深淵探求さんのレビュー一覧
| レビュアーランキング | 225位 | (役に立った数:1,394件) |
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| 投稿数ランキング | 457位 | (総レビュー数:118件) |
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2025年09月12日
本作のヨハネス・ワーグナーという人物は研究者としての才能には優れているものの、それ以外には恵まれてない人物です。まず孤児で、研究者として就職した国営性改善施設でも良かれと思って人体実験をやったことで組織内で微妙に浮いています。そのせいか、彼は研究者としての欲で先走ってしまって色々とミスを犯すなど手腕においてはかなり抜けている男です。現実でもたまに見る「頭は良いけど仕事にはミスが多いタイプ」の人だと思えば大体合ってます。
こういう背景を積極的に反映させたのか、本作で彼は心のどこかで自分自身のことを「失敗の多い人生を生きてきたダメ人間」と思っている節があります。性依存症で施設に入所した主人公にまで卑屈的な態度を取るほどですから相当なものです。施設の薬の殆どを開発した最重要人材でありながらもこうなんですから彼の自己肯定感の低さは破滅的と言って過言ではありません。
なので、作中で主人公とヨハネスの関係は「オナニーやめられないダメ女」と「そのダメ女を人間として自分より立派だと思い込むエリート研究者」という構図になっています。面白い構図ではありますが、ヨハネスが最後の最後まで余りにも謙った態度を貫き通すのは少々惜しいところでした。主人公の立場に移入して聞くと「こんなダメ女の私をエリート研究者が持ち上げてくれる!幸せ!」って感覚は確かに嬉しいものですが、それが終盤まで続くと何か嬉しさよりヨハネスが可哀想って気持ちの方が大きくなりました。こういうASMR作品では主人公の設定を最小限に抑えるのが一般的だとは分かってますが、そのせいで余計にヨハネスの弱みに付け込んでいる気持ちにもなりました。お互いの救いになる関係を築いているから良かったんですが、一歩間違えれば罪悪感を感じてしまうところでした。
一生懸命頑張ったけど不幸な男性の救いになってあげたいってロマンのある方々には躊躇なくお勧めできる作品です。
前作を読んだ方なら分かると思いますが、前作で清春はどっちかって言うと好きな女子に意地悪して気を引こうとする男子って印象が強かったです。タイトルは「調教日記」だったけど、「調教」って言うより意地悪な悪戯で愛情表現をしているって感じで言葉責めはあっても限りなく甘々な内容になっていたんですよね。
だけど、本作はその前作の欠点(?)を見事克服しています。本作での清春は前作と本当に同一人物なのかが疑わしいくらい人物像が完全に変わってます。前作ではただの悪戯好きに見えたのに、本作では年下なのにむしろ年上の「ご主人様」に見えるほどあらゆるやり方で見事紀伊を「調教」しています。なのに同時に一途に好き好き言ってきたり、恋に夢中になってたりするところは「男の皮を被った女の子」って思ってしまうほど女性じみた性格にもなってます。ベッドの上ではご主人様だけど、デートの時は女子っぽいって感じです。キャラ作りには微妙に一貫性を欠けてますが、その分女性の視点からはベッドでもデートでも満足度の高い男性像を演出してくれていると言えます。
前作では清春の気持ちがほぼ描写されず、ただガキンチョみたいに悪戯で恋心を表すだけだったんですが、だからこそ「年下っぽいけど、それでも男らしさが出ている」感じでしたが、本作ではデート時には「これ完全に女子じゃん!」、ベッドでは「これ完全に百戦錬磨の超ベテランご主人様やん!」なので、前作の清春の年下男子らしさを気に入っていた方々には少々惜しい続編なのかも知れません。それほど清春の人物像が大きく変わってます。
どっちの清春が良いのかはもちろん個人の好みに依りますが、一つ確実に言えるのは、本作の方が前作よりはタイトルに充実しているってことです。前作はややタイトルと内容が噛み合わない感じがありましたが、本作はそういうのは全くありません。タイトルに引っかかった方に安心してお勧めできる作品です。
2025年09月03日
良い意味でも悪い意味でも、この作品はタイトルと作品紹介に徹底的に充実している作品です。終始一貫して本作の題材は「年下男子の一方的な調教」であって、その他はあくまでもおまけみたいな感じで進みます。なので、登場人物たちがお互いとどういう関係を持っているか、何故年下男子はアラサーOLに好意を寄せているかなどと言った物語的な要素はほとんど取り上げられません。その代わり、二人の肉体的関係、つまり「調教」のことだけを徹底的に細かく描写してます。
作中では年下男子をドS男だと言ってますが、客観的に見て年下男子はどっちかって言うと悪戯好きなガキンチョって印象が強いです。言葉責めはしますが、それも相手の反応が見たいだけの悪戯って感じで、「調教」も同じく相手に好意を寄せているから相手の気を引きたい、相手に構ってもらいたいって意図で行われる悪戯という印象が強いです。良く子供の頃に好きな女子の気を引くためにわざわざ意地悪なことをする男子のアレです。なので、調教シーンでは、「虐める」って感じよりむしろ「構って」って強請っている感じが強いし、ヒロインもこういう年下男子の独特な愛情表現を分かっているからそれに付き合っているという構図が形成されてます。
全体的に「年下男子に調教される構図」をお求めの方々より、「年下男子に激しく求められる構図」をお求めの方々にお勧めできる内容です。無邪気とは言いませんが、明らかに恋心が込められた悪戯を仕掛け続けてくる年下男子が本作のメインですので、男性の悪戯をストレスにしか感じない方々には少々不向きの内容かも知れません。逆にそういう悪戯大歓迎って方々にはこれ以上お勧めできる作品はないと確信します。
2025年09月02日
モノクロ版が女性向けとして販売されていたので、「何故この回だけ女性向けなんだろう?何か特別な要素があるんだろうか?」と気になって読ませていただきました。結論から言うと他の回より性行為の過激さは弱くし、その代わり女性たちが快楽堕ちしたことで「気持ち良い和姦」になっているところが差別化要素でした。他と比べてみると「確かにこの回だけはギリギリ女性向けと言えるかも?」と思いましたね。女性向けでは作中の男たちよりも遥かにヤバい男たちを主人公にした作品も多いですしね。特にヤンデレ系の作品で。そういう作品に比べたら確かに本作のエロパートはむしろ健全だと評価できるかも知れません。少なくとも怪我させたり監禁したりはしてないんですから。
エロパートはさておき、本作の前半のグルメパートは豆知識たっぷりの充実した内容だったので驚かされました。料理のことを少しは真面目に勉強してみようかなと思っていたところなので、これからも参考にすることがあるかもと思う内容ばかりでした。エロ作品なのに料理のパートがここまで充実しているとは思わなかったです。色々と勉強になる細かさでした。
全体的に、遊び好きなダメな男たちが夢見るような「酒池肉林」を再現した作品です。肉林の「肉」は元々は文字通りの肉を意味する字で、女を意味すると解釈するのは誤用だと聞いたことがありますが、本作のテーマを一言で表すにはその誤用の意味の「酒池肉林」ほどピッタリの言葉はありません。男性が社会的な名誉とか体面とか責務とかを放棄して自分勝手になればどんな人物像になるか、どういう影響を社会に及ぼすかを考えさせてくれる作品でした。
「酒池肉林」を現代風に解釈すればどうなるか気になる方々に躊躇なくお勧めできる作品です。
レビュアーが選んだジャンル
2025年08月27日
前作を読んでる方々なら分かってると思いますが、この作品のヒロインは基本的にアホで自分勝手です。前作ではその結果三股をしてしまい、それを知った彼氏たちに制裁を受けて「三人の専属オナホ」になりましたが、本作ではその「三人だけの共有オナホ」というのがどういう生活を意味するのかが細かに描写されます。結論から言うとヒロインの意思や心変わりなど一切認められず、ただ三人を楽しませるためだけに身体も心も弄ばれます。
前作同様に乱交はもちろんのこと、彼氏たちがデートを欲しがれば本人の意思など一切関係なく彼氏たちだけでデートの予定を決めます。文字通り彼氏たちの間でヒロインの扱いは「ヤりたい時には身体を、デートしたい時には心を自由に使える玩具」で、ヒロインも当然日常生活してるし、他に知り合いもいるので、この生活がどれだけ世間から見れば歪なのかに対する自覚がどんどん膨らんでいき、作品紹介にあった通りに別れたいと切り出します。当然玩具分際にそんな決定権が認められる訳もなく、前作より遥かに雑な扱いで三人に輪姦されて分からせられるという構成になってます。
ここまで聞けば分かると思いますが、本作の展開自体は男性向けでもハードな輪姦もののそれとそっくりです。違いは男たちが恋人であることと、輪姦してポイ捨てなんてせず日常的にデートもすること、そして男たちの容姿が整っていることの三つですね。その分、行為自体はヒロインの人権を一切認めない過激なものですが、行き交う言葉自体には愛情が籠ってます。不気味なほどに三人がずっと当然かのように犯しまくるので一種のヤンデレものだと分類できるかも知れません。「好きすぎるから拒否権なんて認めず弄びまくる」って思えば大体合ってます。
本当に玩具扱いなんで、恋愛展開を期待する方には不向きかもですが、男性に無慈悲なほどに求められたい方には躊躇なくお勧めできる作品です。
2025年08月22日
良くありますよね?MMORPGとかで知り合いや家族が育ててきた高レベルのキャラクターを一時的に拝借して自分勝手に暴れていたらスキルの使い方も、注意すべきモンスターや地域も知らずいつの間にか自滅してしまう人たち。本作のヒロインもそういう「身体だけは高レベル、だけど脳みそは素人同然」って感じのキャラクターです。どう見ても自分で努力して力を付けたという経験と貫禄が全く見えない見事な脳筋っぷりを見せるザ・脳筋娘です。
ゲームでも良くあることですが、武器や能力値だけを過信して無暗に突っ込めばどれほど痛い目に合えるかを漫画にしたような作品です。なんかもう「エロエロ要素が搭載されたMMORPGで脳筋してたらこうなるよ?」って感じですね。経験を積まずに力だけ手に入れるのがどんなに危険なのかという教訓をエロを通じて学べる良い作品と言えることでしょう。
内容自体は本当にそれだけですが、その単純な内容を細かに描写する作者さんの画力は素晴らしいものでした。ただ絵が上手いだけではなく、構図をちゃんと意識して絵を描いていることが分かる描写でした。内容が単純な分、構図とコマの配置を工夫して最大に演出しようという気概が伝わってきました。
分からせもの好きの方々には色々と刺さるもののある作品だと確信します。
ついに終わりました。作品紹介で作者さんも仰っている通り、エピローグ的な作品なので新しい事件は起きません。終始一貫して今までの事件を纏める内容になっています。
ただ、物語的な要素が全て取り上げられているかと言うといくつかもっと掘り下げて欲しかった要素はあります。例えば五作目で出ていた夷狄の将とその側にいた南安国の血を引く女性の関係性とか、春燕が皇帝・皇后夫婦とどういう関係を築けるだろうかなどですね。作者さんは完結編と仰いましたが、これらは外伝的な短編で掘り下げる予定だったりしたら嬉しいところです。
物語的にはそれくらいで、あとは春燕が正式に太子妃として冊立される礼拝儀式と二人だけの身体の結婚式(笑)の絵面ですね。今までも充分細かで華やかな絵をお見せしてくださったんですが、さすがに完結編になったせいか今までより一層力を入れてくださってます。今まで通り行為の内容も安定的に過激化しているんで、この調子だと仲良し変態夫婦になるんじゃないかと思うくらいです(笑)
シリーズを一言で纏めれば「偶然皇太子だった幼馴染と純愛して玉の輿にも乗っちゃおう!」って女性向けではありきたりの内容ですが、それに中国伝統衣装への深い理解、宮殿での適切な言葉遣いを充実に再現しようとする情熱などが合わさってただならぬ傑作が誕生しました。衣装の華やかさもありますが、中国の漢字語に日本の漢字語を振り仮名として付けるほど中国の宮廷という環境を充実に再現しようとする姿勢には驚きました。人物たちの言葉遣いも厳粛で如何にも宮廷での会話って感じでしたしね。衣装の再現も大変ですが、一度何を描くかが決まれば後は悩む必要がない衣装より変幻自在で宮廷風という型に嵌めて置かねばならない言葉遣いの方が難易度が高かったんじゃないかと思います。
中国の宮廷文化に興味のある方になら欠かせない作品で、そうでない方にも自信以てお勧めできる傑作です。
ここまでこのシリーズを読んできた方々なら分かると思いますが、このシリーズのテーマは一貫して「偶然皇太子だった幼馴染と純愛して玉の輿に乗っちゃおう!」です。
三作目までは順風満帆に、そして皇太子からの寵愛で異民族の娘がどれだけ救われたかに関する内容でしたが、四作目である本作に来て初めて障害物にぶつかります。で、この障害物が...正直とんでもないです。別にご都合主義じゃありませんよ?辻褄は会ってますし、伏線もちゃんとありました。でも...いつか出るだろうなって思った障害物がこんな形で出るとは思いませんでした。
で、本作で春燕と泰嵐はシリーズで初めて恋愛を楽しむ恋人ではなく現実の脅威に共に立ち向かう本物の夫婦に覚醒していきます。今まで太子妃なのに余りにも政に無知なままなのでは、と思っていた自分としては大歓迎の展開です。二人はこの脅威にどう対処するかを巡って口論もしますが、基本両方とも「この愛を守りたい」という観点から始めた口論なのでぶっちゃけイチャついているだけです。(笑)そしてこういう「愛を守るべく衝突する」展開を経て二人は雨降って地固まる如く恋人から夫婦になっていきます。
少々惜しいところがあるとすれば、やはり今までシリーズで何度も繰り返されてきた春燕につけられている「異民族の娘」というレッテルが本作でも言及されるんですが、南安国と春燕の出身民族との間で何か不穏な歴史でもあったのか、単に立場の弱い民族だから下賤だと思われているのか、だとしたらどこがどう下賤だと思われているかもっと具体的な描写が欲しかったってところですかね。二作目で「学がない」と言及されましたが、読者の立場から見ればどれだけ学がないのかが分からないので、太子妃である春燕がここまで雑に扱われる背景が意味不明でした。
今後の展開がどうなるかは分かりませんが、「恋人」だった二人が「夫婦」になっただけでも大満足の作品でした。
内容の2~3割程度は続編のための伏線になっていますが、基本的に本作の内容は幼馴染の皇太子の介入によってどれだけ異民族出身の太子妃が人生を救われているのかがより明確になる話になってます。一作目で春燕が充分破格的な待遇を受けていることが既に出ていましたが、二作目ではそれが春燕個人にどれほどの救いになったかを取り上げた上で、三作目の本作では更に春燕の過去の境遇を掘り下げて、春燕の周りの人物たちにもどういう変化を齎しているかが出ます。多分徐々に春燕が泰嵐にもらう愛情が及ぼす影響の範囲を拡大していく予定の仕組みだと思います。春燕と泰嵐二人だけの話にするといずれネタが枯渇してしまいますから良い設計だと思います。
だけど、春燕が余りにも特別待遇されているせいで途中でご都合主義だとしか思えない要素もありました。例えば、愛妻家であることが周知の事実になっている泰嵐が毎晩春燕のところに訪れているのに、泰嵐の前では卑屈な態度を取る臣下たちが春燕の前では不遜な態度を見せる傾向があるところですね。二作目でも出ていた要素ですが、二作目では陰口程度だったものの、三作目に来てはそれがより露骨になります。入宮したばかりの頃ならともかく、太子の一途な寵愛を二か月以上も毎晩受けている太子妃に取る態度にしては不自然すぎます。二作目では許容範囲内だったんですが、三作目に来てより露骨になったところを見ると、続編でどうなるんだろうと正直に心配になるところです。
しかし無理をして春燕の生活がどれだけ泰嵐の庇護に依存しているかを取り上げた分、皇太子に溺愛されているという描写は充実してます。政のことも全部泰嵐が受け持ってくれているので、春燕は閨の中でも外でも泰嵐に愛され切ってます。「これ泰嵐に何かあったらどうなるの?」ってのが恐ろしいくらいに。少々ご都合主義があるものの、愛される感覚をお求めの方には躊躇なくお勧めできる作品です。


