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丁寧、かつ繊細な背景の描き込みを見ただけで、
”水原賢治”先生の、高度な技量・力量が感じら
れる、前・後編構成の一本と、短篇五本が収め
られた、作品集。
印象に残った収録作品は、母親がお出掛け。父
親はいつも通り残業、兄は部活、と、自宅で独
りきりな”和佳奈”。お部屋で、あるコトをシて
いたら・・・な「おるすばん」。夢中で自分の
カラダを慰める、正統派美少女”和佳奈”が記憶
に残る、お話でした。
読んでいて感じたのは、他の作家が、あまり細
かく設定を創り込まない、登場人物がおかれて
いる、社会環境や生活背景をしっかりと織り込
んだ上で、性の営みを描いている点。それによ
って、重厚な世界観となるものの、ヒロインの
キャラクターデザイン等、丁寧で繊細な画力を
もって描かれている絵柄が、キッチリと受けて
立ち、ストーリーにリアリティと存在感をもた
らしている、と、感じました。
数年間のブランクを経て、”水原賢治”先生が抱
いている、世界観が更に濃縮された印象の一冊。