Nouvelles critiques

今回は、前半と後半で温度差が激しいお話となっております。

前半は王女様が王位継承権を放棄した話を中心に笑える内容に、後半からはもう一人のヒロインにこの先どのような行動とるかを『どんな理由で』選ぶかを真剣に問うものでございます。

後半の『信じるのは後からでもいい、都合がいいからと割り切ってもいい』というようなセリフは極めて印象的でした。

(主に言い回しのせいで)王女様の提案によって、その場が凍り付く・・・というエピソードでございます。

しかし、その後語られた提案の内容自体は至極まっとうなものでございました。

実の父親からキテレツ呼ばわりされるような娘ではございますが、魔学なんてやってるだけあってか考えるときはしっかり考えて動くタイプのようでございますね。

『王子様』に救われた一人の娘の物語は彼女がその胸に抱く2つの夢に手が届くところまで来たという綺麗なフィナーレを迎え、主人公は久しぶりに本来の姿へと戻り故郷へと戻ります。

主人公がこの世界にもたらした商品の材料を大量生産するために、故郷の姿とそこに暮らす領民たちの暮らし向きは少し変わっていましたが、彼らの主人公を慕う心だけは微塵も変化することはありませんでした。

彼らから大量のプレゼントを受け取る羽目になった主人公の姿を想像すると心が温かくなります。

アプリを使い、すっかり別人めいた姿へと変貌を遂げた主人公くん。
相変わらず中身は一緒なんだけど、他人からの向けられる視線はすっかり別物に変わった様子ですね。

そんな彼が次に目を付けたのは、気弱なドジっ子ちゃん。
主人公自身の目的には含まれていないものの、何やら悩みを抱えた様子の彼女が真情を吐露するとなれば・・、なんらかの解決へと至るのでしょうか。
現状持っている能力がそれにどのような影響をもたらすのか、すごく興味を惹かれる部分ですね。

次第に能力を使いこなしつつある主人公。
人知を超えたそれに恐怖を覚えつつも、好奇心赴くままに行動してしまう性格が幸いして・・ことをうまくこなしつつあります。

ただ、攻略的な要素に集中してか、若干自身が気持ちよくなるという目的が忘れられつつあるようにも見えますね。
そう言った部分が物語に影響するのか?気になるところです。

家の中では天下無双の勢いで暴言振りまくくせに・・一度外に出て、おっかない顔したおじさんの前では縮こまってしまうその姿、本当、内弁慶を地で行く主人公くんに、思わず笑ってしまいました。

でも、結局人間ってそう言うところあるんですよね。
あえて包み隠さない感じとか、美人なお姉さんの前で虚勢を張ろうとしてあっさり見抜かれたりとか。リアルでおもしろいです。

前回登場したキャラから語られ、見せられたのはこれまでとは比較にならないほどの危機が迫っているというあまりにショッキングな情報でございました。

主人公をしてハードモード、次元が違うと言わしめるほどでございます。

前回作ったばかりの街が早速に役に立つわけでございますが、製作者らにとってはちっとも嬉しくない展開と言えましょう。

ヒロインたちの色気漂うボディラインなんかも含め、全体がすごく色っぽい印象で形づくられた作品と言うイメージがあるんですが、でもそのうえでコメディっぽさも豊富にふくまれているため、すごくリラックスして気楽に読める娯楽作品と言う感覚ですね。

こうした傾向の作品あるあるで、ちょっとでもいい雰囲気なったら即らぶらぶに発展!となるかと思いきや、あくまでも誠実であろうと振舞おうとする主人公くんは、どこまでもいいやつだなって感じます。
そういうところもあって、好きな作品ですね。

「そういう間柄じゃない」っていう意識も先行していたのかもしれないけど、あっさり感情のままには動かないっていう主人公くんの姿勢は、とても紳士であるように見えました。
ちょっと天然で抜けてるところなんかもあるけど、そういう根っこの部分がすごくいいやつって感じですよね。

そのうえで、相手に恥をかかせないってところも好印象。
そんな彼が、元カノと別れてしまったことにも何か意味があるのかな?とか興味がわいてきました。

酒の勢いによるあやまちと、早とちりと言う勘違い。
このふたつの間違いが、おかしな偶然の一致を呼び、ものがたりが始まる。

そうした導入部分のアイディアが、発想力に富んでいて、とてもおもしろいですね。

悪気はないものの、お互いがお互いを怪しんでいたり、微妙にゆるい雰囲気をたたえたところもなんだかかわいいですし、すごくくせになる世界観です。