一陣の光さんのレビュー一覧

個人的な話で申し訳ないのですが、R18な作品を読み始めた頃から、第一線で活躍されている『大御所』と表現してもよい先生の短篇や、絵柄そのものが新感覚と表現してもよい短篇、などバラエティ豊かなラインナップ。また、設定も少しクセのある短篇が複数、用意されていて楽しめました。読後に感じたのは”comic快楽天”の本誌とは読後感が明らかに異なる、読み心地が味わえる点。
腰を据えて読みたい一冊。

作品内の時間軸が錯そうしていますが、巧みに整理されて
いるので逆に、作品全体へと『うま味』を加えている印象
を読後に抱いた、”月本築希”先生・作画”チンジャオ娘。”
先生・原案協力の表題作、を、まとめた作品集。
印象に残った収録作品は、サークルの仲間”奈々”をオトコ
の毒牙から守る為、”希先輩”と共に、自らのカラダを捧げ
る”梨絵”・・・な、第3話。
読んでいて印象的だったのは、一部ではありますが、フル
カラー版とモノクロ版が併録されていて、美麗なカラー版
と、繊細な描線が堪能できるモノクロ版、という様な楽し
み方が出来る点。特に、”月本築希”先生の優れた作画・筆
致を確認出来る、モノクロ版が、記憶に残りました。良作。

シットリとした展開が記憶に残った”山田ワイト”
先生の短篇。
男性主人公”英くん”の幼馴染”凛子”は、図書委員。
彼に対して、素っ気ない態度な”凛子”の処女を頂
けるチャンスが”英くん”に訪れる・・・な、スト
ーリー。
読んでいて印象的だったのは、シットリとした作
品内の空気感。成り行きとはいえ、”凛子”の処女
を頂いた”英くん”がうらやましい、短篇作品です。

コミカルかつドタバタちっくな展開が”山田ワイト”
先生の個性を感じさせる短篇。
ヒロイン”井吹さん”は、テレビで見た『ロボコン』
に感銘し、目指すことにしたが、高度な技量を持ち
ながら、他の男子部員はエッチなモノばかり製作し
ていて・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、『サカリくん』のテ
クニックに翻弄されっぱなしな”井吹さん”。彼女の
崇高な理念が少しずつ曲折してゆくのが楽しい短篇。

スタイリッシュな絵柄と構成が記憶に残る”ジョニー”
先生の短篇。
養護施設でシスターをしている”レナ”に、降りかかる
魔の手・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、施設を守るため、自ら
のカラダを差し出すことにした”レナ”。薬物でキメら
れ、セックスの快感にハマってゆく”レナ”を、清廉に
描いていたのが、印象に残りました。高潔な短篇作品。

スタイリッシュな絵柄と作風が個性的な”ジョニー”
先生の短篇。
父親が事業に失敗。大金が必要になった女性アイド
ル”アズサ”は、事務所の社長に相談して・・・・な、
ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、オーソドックスなス
トーリーを、スタイリッシュな絵柄や作風が巧みに
払拭している点。
快楽堕ちしてゆく”アリサ”が記憶に残る、短篇作品。

アパートに住んでいる男性主人公が、隣室の女性、
アパートの大家さん、幼馴染の娘、それぞれから
処女を捧げられるハーレム展開な”綾伽ちよこ”先
生、表題作・第1話～第10話を収録した、自身三
冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、”御手洗浩二”が、隣室
の女性”佐伯さん”と、関係が出来たことを知って
以前から、彼のために守ってきた、自らの処女を
”浩二”に捧げる、幼馴染”凛”・・・な、「第2話」。
読んでいて印象的だったのは、始めから超展開な
飛ばし気味の進行ながら、そのことが、却ってハ
ーレム要素を前面に打ち出すことに成功している
側面がある点。
『勢い』が大切であることを、教えてくれる一冊。

異性との恋愛関係に今一歩、踏み込むことの
できない男性主人公やヒロインを繊細に描い
た”加糖あん”先生の表題作・第1話～最終話
(第10話)を納めた単行本。
印象に残った収録作品は、男性との恋愛関係
に奥手で、処女なヒロイン”三浦ほのか”。通
信販売で注文していた『大人のおもちゃ』が
手違いで、隣室の男性主人公”青木慶介”の手
に渡ってしまい・・・・な、「第1話」。男
性が苦手なだけでカラダは充分、完熟してい
た”ほのか”の処女を頂き、快感に目覚めさせ
る”慶介”がうらやましい、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、より深い快感
を与えてくれる”慶介”に、次第に惹かれてゆ
く”ほのか”を丁寧に描いている点。”慶介”も
キッチリ、反応を返してくれる”ほのか”に惹
かれてゆくのが、手に取るように理解できて
良かったです。
カラダから始まる恋愛関係もアリ、な、良作。

自身が、画風や作風を再構築していた時期の連載
ゆえ、ガラッと変わる絵柄について”あずせ”先生
が、あとがきにて語っていた、単行本化に合わせ
てタイトルを変更した、表題作・第1話～第8話
までを収録した、単行本。
印象に残った収録作品は、奥手で、女子友達から、
からかわれていたヒロイン”佳奈子”。セックスに
興味津々な彼女は、知り合ったばかりの男性主人
公”皿田敦”と、初めてラブホテルへ・・・・・な、
「第2話」。”敦”のリードで初体験する”佳奈子”
を丁寧に描いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、初めはセックスに
対する興味から始まった関係が、次第に”敦”への
関心へと変化してゆく過程を、繊細に描きこんで
いる点。一途に”敦”への想いを強くする”佳奈子”
が記憶に残る、”あずせ”先生の単行本なのでした。

ワニマガジン社系のオシャレな絵柄に、コミカル
なテイストを含んだ作風が記憶に残る”夏桜”先生、
短篇十一作品が収められた、単行本。
印象に残った収録作品は、付き合い始めて半年な
”葵ちゃん”と”星也君”。安心しきった表情で、ど
こでも寝てしまう”葵ちゃん”に、オトコとして認
識されているのか不安になる”星也君”・・・・な、
短篇「寝たフリまどろみタイム」。初体験を、心
待ちにしていた”葵ちゃん”が可愛い、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、ワニマガジン社系
作家さん共通のオシャレな絵柄に、コミカルなテ
イストを織り込んだ作風の独自性。前述した短篇
「寝たフリ～」が特に顕著で、爽やかな読後感を
堪能できます。後味・スッキリ、柔らかな短篇集。