この作品は間違いなくkeyの「泣きゲー」の系譜であり、ロミオ氏による「自己と他者」というテーマを軸に作られた上質なSF傑作である。
ファンはこの体験版の内容と値段で何も言わず買うだろうということで、
このレビューはkeyは好きだが、SFが苦手もしくはロミオ氏による「Rewrite」が合わなかった、という方に向けたい。
まず複数ライター産で多数ヒロインがいて、後半小難しい展開があった「Rewrite」と大きく違うところは、主人公とヒロイン二人のやりとりがメインであり、
用語や世界観についてはこの世界に生まれ落ちたばかりのヒロインに対し、主人公による説明が逐一入るため、設定を違和感なく呑み込んでいけるタイプの作りとなっている。
とにかくこの二人による人類が衰退した世界での旅を追いかけるだけでいい。
大事なのはこの二人の「交流」である。
そこに注目するだけならば、読みやすさが大きく違うはずだ。
そして、主人公は成人男性であり、サバイバルのプロである。その言動はとにかくユーザーにストレスを与えないように配慮されているように思える。
また、一応ロミオ信者の方にフォローを入れると、読みやすいからといってロミオ氏の「濃さ」がないかといったらそうではない。純度100%のロミオ節、というわけではないが(特に下ネタだとかパロディなどはない)、その美しい文章と緻密な世界設定は、これこれ、これが読みたかったんだと満足できるはずだ。
この作品の唯一と言える欠点はボリューム、つまりもっとこの二人の旅が見たかったということに尽きる。
長々と書いたが、とにかく読みやすく万人受けする作品を出してきたという印象だ。そして勿論、感動する。
高品質なCG、BGM、文章、声優陣による熱演これが2000円でいいのか?と言いたい。
プレイ時間はオート垂れ流しで10時間とのこと。
まずは体験版に触れてみてほしい。