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一人芝居の音声作品は、セリフのオウム返しや実況に頼らずに展開させることがとても難しいと思います。ですが、多用されすぎると没入感が薄れて興醒めしてしまうこともあります。これは映像や地の文を持たない「音声」というものの宿命だと思います。
この作品はその宿命を逆手に取っています。痴漢被害を告白させられ再現されるという、オウム返しと実況の多用がまったく不自然にならないシチュエーション。お見事です。

優しい相談員が寄り添ってくれることを期待して行ったのに、出てきたのは事務的でぶっきらぼうな男。悪人の匂いがプンプンします。このキャラクターが、現実にはありえない舞台設定に妙なリアリティを加えています。
時々背後で低く笑ったり吐息を漏らしたりするのですが、これがまた男臭くてとてもいいんです。白々しい聞き取り調査の合間合間に男の欲情が漏れ出てくる。いやぁエロいですね。

シチュエーションとリアリティが絶妙なバランスで噛み合った作品です。一作で終わってしまうには惜しいので、ぜひシリーズ化してほしいです。