一陣の光さんのレビュー一覧

”じわじわ”くる面白さが記憶に残る、”柴”先生、十七の
サブタイトルが収められた四コマ漫画の表題作・一巻目。
印象的な収録作品は、”ロボ”に、新たな機能をくわえた
”白衣さん”。二人でかき氷を食べ、頭キンキンに・・な
「白衣さんと生活計画表」。
読んでいて感じたのは、中に”オカン”が入っていそうな
”ロボ”と、その創造主(そうぞうぬし)で、生活の面倒を
みてもらっている”白衣さん”の日常を、四コマ仕立てで
描いています。”ネタ”は案外、シュールだったりシニカ
ルだったりしますが”じわじわ”くる面白さがありました。

何気に高い、ヒロインの処女率が記憶に残る”桃之助”先生
の、2016年に雑誌”ビタマン”へ掲載された、短篇七本が
収められた作品集。
印象的な収録作品は、もう新人とは言えないのに、仕事で
ミスの多い主人公。上司なヒロインから新人の面倒を見る
様に言われて・・・な「社内恋愛は荒れ模様」。仕事がで
きるヒロインの”弱み”が印象的な短篇でした。
読んでいて印象的だったのは、巧みな設定から、恋愛関係
には不慣れな”年上の女性”を描く”桃之助”先生ならではな
作品の構成力。地味な印象ながら豊満なカラダを持つヒロ
インが”華”を添えています。一途な想いを丁寧に描く一冊。

職場内でのパワーゲームに”さらされて”いる、新人女性
アナウンサーを描いた”葵抄”先生の表題作・第六話から
第十話までが収められたフルカラーな長篇作の二冊目。
印象的な収録作品は、料理番組のスタジオ収録で、料理
指導のシェフが・・・な「第六話」。
読んでいて印象的だったのは、入社時に何かと尽力して
くれた男性の”力”になれれば・・・と奮闘しているヒロ
インの”姿”。努力しているベクトルに若干(じゃっかん)、
見当違い(けんとうちがい)な感じがしなくもないですが、
健気(けなげ)にがんばる姿に、共感が持てました。
ヒロインの魅力を生かした、カラーページも美麗な一冊。

「ぱらのいあ.1～16」が収録された”クール教信者”先生
の長篇作・一巻目。
印象的な収録作品は、BLが”ホーム”な女性アシスタント
から”恋愛とかに興味ないんですか?”と聞かれ、返答に
困る女流エロ漫画家な主人公、な「ぱらのいあ.13」。
読んでいて興味をもったのは、主人公が連載している作
品。どんな作風で描かれているのか、読んでみたくなり
ました。”パイポジ”という言葉が飛び交う、漫画家の執
筆現場を、臨場感たっぷりに描写していて、当たり前で
すが、”艶”も”色香”もない執筆風景が、何とも言えない
”味わい”をもって描かれていました。
主人公が連載している”作品”を、読んでみたくなる一冊。

心の底から欲しているモノを、素直に表現できない登場
人物の心理的”葛藤”を繊細に描く”クール教信者”先生の
表題作・「おじょ1～15.5」が収められた、長篇作品の
一巻目。
印象的な収録作品は、主人公君自身が感じた、ココロの
変化を描いた「おじょ15.5」。ヒロインとの関わり合い
から、移ろいゆく自分への”戸惑い”と”葛藤”を描写した
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、育った環境から、自意識
が城壁の如く、高く・堅牢になってしまい、周囲に溶け
込む事が出来なくなってしまったヒロインと、浮世離れ
した感性から、孤立してしまった主人公君が、様々な葛
藤を超えて、”良き理解者”になる過程を丁寧に描いてい
ました。”あぶり出す”様に、事細かく表現する登場人物
の心理描写は、他の作家では表現できない”繊細さ”をも
って読者に迫ります。
”ラブコメ”の範疇を超えた、唯一無二な”世界観”の一冊。

女性ばかりの世界で、相互監視の中、生きてゆく過酷さ
を丁寧に描いた”浦川佳弥・浦川まさる”先生の、表題作
第一幕～第八幕までを収めた作品集。
印象的な収録作品は、父親から、その”男勝り”な性格を
直す為、”奉公”に出されたヒロイン。奉公先は・・・な
「第一幕・綱吉が求めた女」。
読んでいて感じたのは、己が(おのが)権力を、誇示する
人間の”非情”さを盛り込んだストーリー。いろいろな手
段を用いて(もちいて)相手を陥れて(おとしいれて)ゆく
過程を、緻密に描いていました。ヒロインの屈託の無さ
(くったくのなさ)に救われる、重厚な読み心地の作品集。

少し変わった”アルバイト”をしているので、日常生活や
恋愛関係にイロイロ、障害が発生(はっせい)しているヒ
ロインを描いた”荻尾ノブト”先生の、表題作・第一話か
ら第七話までが収められた作品集。
印象的な収録作品は、恋愛小説が好きで、文芸部の部室
で小説を書いているヒロイン。部の先輩男子にイキオイ
で告白して・・・な「第一話・神代陸奥、死者を呼ぶ!?」。
読んでいて印象的だったのは、裏表がなく、真正直なヒ
ロイン。”アルバイト”をしていることで、先輩男子との
関係に障害が生まれたりしますが、持ち前の正直さから、
乗り越えてゆくバイタリティーが彼女にはあって、二人
の”仲”が良い方向へ転じてゆくのを、繊細に描いていま
した。ドタバタした流れも楽しい、軽快な読後感の一冊。

感じた事を、キチンと相手に伝えることで、関係を構築
してゆく”実兄・義兄”な主人公君と、実妹・義妹が鮮烈
なインパクトを放つ”由井ひな子”先生の、表題作第一話
から第七話までが収められた一巻目。
印象的な収録作品は、母親に、年子な実妹と実兄な主人
公君の三人家族で仲良く暮らしていたところに、母親の
再婚から義理の父と義妹が突然、あらわれて・・・・な、
第一話「俺の妹、可愛すぎる」。
読んでいて印象的だったのは、複雑になってしまいそう
な人間関係を、相手の事を深く思いやる三人の姿をとお
して、丁寧に描きあげている点。実兄・実妹の関係が良
好であった事が、義妹のこころを、ほぐしているところ
が際立って描かれており、読み心地を昇華させていると、
感じました。ほわっとした独自の読後感が味わえる一冊。

”榎本あかまる”先生の伝えたい事が、しっかりと伝わって
くる、表題作・第一話～第九話までが収録された一巻目。
印象的な収録作品は、母親が仕事で出掛けていて、ひとり
で”お留守番”している女の子が、不思議な”いきもの”と出
会う・・・「第一話・小花とたまうさぎ1」。母親の事を
気づかい、涙を見せない様に必死で頑張る女の子の健気さ
(けなげさ)が読者の涙腺を緩ませる、切ないお話でした。
読んでいて感じたのは、お話ごとに、牽引(けんいん)する
登場人物が変遷(へんせん)してゆきますが、そのこころに
”寂しさ(さみしさ)”を抱えている点は共通していて、不思
議な”いきもの”に、救われてゆきます。少しづつ、明るさ
を取り戻してゆく登場人物に、読者も勇気づけられる一冊。

”四コマ”ということもありますが、小気味よい構成なので
軽快な読み心地の”安西理晃”先生が描く表題作、SISITER
1~18と、おまけマンガが収められた一巻目。
印象的な収録作品は、弟君の”気になる女子”は・・・・な
「SISTER・7」。
父親が突然、再婚。いきなり”母親”と”姉”が出来た、弟君。
一人っ子で、母親と二人きりだった”姉”が、ずっと欲しか
った”弟”なので、すぐさま距離感・ゼロな溺愛(できあい)
っぷり。”変な姉”と彼女の事を表する(ひょうする)弟君も、
やはり、それまで一人っ子だったので、そんな”姉”のキモ
チが理解できるのか、邪険(じゃけん)にしつつも、関係が
構築されてゆきます。
スキスキ光線飛ばしまくりな”姉”を、クールに受け入れる、
弟君が何ともカッコイイ”安西理晃”先生の長篇作・一巻目。