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ゲーム自体は未プレイながら、ゲームとその楽曲の素晴らしさを度々聞き及び、ゲーム音楽好きの血が騒いで購入した。よって、以下に述べるのはBGMとゲーム場面が結びついたプレイヤー視点ではなく、曲のみに惚れた人間による感想となる。そのため、的外れなレビューになるかも知れないがご容赦願いたい。
さて、本作に収録されている楽曲はほぼ1曲あたりの長さが5分前後となっており、それがために音がどんどん増えてゆき、展開してゆく。イントロからは想像できないほどの転調や表現を用いて聴覚的な刺激によって視覚的なイメージが広がるような印象が強い。個人的にはいくつかのタイトルも相まって、空に羽ばたいてゆくような情景を思い浮かべた。
また、ほかに特徴としてはトランス・テクノ系ミュージック(間違えていたら申し訳ない)メインで作曲されており、耳に心地よいサウンドの響きがよい。この響きたちも徐々に増えてゆくことで、上述の表現の豊かさができている。
全て名曲故選ぶのは難しいが、個人的にお気に入りは「Icarus」と「First Encount」だろうか。
「Icarus」は、テクノらしいテンポから始まり、溜めに溜めたところで空間的な広がり、または解放感のあるメロディが翼を広げるように始まる。この前半部分だけでもよいが、後半ではさらにもう一段変化する。初視聴時、転調時の神々しさに思わず聞き惚れ、そのままぶっ飛んでゆくかのような曲展開に呑み込まれてしまった感覚を味わった。こんな経験はそうそう無く、貴重な時間を過ごせた。
「First Encount」は軽快に始まり、テクノやピアノなど様々なサウンドが溶け合って曲が展開してゆく。どこかもの悲しいパートがあったり、途中の転調で清澄なイメージの表現があったりと、場面ごとの変化がこれまた楽しい一曲であった。
本作はセルフアレンジ曲集となっており、サンプル紹介通り、主にバトル系の曲が揃っている。筆者個人にとってはゲームクリア済で知っている曲と、未プレイ故に知らない曲が等分に収録されており、プレイ時の感動と初鑑賞での衝撃の両方を味わえる贅沢な音楽体験が出来た。
いずれの曲も工夫を凝らし、こちらの予想を裏切るかのような作り込みであり、「こんな展開の仕方もあるのか!」「ここまで盛り上げてさらに盛り上げるか!」と、激しい旋律に心を弄ばれながら幸福な時間を過ごした。
恥を忍んで告白すると、筆者は音楽知識が皆無なため、的外れな文章となってしまうかも知れないが、以下にクリア済のゲームと今回初の曲から1曲ずつ選出し、寸評を述べようと思う。
クリア済からは、「Ground Dasher」がお気に入りである。元のゲームでは、各ヒロインたちの所謂覚醒シーンバトルで使用され、激情迸る疾走感が素晴らしい。
本作アレンジでは、静かな導入、鼓動のみのパートが晴れたと思いきや、いきなり「暴れ回ってやる」とばかりの激しい演奏が始まる。プレイ時の記憶が刺激され、各ヒロインたちの覚醒シーンを幻視してしまうほど夢中になってしまった。終盤の徐々に遠ざかって行くかのような締めくくり方はやり遂げた達成感が連想され、最後まで満足させてくれる傑作である。
未プレイからは、「Smash princess! eXeL」だ。どこか神秘的な出だしから始まり、熱いながらもどこか爽快感を思わせる。中盤過ぎ、盛り上げに盛り上げ、不意に全くの無音が差し挟むことで、かえって緊張感がマックスになるのもグッド。個人的には主人公と敵とが互いに最後の一撃を繰り出す場面を想起した。バトル曲における静・動の切り替えの妙を楽しめる、こちらもまた傑作である。
2016年01月11日
2015年12月19日