一陣の光's Review List

インクの濃さが際立つ、描き込みのコマなのに
読み手にスッキリとした印象を与える、稀有な
技量を持つ”駄菓子”先生、”comic X-EROS”へ
掲載された、五話構成の「いつもの・・・」シ
リーズと短篇四作品を納めた、単行本。
印象に残った収録作品は、仕事一筋で恋愛も碌
にしてこなかったヒロイン”溝口係長”と、男性
主人公”佐久間剛史”との『肉体関係』の始まり
を描いた「いつもの通勤路・前編」。キスの経
験も無かった”溝口係長”が、”佐久間”の濃厚な
セックスに翻弄されてゆく姿を、精緻に描いた
お話でした。
読んでいて感じたのは、インクの濃さが際立つ
コマなのにスッキリとした印象を読み手に抱か
せる、作画の技量。それが”駄菓子”先生でしか
表現できない独特なリビドーを、濃密な読後感
とともに提供している、と、感じました。
処女だったヒロインへ『快楽』という爪あとを
確実に刻み込む”駄菓子”先生渾身の一冊。良作。

新年度がスタート、緊張感ピークなこの季節”comic快楽天ビースト”2021年05月号でひと休み...。印象に残った掲載作品は、学生な男性主人公と年上・メガネな助教のヒロインはジョギング仲間だったけど脱童貞・処女を屋外で…”平間ひろかず”先生、父親の再婚で義妹ができた男性主人公と初対面が印象最悪だったのでツンツンしている義妹ヒロインとのラブラブ?セックス…”つかこ”先生、かって陸上部の先輩女子が今は温泉旅館の若女将に…”にこびぃ”先生などなど、充実の一冊。

ばいん・ばいんなオッパイと、コミカルで軽快
な展開・進行が堪能できる”オクモト悠太”先生、
主に”comic快楽天”へ掲載された、本巻・描き
下ろしを含む、三話構成の一作品と短篇七作品
を収録した自身六冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、女性係長”篠田さん”
の元で働く男性主人公。上席な男性課長のミス
も、冷静・冷徹に指摘する”篠田さん”を食事に
誘った男性主人公だったのですが……な、短篇
「ベストショット」。”篠田さん”へ食事の好み
を聞いたら「虫とかは食べられないわ」と即答
する彼女の正直で実直なお人柄がわかる、お話
でした。
読んでいて感じたのは、ヒロインのポーカーフ
ェイスに隠された、秘めたるリビドー。前述し
た短篇「ベスト～」や、付き合い始めたばかり
の彼氏のことを、女友達に報告・相談する短篇
「ぜんぜんワカラン」など、”オクモト悠太”先
生ワールドが味わえました。
読み味も読後感も軽快な、爽やかな一冊。良作。

ワニマガジン社系作家さんの層の厚さを実感できる”comic快楽天”2021年05月号。印象に残った掲載作品は、恋心と下心を隠し持つ男子図書委員と先輩メガネ女子…”えーすけ”先生、高評価な温泉宿を訪れた男性主人公に投げやりな接客の褐色・爆乳女将かと思いきや…”オクモト悠太”先生、とにかくヤリたい黒髪ロングなヒロインのモンモンとしたリビドーのはけ口は…”きい”先生、田舎の固定概念から抜け出せないヒロインの切ない想い…”翁賀馬乃助”先生などなど、腰を据えて読み込みたい一冊。

身近な関係性を取り上げたり、荒唐無稽な設定を
駆使したりとバラエティに富んだ作品世界が記憶
に残る”ミキトアモン”先生、短篇九作品を収めた
自身初の単行本。
印象に残った収録作品は、婚約者との結婚がまじ
かに迫った社長令嬢”久遠遥花”。彼女の父親が営
む会社に、世間を騒がす”怪盗K”から予告状が届
いて…な、短篇「THE phantom thief」。”遥花”
からの提案で彼女の処女を奪う”怪盗K”を華やか
に描いた、お話でした。
読んでいて感じたのは、身近な関係性を取り上げ
たり、荒唐無稽な設定だったりする、バラエティ
に富んだ作品世界。根底に抒情的な要素をキッチ
リと組み込んだ上での世界観なので、イメージが
散漫になることなく、まとまっているのが印象的
でした。繊細な絵柄が作品の世界観を支える一冊。

”comic快楽天ビースト”2021年04月号。印象に残った掲載作品は、吹雪でひとり取り残された男性主人公が出会ったのは雪山には相応しくない黒ギャルヒロイン…”雛咲葉”先生、先輩女子に決死の告白をし付き合い始めて半年の後輩男子が彼女から頼まれたのは同じ学部の子の処女を奪ってほしいという難題で…”ベコ太郎”先生、上京して三年の男性主人公は都会の水になじめず童貞をこじらせていたが久しぶりに少し生意気な後輩女子と再会して…”右端”先生などなど、新人作家さんマシマシ、な一冊。

年度末の忙しなさにブレークタイムはいかがでしょうか?、”comic快楽天”2021年04月号。印象に残った収録作品は、家業が共同浴場な男子主人公のクラスにモデル級の女子が転入してきて…”楝蛙”先生、人付き合いが苦手で童貞をこじらせている男性主人公が無理して参加した花見で後輩の女の子と仲良くなって…”Hamao”先生、リーマンな男性主人公の朝の日課はジムとコーヒータイムに朝型風俗の人気キャストとのひととき…”めえお”先生などなど、すき間時間が有意義になる一冊。

”井雲泰助”先生の初単行本「私が虜になって犯る」で
登場する”志穂”の、男前な行動と独特なセリフ廻しが
本巻でも楽しめる…「鯱」シリーズ・5と6に、そのシ
リーズとパラレルワールドな短編・四作品が収録され
た、自身四冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、本作のメイン・ヒロインは
”志穂”。同じ水泳部の男子主人公君が特訓していたの
で、おあずけだったエッチ。久々なので、快感に酔い
しれる二人を描いた「鯱」の5と6。
読んでいて印象的だったのは、独特なセリフ廻しでイ
ンパクトを放つ”志穂”。男前な行動力、なのではあり
ますが、ポイントポイントを確実に攻め、キッチリと
”志穂”を逝かせる男子主人公君に、べたぼれな一面を
見せる彼女が魅力的でした。
単行本化されるのを計算に入れた、各話の全体構成が
”井雲泰助”先生の世界観を紡ぐ、単行本四冊目。良作。

素描の確かな絵柄に圧倒的な描き込みを施して
独自の世界観を提示する”昼寝”先生、R18とし
ては初の作品を含む、短篇・八作品が収められ
た単行本。
印象に残った収録作品は、ガチムチがタイプな
ヒロイン”あかり”。なよなよした印象しかない
幼馴染”ゆうくん”に十年ぶりの再会を果たすと
彼はゴリマッチョに変貌していた……な、短篇
「帰ってきたゆうくん♂」。リビドー溢れるパ
ワフルなカラミが記憶に残る、お話でした。
読んでいて感じたのは、圧倒的な描き込み。素
描の確かな絵柄に施された描き込みは、読み手
にガッチリした印象の読後感を残すことに成功
している、と、感じました。
少年誌からの転向で、確かな爪痕を残した一冊。

少し前の時代背景を巧みに用いつつも、普遍的
な想いや感情を丁寧に盛り込み、描写してるの
が好印象な”高尾じんぐ”先生、表題作・第1話
～第7話と描き下ろしおまけを収録した、一巻
目。
印象に残った収録作品は、いつもお腹を空かせ
ているクラスメイトで野球部男子な”宮森航太”
からのリクエスト『豚汁』を、作ってあげるこ
とになった”高野真穂”…な、「第4話」。
読んでいて感じたのは、自身の絵柄との親和性
を考慮し、少し前な時代背景を巧みに構成へと
取り込んで、普遍的な作品の世界観を構築して
いる点。週刊少年サンデーや週刊少年マガジン
の全盛期を知る読み手には、郷愁をかきたてら
れる世界観に、それを知らない新たな読み手が
どの様な感想を抱くのか…に関心がむきました。