がろんごうさんのレビュー一覧
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いちおし作品
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「確かに今、自分はココにいる」
音声作品でそんな感覚を楽しみたいと言われれば、
私は本サークルさんの名前を真っ先に挙げてしまうでしょう。
今作もその期待に違わぬ素晴らしい作品でありました。
「他者との関わりに基づいて自身を認識・定義する」
人間にはそのような性質があるかと思いますが、
本作はそれを存分に利用し、シナリオが形成されています。
ぐいぐいと物語を牽引する賑やかな妹分「風花」
しっとりと空気を馴染ませていく恋人役「彩花」
二人のコントラストがリスナーを主人公として物語へ没入させ、
気が付けばまるでその世界で彼女らと共に生きてきたかのような
感覚を強く体験させてくれます。
その対照は物語展開でも発揮されており、
弾けるような風花時間から、静かながらも情熱的な彩花時間への変遷は、
『お祭りを心ゆくまで楽しんだ後に、人気の無い場所で逢瀬に興じる』
そんなイメージが浮かんでしまう、陶酔的ムードを醸し出してくれました。
本当に優れた技術とリスナー目線を合わせ持つクリエイターさん
だからこそ実現し得る作品です。最高のひと時を味わうことが出来ました。
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「自身の周囲を妖精が飛び回っているようだ」
そんな印象を抱いた本作は、流石は『川瀬のはねやすめ』さんだ…!!
というリスペクトを今回も強く感じさせてくれました。
バイノーラル録音であることを十分以上に生かした、本当に細やかな位置取り変化。
弾むような口調、演技から生まれる躍動感。
それらは台詞が含む『奔放・翻弄』要素を何重にも増幅させ、
安静にして聴いているにもかかわらず、左右に何度も首を振って
対象を追いかけるかのような感覚を与えてくれます。
それはまさに大人を嗤うメスガキと相対している実感に他ならず、
音声作品で『空間』を表現することに長けた本サークルさんの
作品だからこそ味わえる感動でありました。
次はいったいどんな『世界』を見せてくれるのでしょうか?
本サークルさんの新たな挑戦が今から楽しみでなりません。
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2022年06月22日
注目している声優さんが出演なさっている、ということで購入しました。
『現実の素敵な女性が発しそうな声』といった趣がある声優さんの声質は、
穏やかさの中に心をくすぐるような艶や可愛らしさを含んでおり、とても魅力的です。
通常会話で耳が心地よいのはもちろん、色っぽい部分では普段そういう演技でも
動じることのない自分すら、胸を高鳴らせるものがあるほどです。
本作の視聴を通し、今後技術研鑽を重ねていった先がより楽しみになりました。
作品内容は面白い試みであるものの、課題も見える印象でした。
視覚認識の方が圧倒的に早いため『音声終了を待つ』ことが多かったり、
『音声に対し動画の情報量が物足りない』と感じたりすることがありました。
手始めに音声かマンガ、どちらか一方に軸足を置くと引き締まるのではないでしょうか?
製作コストを抑えつつ、『音声作品+αの定番』と言うべきものに結実する可能性も
あり得ますので、ぜひ研究と実践を継続していただきたいところです。
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前作『ゆったり時間を楽しむ癒やしの耳舐め』で本サークルさんの
耳舐めの奥深さに感銘を受け、今作も購入しました。
期待に違わぬ出来栄えの中、特に評価したいのが『(1)舌を感じる耳舐め』。
舌の質量感が耳にこれでもか、というほど侵入してきて蠱惑的であるのに、
纏う水音が清流のように綺麗で心地よいです。
その美しさたるや、人の口・舌・唾液で奏でられたのが信じられないくらい…!
過去作一覧を見ると、本サークルさんの(DLsiteでの)活動開始は2018年のようで、
「これが耳舐め一本で戦い続けてきた、ストイックなクリエイターの実力か…!」
と、感服してしまいました。
新作はもちろん、過去作も含め『ありみえASMRワールド』を今後も楽しんでいきたいと思います。
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『照れる“彼女”とイチャイチャ公園キャンプ』
それがこの作品のタイトルですが……いや、これ“妻”じゃないですか?
結婚して数年は経過している愛妻との距離感じゃないですか!?
なんてツッコミたくなってしまうほど、本品はヒロインと一緒の空間が心地いいんです。
互いに愛している、それが既に前提として揺るがないが故の自然体。
足るを知るからこその、穏やかで幸福な時間。
それを存分に味わうことが出来ます。
また、シナリオ面では導入部の良さが光ります。
ヒロインは道案内で迷ってしまい、いきなり弱みをこちらに見せてくれます。
その様だけでも親近感を抱いてしまいますが、『携帯端末を忘れた理由』でひと押し、
『迷った体験をポジティブに捉えること』でまた更にもうひと押しがあります。
気が付けば『等身大に素敵な彼女』が以前からそうであったかのように自身の隣に立っており、
僅か開始5分ほどでヒロインへの感情移入と物語への没入が完了してしまいました。
世には綺羅星の如き作品が満ち満ちていますが、私が何度も繰り返し聴いてしまうのは、
本作のように地に足のついたそれだったりします。
きっとこの作品も私の再生機器に、ずっと入っている事でしょう。
私は『ヤンデレ』を『人間』として描いたものに、これまで殆ど出会ったことがありませんでした。
何時か『狂おしいほど人を愛する』ことにしっかり向き合った作品を味わってみたいと
考えていたところ、本作に巡りあいました。
ですが…それがまさか『人間を心から愛する悪魔』が綴ったかのような、超大傑作であるとは…!!
本作はヒロインが数々の悲喜交々を通し、雪が降り積もるかのように想いを募らせ、
やがてその重みに潰されるまでを非常に丁寧に、執拗に痛めつけるかのように描いています。
心理描写も素晴らしく、人であろうとする理性と、本能が急き立てる激情が
せめぎ合いつつも同居する様は、「人間、狂わなければ恋愛なんて出来ない」という
事実の一端をしっかり捉えています。
異性を真剣に愛したことのある人ほど、この点に共感“してしまう”はずです。
まさに『ヤンデレ』を『人間』として深堀りした作品であり、
『ヤンデレ』への『無理解』に『理解』という光を照らしたいという、
作者さんの愛情をも感じてしまうほど、真摯に、大切に紡がれた物語でもありました。
……それだけ?違う、これは『絶望を与える為に優しくした物語』だ。
「そうだ、その顔が見たかったんだよ」とヒロインへ最後に言い放ち、壊レモノを愛でる為の陰謀劇。
本作はドS、特に精神的嗜虐を好む方に強くお勧めしたい。
ヒロインの肩越しというリスナーの視点は、破滅を観劇する為の特等席であり、
介入こそ出来ないが『物語再生の針を進める』のは、心を重ねたヒロインを断崖絶壁の淵へ
追いやることに等しく、花を毟る、愛おしいものを慈しむように傷つけ引きちぎるような愉悦がある。
『人間を心から愛する悪魔』な作者さんの圧倒的筆力と、トップクラスの声優さんの真に生きた演技。
そんな極上×極上が生み出す、アンビバレンツな魅力に満ちた物語。
『最ッ高ッ』という賛辞以外が見つかりません…!!
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駆け出しのサークルさんらしく、状況や心境の代理説明を多用しすぎている、
リスナーと主人公の目線合わせが甘い等、改善すべき点は見受けられます。
しかしそれでもなお心を掴んで離さない、煌めく魅力が本作にはありました。
ヒロインのキャラクター造形が本当に素晴らしいのです。
『生前に過酷な凌辱を受けた』という事実が、恋焦がれていたはずの主人公との
関係性に影を落とし続けており、この点の表現に凄まじいリアリティがあります。
復活直後に『本心を疑う』のは序の口で、心が通じ合って触れ合う段階においてすら、
『主人公の男根に破壊者のそれを重ねてしまい、怯える』という描写がなされます。
その上で「繋がって見えなくなれば怖くない、ひとつになるのは幸せ」と発する様には、
「これは確かに血の通った、熱を帯びた人間の反応だ」と認識せずにはいられず、
吐息が、温もりが直に伝わってきそうなほど、ヒロインが近い存在に感じられました。
上記のような『繊細かつ、心をうつ心理描写』をはじめ、
『アダルト要素を物語やキャラクター成立の必然性として昇華している』
『悲恋を最後まで貫き、余韻をも楽しめる幕引きである』等、
作者さんの迸る、優れたセンスによる見どころが満載の一作でした。
また、サークルさんにはぜひ二作目、三作目と歩を進めていただきたいですね。
本作の題材である単語は、突き詰めれば『記号もしくは音の集合』でしかない。
男性が本能的に求めてしまう、異性のアレであると定義されているからこそ、
この単語は特別な意味を含んで響くのだ。
本項の説明にもある通り、この作品は意味不明である。
だがそれは本作が我々にとって『未定義』である故ではないだろうか?
10人がひとつの単語に、様々なニュアンスを込めて発声している。
声優さん達の演技カタログとして本作を捉えてもよいし、
個々人の演技限界への挑戦を楽しむものとしてもよい。
推しの定番演技の良さを再確認しつつ、レア演技に興奮するのも一興であるし、
今まで未聴だった方の魅力を発見するきっかけにして、出演作に手を伸ばすのも自由だ。
妙なる見識を有するリスナーならば、彼女らの演技や声優業に対する姿勢や、
人となりすら看破できるかもしれない。
意味不明を受け入れるのも、またひとつの選択肢だろう。
下に関わる言葉がただただ面白かった幼い頃のように笑い転げてもいいし、
日常から離れ、頭を空っぽにして在るがままに耳を澄ますのもいい。
変な依頼を承諾してしまった声優さん達に思いを馳せるのも
心を豊かにしてくれる可能性があり、これらはある種の癒しを与えてくれるだろう。
以上のように様々な例を挙げることはできるが、唯一無二の真実があるとすれば
『君自身が購入し、全部聴いてみなければ分からない』ということである。
さあ、ページをスクロールさせて『カートに入れる』を押したまえ!!
本サークルさんのキャラクター素材も5作目。
これまでと同様の『安定した品質と扱いやすい仕様』はもちろんのこと、
『服装差分の増量』によってさらに価値ある一作となっています。
細かいところでは、制服時にストッキングかハイソックスかを選択できるのが注目点です。
事情や好みに合わせて選べるのは嬉しいですし、体操服のサイハイソックスまで目を向ければ、
ストッキングを上手く流用して他のふたつを制作していることに気が付きます。
このような小技で素材価値をさらに高めようとしてくれるのは、とても嬉しいことですね。
キャラクター的には『本作までで一番個性が強め』の子かもしれません。
立ち絵や表情を眺めているだけで、台詞や声が脳裏に浮かんでくるかのようです。
『生きたキャラクター』として魅力的な用い方が出来るに違いありません。
制服の胸元がはち切れそうなのも、真面目そうな見た目との落差があって面白いです。
これまでにも増して「この子を使ってみたい」と思わせてくれるキャラクター素材でした。
この物語がもし劇場で披露されていたとしたら……
その幕引きと共に私は席を立ち、万感の思いを乗せて惜しみない拍手を送っていたことでしょう。
『多感な時期に経験した、忘れえぬ物語たちに並ぶほど“思い出となる作品”』
私にとって本作はそう表現するしかない、素晴らしい人間讃歌でありました
何よりも登場人物達が魅力に満ち溢れています。
それぞれが事情を抱えながらもまっすぐな心で今に立ち向かい、
支え合って生きる姿には、愛おしさを感じずにはいられませんでした。
誰が主役でも疑問が無いくらいの密度をもったキャラクター達でしたが、
『主人公が主人公足る所以』が物語でしっかり発揮されていたのには、特に感嘆しました。
少年フォルテは英雄的な活躍をする訳でなく、挫折し、あがき、迷い、決断して行動したのみ。
しかしその姿は周囲の人間へ影響を与え、それぞれの物語が動き出す発端となっており、
この『主人公がいたからこそ』という強い説得力を発揮していました。
そんな生き生きとした登場人物たちが、物語の正道をひた走るのです。
すべてのシーンに共感し通しで、紛うことなく『彼らと共に泣いて笑った』ひと時と言えます。
幕引きが迫る頃には、物語の区切りが迎えられて嬉しい、でもこの世界から離れたくない…
そんな風に思ってしまったほどです。
心からの満足感を味わえた本作に出会たことは、本当に幸福でした。
このボイスドラマを制作してくださったサークルさんや関係者さんに、
遠くから拍手を送らせていただきたいと思います。ありがとう!!