作品内容
東北地方のとある場所に存在する小さな集落「おらが村」。
冬は雪によって全てが覆われ、それ以外のシーズンはもっぱら農作物の世話に追われる。
医療も交通も充実というには程遠い。それでも、人々はこの土地を離れず代々の田畑を守り暮らし続けていく。
時代の波が届かないわけではなく、この暮らしが極楽だと思っているわけでもない。
どうしてもここで生きてゆく気にさせる何かがあるようなのだ。
おそらく、ここが「おらが村」だから……。
矢口高雄先生が綴るライフワーク的作品であり極上の農村ヒューマン・ドラマ、第3弾。
それなりに安定した農家・高山家の主、政太郎は村会議員を務める温厚な男。
周囲の村人よりも少し遠く広く物事を見渡せる彼にとっても、長男の未婚はやはり頭を悩ませる問題だった。
おりしも季節は秋。山の樹々はあまねく葉を色づかせ、豊かな果実をみのらせる。
息子の縁談も自然に熟してくれたなら……。
おっとり型の息子・政信に結婚相手は見つかるのか!?