新着レビュー

蛍に初めてを許してしまった主人公…
その歪み・苦痛を忘れる事は出来ない。
それは、憎悪では無く、喜びだと知った時に、彼の中で何かが変わった。

彼を歪めたのは、蛍
彼が憎悪したのも、蛍
そして、初めての苦痛を与ええたのでさえ、蛍
そのすべてが、彼の悦楽に変わる。
物語は、終焉に向けて加速して行く、周りの人間を傷つけても終わらないこの背徳的多幸感は、この二人の関係があったから、受け入れる事が出来た事。

結末を知った時に、蛍は何処まで知っていたのか?
それでも、憎しみを止める事無く進めたのか?
憎しみは、間違った愛になり得たのか?
答えはきっと解らないけど、とても汚れてた素晴らしい作品でした。

追い詰められていく主人公。
蛍とは何者なのか?学園の後輩?それとも、使用人の血縁関係者?
使用人の翼と似ている蛍。

主人公は、使用人の翼に蛍から受けた屈辱的な行為を行う。
その事で、蛍に近づいたと思う主人公は…
蛍の憎しみに気づく事が出来ない。

憎しみ嫌いながら同じ時を過ごす二人、学園の人間関係も使って蛍を追い詰める主人公、その事さえも蛍にとっては餌であったのだろうか?

単なるミステリーでは無く、サイコパスでも無い、そんな物語。

御曹司の坊ちゃんが、電車で女性に痴漢される事から始まる話…
何故にそんな事が起こるのか?
色々な心理学的要素も踏まえながら、思考する主人公を他所に、その痴女(蛍)は、更なる試練を与えて来る。

御曹司、日本を動かす社長の息子、その息子のスキャンダル。
主人公の生活は、全て親に決められたレールの上で進んでいる。
彼女は、主人公の人生を壊しに来たのだ。

それは、ありきたりの日常を壊す甘美な誘惑。
御曹司を人以下の存在迄下げて行く蛍の情念を楽しんで下さい。

主人公が食堂で料理を食べています。
野菜と謎の肉を丸めたかのような料理です。
辛くて美味しいらしく、いくらでも入ると言いながら一生懸命食べていました。
カニと向き合っているのに似ているなって思いました。無言でどんどん減っていく所とかそっくりです。

料理の名前で笑ってしまいました。
何を意味しているのか、想像しやすい点が面白過ぎでした。

リコメモおかみさんもよかったです。
自分のモノを提供していると描かれているのが衝撃的でした。
ここもおかしくて盛大に吹きました。

小動物の死骸を調べているシーンです。
そこでレグが毛の持ち主を誰か当てるという、凄いことをやっていました。
匂いでリコとナナチの物であることがわかるみたいです。
犬みたいなことをやっているのがおかしくて吹きました。段々と人間離れしてきた気もします。

宿の部屋に案内されたシーンもシュールでした。食べている所が特に。
アビスの旅は一期一会と言っていますが、自分から自爆しているようなものです。
自業自得としか言いようがないなって笑いながら思いました。

開幕で盛大に吹きました。
特に笑えたのがレグの身体機能について話している所です。
詳細に語っているのと、変な単語が飛び出したのがおかしくて笑ってしまいました。

トランクの中から液体が零れ落ちているシーンも印象的でした。
その液体をメイニャが泣きながら舐めている所です。
意味がわかったからか、読んでいるうちにため息が出てきました。

ナナチから白笛を受け取るシーンも印象に残っています。
大事にして欲しいです。プルシュカの意志が詰まっているので。

階段を上っているシーンが凄かったです。
深界五層のアビスの呪いが主人公の身体に出ていました。
これでもまだギリギリ戻れるらしいです。
根性論的な考えのような気もします。

クオンガタリに関する説明シーンも印象的でした。
危険度の高さが怖過ぎです。
これを調べられるのは、白笛クラスでなければ無理ではないかと。

レグが実験室にいるシーンも強烈でした。ここもホラーに近いです。
しかも主人公の秘密も知っていると書かれています。
色々な意味で怖い場面だなって思いました。

ラスト間際の黎明卿が復活するシーンも凄過ぎです。
どう見ても別人なのに、愛があれば問題ないとか言っていました。
怪物と評価されているのも納得です。
不死身としか言いようがないので。

オーゼンが戻らない旅に出た二人を見送っていました。
その去り際にこんなことを言っていました。
全く度し難い、度し難いと。
レグがたまに言っているセリフです。この言い方をする人は滅多にいないです。
何か知っていることも併せて気になる場面だなって思いました。

レグはオーゼンの娘だったとか、とんでもない秘密でもあるのではないかと。
何ともわからないので、この謎が解き明かされる展開を期待しています。

ナナチは主人公とレグの仲間になるような気がします。
あの子の心を救う方法は、一緒に冒険するくらいしか思い浮かばないです。
あのまま自然消滅するのは悲し過ぎるので、そうなって欲しいです。

白笛はそれぞれを体現した異名で呼ばれていると書かれていました。
主人公の母親は殲滅卿で、殲滅のライザと呼ばれているとのこと。
他のメンバーは、一癖も二癖もありそうな雰囲気です。それでいてかなり強そうに見えました。
敵か味方なのかわからない、そこが怖いなって思いました。

意外だったのが、オーゼンが倒されたシーンがあったことです。
ライザが単独で何者かに挑み、勝利したみたいです。
色々な意味で凄い場面でした。

今後も白笛と対決する場面が出てくるんじゃないでしょうか。
暗にそう語っている気がします。

アビスの呪いについて語っているシーンが印象に残っています。
探索する者が人である以上、この呪いから逃れるのは不可能とのこと。
人では戻れないとされている深界7層のことも詳細に書かれています。
よく調べたものだなと感心しました。

人力で上がれなくても、風船か何かで上へ飛ばすことならできます。
機械を使った可能性もありそうです。
人間の知恵というものが窺える話だなって感じます。

この呪いをものともせずに、下から上がってきた人が二人います。
一人はレグという名の少年です。機械でできた少年って感じがするので、呪いが効かないのもわかる気がします。
二人目が主人公です。呪い除けの遺物のおかげで、下から戻ることができたと書かれていました。感動的な話になっていたせいか、読んでいるうちにジーンときました。と同時に、権力者の冷酷な態度に腹が立ちました。