彼女は、主人公が再開した時にはタイトル通り「ヤリマン」となっています。彼女自身が語る過去の交際していた期間において、キスをするだけで終わった高校時代と比較する語り口が印象的です。ただ、彼女自身は元カレである主人公に今でも好意的であるし、主人公のナニのサイズを貶めるといった表現は存在しません。
されど、彼女の処女はおろか、それ以外の様々な性経験は主人公ではなく大半は彼女の体目当ての男たちに弄られ切っています。その事実は変えようもなく、自身の選択によって生じた結果です。それこそがこの作品の肝であるようも無く、それ故に救いになっていると感じます。
最後で明かされる事実に、体目当て以外の人に彼女が初めて会ったと明かされる。曰く、その人が主人公除くと最も惹かれた男性の存在であると。こう言いながら、よりを戻した主人公と性行為の最中でその男性(その人とは別れる事情があったと語られる)の事を今でも思っている、と彼女は言う。言葉は主人公を間男と呼ぶが、内実は彼女が今までの空白で出来なかった事を埋めようという感情が滲み出ている。その事が自分は正しい選択を数年越しに始められた、という形で前述の彼女の再開するまでの空白への救いとなっている。私はその様に感じた。
長々と記述しましたが私が言いたいことを一言にすると、なんと背徳的で救われる二律背反なのか、という感嘆です。