レビュアーランキング:
-
(役に立った数:82件)
投稿数ランキング:
-
(総レビュー数:76件)
2012年03月26日
生きることに絶望して、目標も理由もなくして、それでも自分から死ぬことはできずに。
本当は前を向きたいのだと、願いを胸に秘めて漫然と死へと向かう。
そんな村と、それに出会った熱血気味な馬鹿の物語。
命という重苦しいテーマが正面にあり、それぞれがそれぞれの理由で、死を選ぼうとしています。
他人から見れば些細な、鼻で笑えるような内容であっても、当人からすればこの世の終わり。
そう思える事態は誰にでもどこにでもあって、一度つまずいてしまえば容易には立ち上がれない。
そこにどう手を差しのべるのか、差し伸べられた手をどうやって掴むのか。
描かれたのはそこかなと思います。ボリュームは中々で、描写も丁寧。
受験の失敗、人間関係、性の不一致。
自殺を考えるほど悩むのが理解できない人には決して合わないでしょうが、
プレイし終えたあとに優しい気持ちになれる、良い作品だと思います。
人が、「人に限りなく近い人ではないもの」を作り出したとき、それとどう向き合っていくのか。
心はどこにあるのか。どうして生まれてくるのか。同じであるのか違うものであるのか。
アイザック・アシモフ以来、SFというジャンルのメインテーマの一つとしてあるもの。
それを考えざるを得ない世界で、手を取り合う者、信じる者、拒絶する者、不器用な者達の物語。
平行する二つのシナリオは、はじめの頃は繋がりが見えず、共にコメディタッチに。
物語が進むにつれて明らかになっていくもの、悪意と陰謀、それでも消えない願いと想い。
その繋がりに気づいたとき、発された言葉に、涙が。
人とロボットの関わりというテーマが好きな人、また単純に物語が好きな人、これはいいものですよ。
個人的に反則だったのはノンノ。心の繋がりがあれば、形さえも大したことではないのだと。
2010年10月04日
理不尽な運命に翻弄され、命を賭した戦いに放り込まれてしまった少年少女達の物語。
ファクターそれぞれが抱える事情は悲劇的で、本人にとって切実な思いばかり。
己の命のために他者の命を食らうことを否定するか肯定するか。
正しい答えなどどこにもない問いを抱え、言葉を届けられないまま戦い合うことになるのが前半。
ようやく言葉が届き始めるも、それは時すでに遅く、というのが後半、ということになるのでしょうか。
個々の事情も、全体の物語も、最後まで悲劇的で、最後に見出した答えもまた儚く。
物語としては綺麗にまとまっていますが、救いを求めてしまうのは、私がまだ弱いからでしょうか。
あと、能力は作中で「超能力」と明記されており、伝奇的要素は特にありません。
2010年10月04日
当たり前に魔法がある日本で、その名の通りの魔法学園に通う少年少女の物語。
幼馴染との約束を守れず、ただ強さを求める少年と、彼を囲み支える友人達。
敗北と再会、強さの意味を見つめ直した少年が、大切な人の為、仲間と共に立つ。
王道でした。少年漫画的な、「お約束」レベルの完成された王道。大好きです、こういうの。
文章の粗い部分や、設定の足りなさもありますが、細かい事は熱さで吹き飛ばします。
同じく王道好きの仲間になら、文句なくおすすめできます。
…さて、一話完結だと思って買ったら続きがあったようなので、今から購入リストに入れますね。
2010年10月04日
作品内容にある通り、まさに理不尽な悲劇たる物語。何一つ悪くない状況での一方的な喪失は、心を抉ります。
物語の概要は、上の一行で全てになってしまいます。失って、それでも絆を掴んで折れなかった少女の物語、と。
その中で個人的に最も心惹かれるのは、前半の演奏シーン。独奏以降、描写から映像が見えました。
舞台の上で演奏する一人と三体が脳裏に浮かんで、ああ綺麗な音だな、と。
それだけに、以降の悲劇もより引き立ちました。評論家でも何でもないですが、十分な技量だと思えます。
語彙が足りなくて上手く表現できませんが、「物語」が好きな方は、購入してみてはいかがでしょう。
2010年10月04日
2010年10月04日
複数の神話用語を複合させ、タイトル通り「剣」に重きを置いた現代伝奇です。
日本神話やゾロアスター神話などの知識があればニヤリとしますが、無くても特に問題はありません。
個人的には、アンリ・マユの六悪魔や十握の剣等の妙にマニアックな選択に心をくすぐられました。
物語としては、戦いの中で記憶と大切なものを失った少年が、失ったことを思い出すまでの話、となりますか。
亡くしたものは取り戻せず、個々の思惑も上巻時点では未だ謎。
伝奇として、バトルものとしてかなり良い出来ですので、好きな方は下巻と合わせて購入してみてはどうでしょう。
音声朗読、書籍、ビジュアルノベルの三つの形式で作られた作品。私はビジュアルノベル派です。
内容は、東京下町を舞台に、実際の写真を背景に使いながら展開される物語。作品内容の言葉を借りれば痛快娯楽活劇。
細かな設定や難しい部分もあるように思いますが、そこを気にせずとも問題なくすらすら読めます。
二次大戦期、史実として日本やドイツが取り組んだオカルト研究に端を発する妄執を断ち切るための、
単純な勧善懲悪の物語として理解して、それで充分だと感じます。最終決戦は現在建設中のアレが舞台、というのもまた。
魅力的なキャラと舞台で繰り広げられる物語。興味のある方は是非に。
…きっと自分で思ってるより遥かにツン部分が少ないツンデレお嬢様が個人的にはツボでした。