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この物語は基本的には淡々と進んでいきます。
　特に前半の方は、現在と過去の思い出の場面が交互に来ます。そのあたりは、体験版でも十分わかるでしょう。

　しかし、そうすることでプレイヤーの側にも登場人物たちの思い出が共有でき、それが後半の盛り上がりへとつながっていきます。
　プレイしていて、文芸小説のようだなとも感じました。
　あえて他作品の名を上げるなら「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に似ています。
　
　この作品に選択肢はありません、けれども、仮に主人公が別の道を選んだ場合を他のキャラの描写により暗示させています。
　それゆえに最後の主人公の“選択”に深く、静かで、きれいな海底のようなカタルシスを得ることができました。