Liste des critiques de ホトギリス

千葉千夏絵に対し、おそらくは塗りがもっとも原画を活かしたゲームだと思う。
彗佳の「おニイちゃん〜」(イにアクセント)という甘えたような、すねたようなボイスは、かなり脳髄にじんじんくる。ああいうしゃべりかたができるなんて、彼女は小さいころ「妹」となったその気もちを、ずっとそのまま、心のなかに大切にもち続けていたんだなあと思った。
ただ、あれだけ年齢のばらけた登場キャラたちだというのに、話があるのはかぎられている。

原画は癖があるが、肉感的でなかなかよかった。
意外に妹叔母のほうが、優しくて従順で、気遣いしてくれる。声も、年上の身近なおねえさんという、どこか親しみのある感じがしてよかった。コスプレもしてくれるし。

主人公の内面の告白に文章の多くが割かれており、好悪の分かれそうなところ。個人的には、説明っぽいというか、いいわけがましい感じがした。
登場キャラがばらけているので、きっと気にいる子はいると思う。
冬実の、消えいりそうな、はかなげな声はなかなかよい。

うぶな少年と、誘惑するお姉さま。この姿勢を終始崩さずに、二人の関係が進み、のめりこんでいくという過程を丁寧になぞっている。いろんなキャラ、いろんなストーリーがあるのはよいが、むらがあったり中途半端だったりするのよりは、嗜好にはまるのならこういうピンポイントのもののほうがよいこともある。

立ち絵に、ネットゲーのエモーションアイコンっぽい演出がはいっている。また目パチがあるあたり、がんばっていると思った。
なお、After Effects によるアニメは、あるにはあるが、おまけ程度の量。

「誘惑」とはあるが、女の子誘い、主人公受けというわけではなく、えっちシーンになれば、少女たちはふつうにビッチ化していた。
澪のえっちシーンがもっとも多くて、キャラごとに偏りがある。木村あやか嬢の演じる、由華の純心さ、天衣無縫っぷりは、まさにはまり役。

サブタイトルがあれげな感じだが、ストーリーはしっかり、しかも長いものが用意されている。ひとむかしまえのエロゲらしく、基本的に対象キャラの悩みごとを解決して関係を深めるタイプで、キャラごとのヴァリエーションもある。

低価格、DL 販売をターゲットとした作品だけあり、ゲーム規模もそれに沿ったもの。システム面に不備はなく、安定したつくりではある。対象キャラは 2 人だけだというのに、キャラごとに音声の音量セットができるのは、なかなかよい。
ただ、エロゲとしての品質ラインは保たれているというところで、プレイしてあっけない感は否めない。学園もののエロゲでやるべきことは一とおりやっており、低価格なのを勘案しても、損するものではない。

エロゲ原画にはめずらしい、リアル調を起用した異色&意欲作。だが、表情が硬いというか、表情が移ってきたという動きを感じづらく、まだまだ発展中という気はした。
妖艶な姉を、姉ものでは安定した演技をみせる金松由花嬢。控えめな妹を、同人でもよくご活躍中の伊吹雫嬢が演じている。とくに伊吹嬢の体あたりな演技は、羞恥心をぬぐいきれない感じがよくできていて、よかった。

才色兼備の優等生玲子が、不良っぽい沢田の手に堕ちていく、基本的には調教もののストーリー。彼の魔の手は、玲子の妹今日子にまで伸びていく。ひどいことが要求されるのだが、各行為はわりと淡白で次々と進む。それよりも、玲子今日子姉妹のあいだで、沢田のことをどう思っているのか話し合うところに単的に見られるような、女性キャラの内面が垣間見られるシーンにこそ、作者の真価があるように思う。
ただ、野外での行為でも、行儀よく全裸になっているのは不自然だとは思った。
なお、デビュー作が併録されている。おねえさんを描くと、ほんとうに綺麗だった。復活を望む作家である。