ユーリンゲンさんのレビュー一覧

前話の茶番加減から打って変わって、今回の〆はかなり物語の縦線に触れてきたように思えます。そして、自分の琴線にも触れた。
ロボ子の方とだいぶ仲良くなってきたこのはは、若干口車に乗せられつつも自分がなぜ5648で大金を稼ぐのかを話します。

いやー･･･ねぇ、ここ話した内容読者に判らないんですよ。「ロボ子がその内容を知った」って事実が陳列されただけで。
「自分が本物だ」とこのはに気付いてほしいさとこは、自分のアイデンティティを示します...
今回、このははメガネの下にいったいどんな感情を隠していたのでしょうか?
主人公の行動によって各々の主観がどんな感情を抱いていたのか"察する"ことができる。話の流れに痺れました。
"ロボ子の作り置いたみそ汁は美味かった"の、一点の客観事実で〆るところも実に渋い。

開幕からまず吹きます。忍者に5648にロボと来たら面白くならないはずがありません。
5648としてのこのはをライバル視する新たな5648・マリンちゃんが登場!
すでにさとこと入れ替わるようにロボがこのはと暮らしてるのが、見せ方が良い。ていうか、テンポ早過ぎだろいくらなんでも!(笑

今回いつにも増して茶番感を前面に出してきますが、余計な説明はしなかったりさとこがメタ的なセリフ回ししたり、
この作品のユニークさが絶好調です。とにかく引きまくり、次回が非常に気になります!

あくまで聖女【2話】
辺境の村に聖女として迎え入れられることになったヒロイン・アクノ。衣食住に仕事まで与えられる厚遇なのに居心地悪し。
普通、大抵の俗っぽいキャラクターならこの状況を謳歌するところですが、ヒロインの出自によって違う反応になる所が面白い。
魔界へ帰るという明確な目的や、流された状況とはいえ自分の役目をしっかり果たそうとする律儀さは高潔な印象にすら成り得ます。

――そして、村人を慈しむ気持ちが、その祈り(呪い)が自分に血を流させるという結末に、どこか嗜虐心を刺激されるのがツボですねw
これは前述のように、ヒロインの高潔さを上手く立ててることによりある種のギャップ萌えのような化学反応を読者に与えて
くれるのではないでしょうか。自己犠牲によって誰かに愉悦を与える――まさに二律背反のタイトルから生まれる面白さです。

欲を言わせてもらうと、ページ数が少ないのが残念です･･･

1巻巻末のおまけ漫画として、ここまで登場(そして退場)した先輩くノ一達の前日譚的なお話があります。
厳しい里の修行を終えて独立した後の笑いあり涙ありの思い出話に花が咲きます。一番先輩のふみこはさとこについても
言及してるシーンがあり、ここのパートが単なるおまけにとどまらない意味を示唆しているようにも思えます。
ちょっとセンスがイタいけど女子力高そうなあすか先輩、男性に対して奥手で動物好きなみどり先輩、キャラが立ってた(過去形

この先、忍びの里と敵対したさとことこのはには平穏は訪れないでしょうが、そこで一体どんな人間の感情を見せてくれるのか...
見届けたいと思います。(くのいちいいよね...

このはとのすれ違いから家出してしまったさとこ。転がり込んだ先は百合の花が咲くアパートでした。
表面上は仲睦まじくイチャラブする黒百合カップルでしたが、お互い腹の探り合いをするような不和も見てしまうことに。
それがさとこ自身の、このはのために訓練しようとする純粋さ・幼さに帰結するシナリオ展開として重なるところが巧みです。

今回急襲してきた敵は、抜け忍メンバーの一人であったためその"形見"を無碍に出来ないという結末になりましたが...
今後のシナリオにどう繋がるのでしょうか?
百合ちゃんの身体は本当にエロいっっ!

世間知らずなさとこにとって、何かにつけて相談できる相手はリーダー。いやまぁ、リーダーもなかなか浮世離れしてるんですけどね。
このはに気に入られるためにさとこが選んだのは、マイクロビキニプロンwithてんぷら油。
ネットは広大なので、この斬新な組み合わせにフェチ心が芽生える諸兄もいるかもしれません。実際、自分もちょっといいなと思ったw
↑ここまでが前半(えび天おいしそう)

今回はお色気ギャグで平和だな～と思った矢先、敵が"かつて仲間だったモノ"を携えて現れ、その瞬間戦慄が走りました。
読者が勝手に水に流して見てたであろう一面を、こう繋げてくるとは。カタルシスと同時に背筋が寒くなるこの感じ、
この作品ならではの"貌(かお)"が見えてきましね!シナリオ展開から目が離せません。

自分のやりたい事を探していたさとこですが、あっさり初めてのバイトを辞めてしまったようです。それもそのはず、、、
前回わりと一発ネタで終わったようなあのバイトでしたが、きちんとさとこの口から詳細が語られ、改めてヤバい内容だったとw

さとこは自分から見たリーダーやこのはとどんな人間関係なのか、改めて思い悩むことになります。
リーダーの恋人さんがうっかりしゃべり過ぎなくて良かった。。あやうく、
小洒落たイタリアンのお店がトマトソース塗れになるところでした(笑

髪下ろし制服さとこちゃんカワイイ!!変装しなきゃ正体が知られる、っていう理由付けも自然で、実にテンションが上がります。
殺し屋の仕事で大金得てるんだからバイトなんてする必要なくない?そうじゃなくて「色々なことにチャレンジしたい」っていう
等身大の十代の感情にもすごく好感が持てますね。
「履歴書はウソを書くもの」･･･実感がありすぎて、色んな意味で身につまされます(笑 君、忍者だよね?w

皮肉にも、真っ黒な経歴だからこそバイトで生きる(?)オチは、パンチ力ありすぎです!

里から抜け出して凄腕の殺し屋・このはとなんやかんやで共同生活することになった抜け忍・さとこ、改めて何を思う?
超テンポ重視で倫理観を悉くスライスしていくのクセになる展開。
さとこもリーダーも忍者の里にいたのを振り返るに、やっぱり外界から隔たれていたのがおかしいことに気付き始めます。
「自分の技術を活かすこと」の問いに対して、「抜け忍が返り討ちなんて許さない」という理不尽さをぶつけることによって、
キャラや設定が詳らかになっていく流れが面白いなぁ。シュールな作風だけど、間違いなくここには"人間らしさ"が内包されている。

リアルな作画ではないんですが、飲み食いするシーンが不思議においしそうに見えるのが良い。

勇者であるシリーズの原点にあたる『のわゆ』では、バーテックスの襲来による西暦の終わりと神世紀の始まりが描かれます。
結城友奈と鷲尾須美の章からも察することができると思いますが、大赦の一角である乃木家の源流を辿った若葉が主人公です。

作中でも言及されていますが、若葉のクラスメイトが犠牲になったり、勇者に選ばれた後にも交流があった諏訪の白鳥さんなども
退場してしまうなど、とにかく描写がハードです。(そういうのが好きな人にはおすすめです)

自分達の世界を奪った者に報いを――、その強い意志が後世の勇者たちに繋がっていくのがベタな言い方ですが、エモいですね。
「なんでこっちの章にも"友奈"がいるの――?」そう思った方は是非この章を完走してください。