一陣の光's Review List

抒情的なストーリー展開が印象に強く残る
”桃之助”先生の、前後編一本と短篇七本が
収められた作品集。
印象的な収録作品は、幼い頃に両親を亡く
したヒロインと幼馴染の主人公。彼女がモ
デルとなり都会で活躍している姿をみてい
て・・・な「私ノ帰ル家」。
欲望の果てに、というよりも、相手を思い
やる感情を発露に・・・という展開は、抒
情的な読後感を、より一層、強く読者に与
えます。郷愁誘う絵柄も引き立てる、一冊。

郷愁誘う、懐かしさを感じさせるストーリー展開が
堪能できる”桃之助”先生の、表題作・全三話と独立
した短篇五本が収録された作品集。
印象的な収録作品は、両親が残した家に住んでいる
主人公が、お世話になった人の”娘”を預かることに
なり・・・な「褐色のアルデシア」。
褐色や日に焼けた肌を、印象的に描く”桃之助”先生
ならでは、な作画と、ウエットなストーリーとが世
界観をキッチリと確立させています。ヒロインの性
格付けがポイントな軽快な読み心地と読後感の一冊。

少し、荒唐無稽な設定で進むストーリーが、不思議な
読後感を醸し出す”八尋ぽち”先生の、第一話～第八話
が収められた長篇作品。
印象的な収録作品は、自動車学校に通うことになった
”黒魔術”が使える主人公。女性指導員に・・・な展開
の「第四話」。
読んでいて印象的だったのは、少し、荒唐無稽な設定
なのに、ヒロインの、可愛いキャラクターデザインに
よって成立してしまう点。絵柄のファンシーさが上手
く、黒魔術のファンタジーさを下支えしている印象を
感じました。女性キャラクターの可愛さが良い作品集。

”佐野タカシ”先生お得意の、情念を根底に忍ばせた
重厚なストーリーが印象的な、独立した短篇六作品
を収めた作品集。
印象的な収録作品は、二十年ぶりに再会したクラス
のマドンナを見て、”忘れ物”を思い出した主人公な
「第二夜・陰」。
読んでいて印象的だったのは、ネットリとした情念
を丁寧に描きあげる、その巧みさ。”佐野タカシ”先
生の”技”が光っていました。少し贅沢な短篇作品集。

軽快な読み心地が記憶に残る”水島空彦”先生の
短篇八本が収められた作品集。
印象的な収録作品は、新卒・新米ナースのヒロ
インと、彼女のことが心配な主人公・・・・な
「第2景・落ち着け白石さん!」。
読んでいて印象的だったのは、丁寧に描かれた
お互いの信頼関係を構築してゆく、ストーリー。
それが、爽やかな読後感を育んでいる、と、感
じました。繊細な描写・表現が光る軽快な一冊。

コドモな感覚を引きずったまま、仕方なく大人になった
女教師なヒロインの、ココロの葛藤を繊細な描写で描き
あげた”大見武士”先生・表題作・第1話から第6話までを
収めた、長篇作の一巻目。
印象的な収録作品は、大志を抱いて教職に就いた訳では
ない、文芸部顧問のヒロイン。新学期、入部してきた新
入生の男の子に・・・な「第1話」。
読んでいて印象的だったのは、”新入生の男の子”との出
会いから、ココロとカラダを揺さぶられる様な、今まで
感じたことの無い”感覚”に目覚めてゆくヒロインを、繊
細なタッチで描きあげている点。
少し、いや、かなり屈折したヒロインの”想い”の行き先
は・・・。重厚な読み心地が、しばし、堪能できる一冊。

シンプルな描線の、少しソリッドな絵柄が個性的な
”西野映一”先生の表題作・Room01～09までが収め
られた作品集。
印象的な収録作品は、今まで女性と付き合ったこと
がない主人公。相手の女性も、男性を知らない人で
な、「Room01　神谷ちはる」。
お付き合いする相手を探している女性が、多く住ん
でいる場所へ、やってきた主人公が、それぞれの女
性と一ケ月間、同居してみて結婚相手を探す・・・
な、ストーリー。ファンタジー的な要素を含みつつ
も実際的で、理(り)にかなった方法なのかな・・・
と、読んでいて感じました。RPGゲームの様な一冊。

主人公君と”二人っきり”の時と、女教師としての仕事中
との落差に、”ギャップ萌え”する”松山せいじ”先生、表
題作「第一話～第六話(最終話)」と、独立したストーリ
ーの、短篇一本が収められた作品集。
印象的な収録作品は、他のひとの視線や、お互い初めて
交際ゆえの、紆余曲折を超えて、結ばれる二人を描いた
「最終話(第六話)　卒業～さよならは先生のために～」。
読んでいて印象的だったのは、”葛藤”や”もどかしさ”を
繊細に描きあげている点。収まるところに納まる作品集。

意識しすぎてしまい、上手く、関係を構築できない
恋人同士を描いた”小鳩ねねこ”先生の、独立したス
トーリーな短篇一本と、表題作の「とろり.1～5」
を収録した作品集。
印象的な収録作品は、”彼氏”の部屋を初めて訪ねた
ヒロイン。良い雰囲気になったものの、”彼氏”が暴
発してしまい・・・な「とろり.5」。
読んでいて印象的だったのは、付き合い始めて間の
無い恋人同士の”葛藤”を、俯瞰(ふかん)的な視点で
優しく見つめている”小鳩ねねこ”先生の眼差し。
”葛藤”と”もどかしさ”を、丁寧に表現している一冊。

表題作・全六話と、四話構成の別タイトルが併録された
”秋・枝”先生の作品集。
印象的な収録作品は、ヒロインと付き合うことで次第に
疲弊してゆく自分に気が付く主人公君・・・な表題作の
「challenge04」。主人公君が生まれて初めての彼氏な
ヒロインは、彼との絆(きずな)を深めたいと思い、行動
している姿に、言い知れぬ”圧力”を感じてしまう、主人
公君の”心のうち”を描いていました。
読んでいて感じたのは、相手の為にと想い、とる行動が、
必ずしも相手の為とは言えないところを、描きあげてい
る点。異性関係のみならず、人間関係一般にも言える事
で、それを丁寧に構成・展開へと盛り込んだ作品でした。