作品紹介
鴉崎透眞(21)は、長身に低い声、短髪の普通の男子大学生だ。性自認も外見も男のまま、持っているのが女性器だけであることは、亡妻のあと二人で暮らす父・直哉(46)だけが知っている。カントボーイの息子を、直哉はこれまで「知っている」だけで踏み越えずにいた。
夜勤明け、鍵の掛かっていない浴室で、直哉は透眞が自らクリを責めている現場を見る。炎症の確認という名目が親指の圧になり、短い潮になり、検査という夜になる。射精できない焦りを父にぶつけた透眞は、「出せない代わりにここから出せ」と教えられ、初めて中出しを受ける。
表向きは親子、裏では直哉が時間割どおりに玄関で責める日常。家の中では名前が消え、残るのは役割と隠語と、豆を摘ままれた瞬間だけ漏れる甘い濁点。乞うまで挿入されない夜、奥まで届いた熱が周期を止めた。陽性を見たあとの怒りは涙と潮に変わり、抵抗の根拠だった妊娠が、離れない理由側へ滑る。
安定期、透眞は外ではコートで腹を隠す男のままだ。「俺は男だ。声も顔も、父さんの息子だ」と言い切ったうえで、この身体を知る人間が一人しかいないことを自分で認める。中出しは孕ませではなく確認儀礼になり、男の声帯のまま、穴だけが父親を覚えている。
夜勤明け、鍵の掛かっていない浴室で、直哉は透眞が自らクリを責めている現場を見る。炎症の確認という名目が親指の圧になり、短い潮になり、検査という夜になる。射精できない焦りを父にぶつけた透眞は、「出せない代わりにここから出せ」と教えられ、初めて中出しを受ける。
表向きは親子、裏では直哉が時間割どおりに玄関で責める日常。家の中では名前が消え、残るのは役割と隠語と、豆を摘ままれた瞬間だけ漏れる甘い濁点。乞うまで挿入されない夜、奥まで届いた熱が周期を止めた。陽性を見たあとの怒りは涙と潮に変わり、抵抗の根拠だった妊娠が、離れない理由側へ滑る。
安定期、透眞は外ではコートで腹を隠す男のままだ。「俺は男だ。声も顔も、父さんの息子だ」と言い切ったうえで、この身体を知る人間が一人しかいないことを自分で認める。中出しは孕ませではなく確認儀礼になり、男の声帯のまま、穴だけが父親を覚えている。





