一陣の光さんのレビュー一覧

連載当時、蔓延していた流行感冒も、”師走の翁”先生の考察は
ワクチンすらも媚薬に替える…、2021年から2023年にかけて
雑誌”あうん”で掲載された、全10話の表題作と「おまけ」を収
めた、長篇作品。
印象に残った収録作品は、男子主人公”雲川”が医療措置対象外
の女子”美束”と、フルカラーでカラむ「おまけ」。
読んでいて感じたのは、”師走の翁”先生の突出した考察力。ワ
クチン(精液)を体内に宿す、男子主人公”雲川”が、医療措置を
施してゆくストーリーは、女性キャラの描き分けに定評のある
”師走の翁”先生の技量・力量が遺憾なく発揮され、軽薄短小な
性格付けから、竿役へと徹している感、のある”雲川”の存在感
が、大作ながら、いっきに読める軽快さを読み手に提供してい
ました。
エンターテインメントとして楽しめる娯楽性を内包しつつ、抜
き物件としての存在感もある、ハイブリット?!な一冊。超良作。

ヒロインの造作、特に『瞳』の描きこみが、作劇と共に
鮮烈な印象を残す”40010試作型”先生、雑誌”快楽天”で
2017年から2023年にかけて掲載された、本巻・描き下
ろしを含む、短篇・一作品と、同一の世界観から描かれ
た短篇・二作品、短篇・三作品を収めた、自身通算三冊
目、ワニマガジン社刊としては二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、短篇「くちなわのリング」と
同一世界観で、ギャルで姪なヒロイン”真琴”とのセック
スを描いた、40ページ超の特大ボリュームで、読後の
高い満足感を読み手に残す短篇「バッカスのくちづけ」。
読んでいて感じたのは、ヒロインの『瞳』への描きこみ。
作家さんの個性が出る、登場人物の造作で、インパクト
を残せるか、が、技量を試されるところだと思いますが、
”40010試作型”先生は、作画の安定感と共に、力量を魅
せてくれます。前述した「バッカス～」では、ヒロイン
が「くちなわ～」とは異なる、造作と性格付けが施され
ていて、熱量過多なカラミの描きこみで濃厚な読後感を
読み手に残していました。
前作からは、六年超えの最新刊ながら高密度のカラミが、
読み手へ鮮烈で濃厚な満足感を残す、充実の一冊。良作。

ムチムチなカラダと、郷愁を感じさせる牧歌的なキャラ造作とが
シナリオとマッチし、独自な世界観を構築している”くろニャン”
先生、”comic ペンギンクラブ”で掲載された短篇・四作品、巻頭
を飾る二本構成・一作品は”comic 失楽天”から、”comic 高”にて
発表された短篇・二作品を収録した、デビュー七年目にして自身
初の単行本。
印象に残った収録作品は、親の都合で片田舎へ引越してきたヒロ
イン”花乃”は、近所に住んでる同級生の”楠木晶子”と”大黒智史”
に誘われて…な、二本構成の短篇「田舎の遊び」。狂言回し役に
徹している”晶子”、竿役に徹している”智史”、処女からセックス
へハマってゆく”花乃”。バランスのよい配役と構成が記憶に残る、
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、シナリオとキャラ造作とのマッチ
ングの良さ。前述した「田舎の～」や、勢いで告白したら成就し
た短篇「流されるのもいいかもしれない?」での、ドタバタ劇な
のに粗さを感じさせない展開力に”くろニャン”先生の力量を感じ
ました。
執筆環境に翻弄されて、デビュー七年目にして初単行本を上梓な
”くろニャン”先生。最初期作品から最新作までの変遷から苦労人
な作家さんならでは、な、豊潤で濃厚な味わいを感じさせる一冊。

その作品を追っている先生がたくさん掲載されていると多幸感がハンパない”comic快楽天”2023年10月号。印象に残った掲載作品は、オトコを転がす能力と魅力を持つヒロイン”種村くるみ”には騙されないぞと用心する男子主人公”翔吾先輩”だったが…”亜美寿真”先生、男性主人公”ネモト”は告白できずにいたヒロイン”モリヤマ”との関係を前進させる…”層積”先生、男子主人公”谷村”はヒロイン”綾香”のブルマをクンカクンカしている現場を本人に見られて…”赤セキリュウ先生”などなど。ジックリと読み込みたい一冊。

”comic快楽天BEAST”2023年09月号。印象に残った掲載作品は、ヒロイン”水瀬”は思っていたタイムが出ずに目標を失っていた男子主人公の”先輩”にもう一度部活へ戻ってほしくて彼に処女をささげる…”にこびい”先生、美術部同窓会に気合の入った装いで参加したヒロイン”林”はずっと前から想いを寄せていた顧問の男性主人公に告白し処女を捧げる…”小亀ふつ”先生などなど。切ない感じのストーリー多めな”comic快楽天BEAST”2023年09月号でした。

ストーリー展開に”右端”先生ならでは、な、個性を感じる
”comic快楽天BEAST”へ掲載された、短篇・七作品を収録
した自身初の単行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”圭人”が最近、知り
合ったヒロイン”上原みちる”とは、彼女のサバサバした性
格もあり、気軽に話せる仲だと感じていたが……な、短篇
「夕方クレイジー」。”みちる”へ、勢いで告白したら受け
入れられて、手を繋ぐ、キスをする、おっぱいを揉ませる
と、要求は白熱するも、サクサクさせてくれる”みちる”が
神がかっている、お話でした。
読んでいて感じたのは、ビート感というか、リズム感的な
サクサク読める、ストーリー展開力。が、軽く読めるだけ、
かといわれれば、さにあらず。性器描写・描きこみに並々
ならぬ熱量があり、絵柄をジックリ魅せる力量もあります。
今後、作品数を重ねてゆくことで、化ける可能性を感じさ
せる”右端”先生、バラエティーに富んだ、自身初の単行本。

巻頭を飾る”どじろー”先生の初短篇集が今秋発売予定とか、最新情報ありがとうございます、な、”comic快楽天”2023年09月号。印象に残った掲載作品は、男子主人公”小杉”は玉砕覚悟でヒロイン”宇月”へ告白し晴れて彼氏彼女になるも目力強めな”宇月”に…”どじろー”先生、夏休みの登校日に普段は真面目な”小熊”・”立羽”・”藤見”の三人組ヒロインがイメージチェンジしてナンパされ…”Hamao”先生、男子主人公”柳木雄真”は男の人が苦手で小柄なヒロイン”金原紬”の姉に依頼され家庭教師に…”ももこ”先生などなど。女子キャラ三人の描き分けに、高い技量を感じた”Hamao”先生も記憶に残った一冊。

濃厚なカラミの構図と、ヤリたいけど素直になれないヒロインの
『心の内側』を、克明に描写するシナリオが、読み手を魅了する
”さんじゅうろう”先生、”X-EROS”で掲載された短篇・七作品と
おまけページを収録した、自身三冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、男子から『早川チャレンジ』と言われ、
告白されても受け入れない、難攻不落なヒロイン”早川”が、選ん
だ相手は、コミ障な男子主人公”佐藤”………短篇「ゼラニウム」。
急にエロスイッチが入り、押し倒してくる”佐藤”を諭しながらも
受け入れる”早川”が魅力タップリに描かれた、お話でした。
読んでいて感じたのは、精密な状況設定と計算されたアングルが
醸し出す濃厚なカラミ。特に、短篇「インプレッション」のヒロ
イン”中妻”の、押し寄せてくる様なキャラ設定が、エンディング
での、味わい深さを育んでいるのは、”さんじゅうろう”先生作品
でしか感じることのできない読み心地だと、感じました。
カラミの構図とシナリオとが、濃厚な読後感を生む、上質な一冊。

ヒロインの『手』や『瞳』への、緻密かつ繊細な描きこみから
”ちょりもっき”先生の技量を感じた、”メロンブックス”で発表
された短篇一作品と、”comic快楽天”へ掲載された短篇七作品
を収録した、”百合モノ”ではない商業作品集としては自身初の
単行本。
印象に残った収録作品は、男性主人公”フク”は実家暮らしから
友達とルームシェアする為、お引越し。運び込んだ荷物と一緒
に、幼馴染でヒロインな”サヒリ”がついてきて………な、短篇
「側にいさせて」。『”サヒリ”は俺の側にいる』と、当然の様
に言い放つ”フク”へ処女を捧げ、自らの想いへケジメをつける
”サヒリ”が記憶に残る、お話でした。
読んでいて感じたのは、絵柄とシナリオの繊細な構成力。絵柄
は『手』や『瞳』などのパーツに対する描きこみに。シナリオ
は”百合モノ”を手掛けている作家さんならでは、な、進行の繊
細さに、”ちょりもっき”先生の力量を感じました。
繊細で後口の良い、読み心地と読後感が堪能できる一冊。良作。

”すーぱーぞんび”先生のカバーイラストが美麗な”comic快楽天ビースト”2023年08月号。印象に残った掲載作品は、ヒロイン”志帆”は家が隣で幼馴染かつモテモテな男子主人公”凛太郎”が女子から告白されているところを目撃して…”仲町まち”先生、水泳部で活動しスキンシップ過多なヒロイン”下倉”に困惑している男子主人公”宇佐美”は夏休み初日から水泳の補習があるのを”下倉”が知り…”ちょいぴろ”先生、男子主人公”山田”はクラスで隣の席なヒロイン”三井田あみ”から私のことを性奴隷にしようと妄想しているのではと疑われて…”いもたろう”先生などなど。今月号は新人デビュー作品多めな”快楽天ビースト”でした。