一陣の光さんのレビュー一覧

本来、嚙み合わない会話が、何故か成立している
ことで本作品ならでは、の、濃厚な旨味が醸し出
す”柚木涼太”先生、表題作・第8話～第14話、番
外編を収録した、二巻目。
印象に残った収録作品は、”小恋”から『ドキドキ
するトコロどこかおしえて』と聞かれ、真顔で性
感帯を答える”山田みのり”・・・な、第12話「や
まいは恋から」。
読んでいて感じたのは、発言している”小恋”本人
と、それを聞いている”山田みのり”との間にある
齟齬が、濃厚な旨味を提供している点。”小恋”が
無邪気に反応すればするほど、濃密になる旨味が
良いです。絵柄と内容のギャップが楽しい二巻目。

収まるところに納まった感のある、大団円
な結末を迎えた”小野中彰大”先生の表題作、
第33話～第38話(最終話)を収録した、六巻
目。
印象に残った収録作品は、”チヒロ”の告白
を受け入れた”クミカ”が、不慮のケガをし
た”チヒロ”へ、作った食べ物は・・・・な、
第38話(最終話)「一番大好きな」。
読んでいて感じたのは、永遠に続いてゆき
そうな作品世界。あとがきに”小野中彰大”
先生も書かれていましたが、一旦、ここで
〆させて頂きます、的な大団円がこの作品
らしくて好印象でした。
綺麗にまとまった、最終巻らしい、六巻目。

ストーリー・構成を創作する上で、幼馴染
という設定は、細かなニュアンスを改めて
描くことなく、ヒロイン・主人公の繋がり
を提示する事が出来、作者として利便性の
高い関係性と言えます。”渡井亘”先生の本
作ではあえて、恋愛関係へは行かない、と
宣言。その縛りの中で、原点回帰的な構成
をもって攻める、という描き方を試みてい
ます。
”真田 辰季(たつき)””後鳥羽 空良(そら)”
の二人を中心に、個性な登場人物を配した
アバンギャルド・四コマ。原点回帰の一冊。

オーソドックス、かつ地味な事務服の女性を
描かせたら、一番上手い、と個人的に思って
いる”あきなお”先生、雑誌”ビタマン”へ2011
年から2018年にかけて掲載された短篇八本が
収められた、単行本。
印象に残った収録作品は、残業の息抜きをし
ていたメガネの女性”主任”と”西谷”君。以前
から”主任”の太ももに触れてみたい、と思っ
ていた”西谷”君。彼女へお願いを・・・・な、
短篇「主任のふともも」。彼の脚フェチぶり
がインパクト抜群な、お話でした。
読んでいて感じたのは、”あきなお”先生の執
筆スタイルを確立した感、のある、構成力。
特に本巻は、雑誌掲載・初出から最大で七年
の間隔があるのですが、みじんも感じさせな
い、安定感がありました。安心・安全の一冊。

”桐原小鳥”先生の十八番『いきなり・同居』で、
本作は、その存在すら知らなかった、年の離れ
た兄・妹が・・・な、表題作の一巻目。
読んでいて感じたのは、周りのみんなに愛され
ている”飴ノ森 心(こころ)”の存在。かなりし
っかりしているようにみえますが、大きく抜け
ているところもあり、”飴ノ森 悟(さとし)”も、
彼女を突き放しているように見えて、兄として
しっかり支えているのが好印象でした。
愛されキャラな”心”が、かなり気になる一巻目。

短尺なのに、盛り込まれている内容は濃く、
確かな読後感をしっかりと残す”草野紅壱”
先生、表題作・全十八話と短篇二本が収録
された単行本。
印象に残った収録作品は、実弟”真平”のこ
とを、幼い頃から異性として意識している
実姉”璃千佳”。”真平”に、彼女が出来た事
を知った”璃千佳”の想いは・・・な、短篇
「ずっと一緒のあなたと私」。骨太な設定
ゆえ、短尺なのがもったいない、と、いう
感想を持った、お話でした。
読んでいて感じたのは、短尺ながらインパ
クトのある設定な、前述の「ずっと～」や、
表題作「妄想と現実の間で。」の、夢見が
ちな妹・弟と、己が欲望を真正面から捉え、
リアリストな姉、という設定からコミカル
に見える展開の中に”草野紅壱”先生が本来、
持ち合わせているクールな眼差しが感じら
れる点。ストーリーの骨格は、骨太でカッ
チリと出来上がっているので、長尺で読ん
でみたかった、という、感想を抱いた一冊。

作品全体が、ホンワカした暖かい空気感に
包み込まれている様な印象を、読後に感じ
た”ユユ”先生、表題作・1話～4話、番外編
二本を収録した、一巻目。
印象に残った収録作品は、一緒にいること
が自然になった”進藤卓”と”鈴木さくら”の、
いいところとわるいところ、が見えてきた
番外編「進藤くんとさくらちゃん」。
読んでいて感じたのは、お互い恋愛感情を
抱いてから、付き合い始める、のではなく、
周りから、はやし立てられて、何となく付
き合い始めた”進藤卓”と”鈴木さくら”の戸
惑いと、ときめきを丁寧に描き込んでいる
点。物語の始めからラブラブな作品が多数
を占める中、ひときわ、異彩を放っていま
す。いきなり始まる『恋愛育みストーリー』。

卓越した筆致で描かれる”東雲龍”先生
の女性キャラにウットリ、な、表題作
STEP1~7・全七話を収録した、単行
本。
印象に残る収録作品は、彼女いない歴
イコール年齢の、主人公”市原達成”と、
”朝比奈凛子”との、出会いを描いてい
る「STEP1」。
読んでいて感じたのは、ウブな男性で
ないと恋愛対象にはならない主義、と
いう考えの持ち主”朝比奈凛子”と、主
人公にきつく当たるものの、まんざら
でもない様子をみせる、バイト先の同
僚”さくら”との間(はざま)で揺れ動く
”市原達成”の心情を、丁寧に掘り下げ、
描写している点。ベテラン”東雲龍”先
生の揺るぎない画力が堪能できる一冊。

部分的に記憶を失った主人公へ、
感情移入しやすい設定が印象に
残る”サイトウヤフ”先生、雑誌
”ビタマン”へ2017年～2018年
に掲載された、表題作・全九話
を収録した単行本。
印象に残った収録作品は、記憶
が定かではないものの、主人公
”小池彰”の『カノジョ』だと言
い張る”江崎唯”から、処女を捧
げられる”彰”・・・な、第2話
「非公式彼女」。
読んでいて感じたのは、少しづ
つ明らかになってゆく”江崎唯”
の一途さから、次第に惹かれて
ゆく”小池彰”を繊細に描き込ん
でいる点。キャラクターデザイ
ンに正統派美人として”江崎唯”
が設定されているところも、記
憶に残りました。端正で清潔感
のある絵柄が、ストーリーを引
き立てている印象を抱いた一冊。

主人公やヒロインが置かれている
会社や社会での人間関係をキッチ
リと提示した上で、二人の関係が
より、親密になるトコロを描いた
”大嶋まなぶ”先生、”ビタマン”へ
掲載された短篇七本が収録された
単行本。
印象に残った収録作品は、会社の
飲み会で後輩の女子社員”犬飼”に
「私の処女捧げても悔いはない」
と言われた主人公”若宮”。深酒し
目が覚めたら、隣りに半身全裸の
”犬飼”が寝ていて・・・な、短篇
「飲んで飲まれて寝乱れて」。翌
日、”犬飼”がラブホで”若宮”へと
処女を捧げる展開が印象的な、お
話でした。
読んでいて印象的だったのは、主
人公・ヒロイン達が置かれている
社会環境をキッチリと設定した上
で、ストーリーが紡ぎ出されてい
る点。カラミへと至る、自然な流
れが上品に描き込まれていました。