一陣の光s recensionslista

新入社員が上司を選ぶ、という斬新な設定が奇抜な
”ひみつ”先生の表題作・第11話～第19話(最終話)
に番外編1～3を収録した、完結巻。
印象に残った収録作品は、それぞれに人間味があり
かつ魅力的な女性上司ゆえ、結局、選ぶことができ
ない”三田新一”・・・な、「第19話」。
読んでいて感じたのは、人間味溢れる、女性上司達
の生態。特に”新開地るな”は”ひみつ”先生のお気に
入りだったのか、話数を割いて描かれていていまし
た。奇抜さや斬新さが記憶に残る、表題作の最終巻。

何事にも真摯に取り組むヒロインを応援したく
なる”あずまゆき”先生、表題作・第7話～第13
話までを収めた二巻目。
印象に残った収録作品は、店頭に並んでいる商
品の知識を深めるため、ヒロイン”清水杏咲”と
彼女の女友達”中津川彩奈”の二人がエログッズ
と格闘している「第11話・ドキドキ商品研究」。
男性経験がありそうにみえた”彩奈”が、実は処
女だったことが発覚する、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、”櫻井護”の実父
が営んでいた『国道沿いにある謎の店』を実父
急逝の為、引き継ぐことになった”護”と、彼の
幼馴染で生真面目なヒロイン”清水杏咲”と切り
盛りしてゆく、という設定の妙味。いろんな切
り口で展開が見込める”あずまゆき”先生ならで
は、な、巧みさ・老練さが、印象に残りました。

仲睦まじい”きぬ”と”遥”の新婚生活を食べ物を通し
描く”崎由けぇき”先生、表題作・其ノ十六から其ノ
三十三までを収録した、二巻目。
印象に残った収録作品は、”きぬ”は、”遥”の希望で
ライスカレーなるものを作ることになるが、見たこ
とも食べたこともないので、”遥”の実家で食すこと
に・・・な、「其ノ十八」。裕福とは聞いていたも
のの、あまりにすごい、その実家に目を白黒させる
”きぬ”が可愛い、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、仲睦まじい二人。と
らえどころのない”遥”を、キッチリと掌握している
”きぬ”がイイ味、醸し出していました。ゆったりと
流れる、作品内の時間が味わい深い、二巻目でした。

メインの”信子”と”入江くん”との仲も、気に
なりますが、”金子慎也”と"篠崎さん"との仲
も気になる”田村茜”先生の表題作・第27話～
第32話と特別編を収録した、六巻目。
印象に残った収録作品は、バイトを始めた頃
の”篠崎さん”と、彼女を支えようとしている
”金子慎也”とのつながりを描いた「特別編」。
読んでいて感じたのは、メインキャラな二人
の関係が、ゆっくりと、確かなものになって
ゆく中で、周りを固めるサブキャラも、その
関係を深めてゆく姿を、丁寧に描いている点。
”田村茜”先生の、お人柄がしのばれる、一冊。

本巻を読んでいて改めて、猫とか、狸とかの描き
込みが丁寧で繊細だな、と、遅ればせながら気が
付いた”桑佳あさ”先生の表題作・第53話～第60話
と特別編が収められた、七巻目。
印象に残った収録作品は、もうすぐ誕生日を迎え
る”ひなた”。今日、誕生日会を開いてもらえるの
で、落ち着かない彼女の元に訪れたのは”サダヲ”
と・・・な、第53話「タヌキ的パーティー」。
読んでいて感じたのは、物語の終焉に向け、静か
に、少しずつ動き始めている、という、その様子。
ただ、一巻目から一貫して、少し不思議な作品の
世界観と”桑佳あさ”先生自身が醸し出す、柔らか
な空気感から、暖かで優しい読後感に浸れる結末
に、なりそうな予感がするのは、私だけでしょう
か。
今更ながら、登場する動物の描きこみの繊細さに
気づいた七巻目。”桑佳あさ”先生、ごめんなさい。

ある意味、徹底しているヒロインのキャラクター
デザインが芳醇なストーリーを醸成している、作
画”すぺしゃるじー”先生・原案”チンジャオ娘。”
先生の表題作。
印象に残った描写は、初め、男性主人公”拓巳”も
ヒロイン”斎藤祥子”も、避妊には気を付けていた
のですが、生でする快感を知ってから、おざなり
になってゆく様子を丁寧に描いている点。それが
最終的な巻末の結果を招くのですが、そのことに
”拓巳”が納得しているので、必ずしも、不幸とは
なっていないところが救われます。それにしても、
終始一貫して、徹底している、ヒロインのキャラ
クターデザインが記憶に残る、作品でした。良作。

”文野さん”の内心が語られたことで、物語全体
の見え方が変化した”榎本あかまる”先生、表題
作・34個目～44個目(最終話)が収録された、
四巻目・最終巻。
印象に残った収録作品は、他者とのコミュニケ
ーションが苦手な”文野さん”。彼女の内心が明
かされた「41個目・MONO消しゴム」。
読んでいて印象的だったのは、ファーストイン
プレッションとは異なる”文野さん”。彼女の本
当の姿を知り、周りに人が集う様になる、最終
話・44個目が大団円に相応しい、まとまり方で
良かったです。
本音を言えば、もう少しだけ”文野さん”が文具
と戯れている姿を見たかった作品でした。良作。

『虫歯機能』を実装されたりと、どんどん人間化して
ゆく”ロボ”が、なかなかに苦労人な”柴”先生の表題作
16エピソードを収めた、三巻目。
印象に残った収録作品は、顔に広い”ロボ”が頼まれて
『おたのしみ会』の余興で腹話術を披露する事に、な、
「白衣さんと小白衣さん」。”ロボ”が、腹話術人形な
”小白衣さん”を・・・なんかシュールな絵面が楽しい、
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、日頃、突き放した様な
言動をする”白衣さん”が、”ロボ”のことを家族と認め
ている点。
『じんわり』とやってくる、”笑い”が堪能できる一冊。

登場人物の日常を繊細にすくい上げ、大切に
物語化してゆく手腕に喝采を送りたい、原作
小説のコミカライズ・表題作・第1話から第
7話までをを収録した、一巻目。
印象に残った収録作品は、不注意から、手に
怪我をした”山口くん”。その光景を見ていた
隣の席の”佐藤さん”が手渡ししたのは、絆創
膏・・・な、「第1話 隣のあの子と絆創膏」。
モノローグで、”山口くん”の”佐藤さん”評が
語られるのですが、彼女のことを『苦手』と
評しながら、既に惹かれていることを、ある
意味、告白している”山口くん”が、好印象な
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、一人遊びに熱
中していたり、からかってきたり、とかいう
ケレン味はありませんが、その、オーソドッ
クスなスタイルが、却って、静かに押し寄せ
るさざ波の様に、読み手を捕らえて離しませ
ん。
丁寧に読みたいという衝動に駆られる、良作。

絵柄も詳細な設定も異なるものの、何となく
『往年の名作』が思い浮かぶ”板倉梓”先生の
表題作・第1回から最終回(第9回)を収録した、
単行本。
印象に残った収録作品は、”泰輔”というご主
人に先立たれた未亡人のヒロイン”泉透子”と
男性主人公”本間肇”が出逢う「第1回」。
読んでいて印象的だったのは、あの、往年の
名作が思い浮かぶ、作品内の空気感。絵柄も、
詳細な設定も異なるのに不思議な感覚が読後、
残りました。未亡人とは思えない”泉透子”が
記憶に残る、”板倉梓”先生の長篇作品でした。