本作はターゲット層がはっきりしている作品です。自己肯定感が平均以下だけど、社会人としての道徳観念は強い、でもそのせいで自分の欲望に素直になれない全国の真面目陰キャ女子たちがそれです。後はそういう人物像に女子力の高い身体を与えてヒロインを作り、またそういうヒロインを高く評価してくれてセックスも上手くて業務能力も高い先輩を相手役としてくっ付けます。すると、じゃじゃじゃーん! 真面目陰キャ女子の夢が何でも叶っちゃう世界線の完成です!
物語的にも起承転結が整っていて基本に忠実な物語だと感じました。ヒロインがグラビアアイドル級のプロポーションを持っているのにも関わらず陰キャすぎるところが時々気に障ったりはしましたが、ヒロインが物語を引っ張る力に欠けている分、パートナーであるヒロインの先輩が力強く物語を引っ張ってくれるので許容範囲内でした。ヒロインも作品も、色々とパートナー役の男性キャラの度量に救われてます。
性愛描写も女子が夢見るシチュを的確に狙った内容でした。片思いの相手に自分の身体の価値を認められた上で欲情の対象になり、優しく、だけど力強く貪られるのは少し性欲の強い女子なら誰でも夢見る最高の性愛経験じゃないでしょうか。マゾっ気があるなら尚更のことです。それでいて、アフターケアも完璧。やり捨てなんて野蛮な仕打ちは以ての外。女子の夢見る理想の性経験に、理想の恋人像だと言えます。
ただ...そうですね。男性キャラクターをSだと評価するにはちょっと行為内容が温いってところがありますね。便宜上二人の関係をSMカップルとは言っているものの、それはあくまでも二人の人格的な相性の話で、性行為の内容の話じゃありません。その点、相手役はSと言うより「男前」と言った方がもっとしっくり来る性格をしてます。責任感強いけど、良い「女」には強い所有欲を見せる、的な性格だと言えば分かりやすいでしょうかね。