的にやろうと思えば本来のルールに従ってサイコロなども使って進めることが可能です。

しかし、そうまでせずとも適当に選択肢を選んで読み進めていくだけで十分楽しむことができました。

途中に挟まれる挿絵もホームズの登場する時代の雰囲気をよく出していて、文章も昔流行したゲームブックの「あの調子」をとてもよく再現しているようで面白く感じました。

もしかすると「ゲームブックのあの調子」と言ってもピンと来ない人の方が多い気もしますが、小品ながら「クトゥルフ神話TRPGとは何ぞや?」「ゲームブックとは何ぞや?」の両方を感じることができる作品だと思います。

キャラクターの雰囲気、セリフ回し、ストーリーの展開、どれを取っても80年代か90年代くらいのアニメやゲームの感じという所でしょうか。ユニークな服装のゲーセン店員が悪と戦うという点もいかにもそれっぽい設定のような気がします。

イラストの出来云々よりもむしろレトロ感を強く感じさせるので、「あの頃」を知っている方は懐かしさに浸りながら、そうでない方も独特の空気を楽しみながらプレイできるかと思います。


ゲームシステムとしてはクイズバトルとなっていて、マニアックなゲームクイズと一般常識的な問題を選択することができます。
ゲームクイズの方はその方面にかなり詳しくないと難しい感じなので多分普通の人は常識問題で始めるといいと思います。
常識問題はさほど難解でもなく割合サクサク正解できるのでストレスなくストーリーを進めることもできるはずです。

キャラクターや基本設定を見る限りかなりのギャグ路線かと思いきや、内容はしっかりとしたホラー作品でした。

ギャグの部分はハチャメチャなギャグでありながら日本神話を基にした「伝奇」の部分もしっかり描けているのでストーリー的にも面白く、常に先が気になる展開になっています。

ゲームの感じとしては某探偵倶楽部に近いものですが、途中ちょっとしたアクションパートも入っていて飽きさせない工夫があります。

どこかの天パの少年が「僕が一番上手く使えるんだ」的な事を言っていたように、自分がいつも使っている物や会っている人についてはついつい自分が一番詳しいような気がして人にも語りたくなるものです。
作中のサーバルもきっとそんな気持ちで無邪気に話をして回っているような感じですが、話題にされる方としてはやはり・・・


毎回、絶妙の心理描写に加えて優しくほのぼのしたタッチの絵が特徴のシリーズですが、個人的にはキャラクターがたまにする「w」の口が気に入っています。
基本的に同じ「w」の形でも場面ごとに違いがあり、微妙な感情の表現ができている所はさすがだと感じています。

それから、今回チョイ役で出ているライオンがまた抜群の可愛らしさで是非また登場してもらいたいと思います。

この作品は多分あまり深く考えて読まない方がいいと思います。

最初の方はとりあえず原作アニメをなぞろうという感じがしますが、途中からそうでもなくなって来てフレンズたちの変にシリアスな表情や展開に逆に笑わされます。さりげなく添えられている説明も面白いので注目しましょう。

終盤は何とか本筋に戻るものの、余計な事を考えるよりもむしろ「13的」雰囲気を楽しんだ方が勝ちだと思います。

裏表紙に紹介されている三つの作品も本当にあれば是非読んでみたいところです。

20XX年、世間はゴタゴタした空気に包まれた。
涙は枯れ、意見は割れあらゆる希望は失われたかに見えた。
だが、パロディ作品はブレていなかった!

という感じの世紀末パロディです。

内容はいろいろありますが、実は結局トキを描きたかっただけじゃないかという気もしなくもありません(笑)
元が楽しい作品のはずが作中のフレンズが全然楽しくなさそうな所もシュールで大好きです。

例えば現実が世紀末的に荒廃したとしてもこうした楽しい作品が廃れることはないと思います。
描くテーマが変わったとしても同人の作家さんたちには優しく楽しい世界が確かにあったという事を伝えてほしいものです。

最近、現実の世の中からは優しさや楽しさといったものが失われつつある気がします。

しかし、この作品の中のパークにはいつものあの優しい世界が広がっています。

片思いの甘酸っぱい気持ちもありますが、この二人はこれからも優しい世界で楽しく過ごしていくことでしょう。


作者の方のソフトな絵柄も良く、見ているだけで気持ちの和むシリーズだと思います。

こういったパロディ作品は元ネタが分からないと面白さも半減してしまうものですが、この作品なら元が有名なのでほぼ誰でも楽しむことができるはずです。

登場キャラクターも有名所ばかりなので、元作品を詳しく知らなくても十分面白いと思いますし、同人誌初心者向けとしてもいいように感じます。


個人的にこの作者の方の絵柄はとても気に入っているので機会があればまたオールドタイプでも分かりやすい作品をお願いしたいと思います。

釣り人にとっては釣りの足場であり、隙間に潜む魚を狙う釣り場そのものでもあるテトラポッド群。

この作品ではそのテトラポッドに代表される消波ブロックを見に行く具体的な方法が紹介されています。

また、消波ブロックだけでなくその周辺の建造物も含めての楽しみ方も分かる解説でますますこういった内容に興味が出てきてしまいました。

ところで、これを読んで思わず今度どこかの消波ブロックでも見に、と思う方もみえるかもしれませんが、テトラポッドの隙間に落ちると大変なことになってしまうので足元には十分注意される事を個人的に付け加えさせていただきます。

自分はこういった出オチ系に弱いので思わず買ってしまいましたが、内容は思った以上のカオスっぷりでした。

まず名前からして閉店と不穏な空気が漂っている上にめん類の値段設定がちょっと高めです。

現在、各地の商店街が大型店舗に負けて寂れている現状がありますが、この作品はそういった社会的な問題を浮き彫りにしているわけもなくただただハチャメチャに展開します。

ちょっと疲れている時など、頭をからっぽにして楽しみたい時に最適な作品だと思います。