一陣の光さんのレビュー一覧

『M』なヒロインと『S』な男性主人公を、伝統的
なNEO劇画な絵柄で描く、”なりた椿”先生の短篇
シリーズ第六弾。
離婚をきっかけにプロボクサーから転身して、今
は、スーパーで働いている男性主人公”名島”。そ
こにバイトとして入ってきた”綾崎初音”・・・な、
ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、こころの奥底に眠
っていた『S』が、目覚めてしまった”名島”の姿。
そんな彼を、精神的にも、肉体的にも受け入れる
『M』な”綾崎初音”との、巧みなバランス感覚が
秀逸かつ光る、重厚な読み心地の短篇作品でした。

『M』なヒロインを、伝統的なNEO劇画の絵柄で
描く”なりた椿”先生の短篇。
ヒロイン”ももか”は、他の女子に一番人気のある
”佐久間君”の彼女に。誘われて、初エッチに挑む
も、彼氏を受け入れるコトが出来ず・・・な、ス
トーリー。
読んでいて感じたのは、今となっては、伝統的と
いうかクラシカルなNEO劇画調な絵柄と『M』な
ヒロインとの相性の良さ。オーソドックスな短篇。

丁寧で繊細な描線で描かれた絵柄が、印象に残る
”びん美”先生の短篇。
近所に住む、幼馴染な”亮”と”志保”。思春期を迎
え、同性とつるむ様になり、疎遠になっていたふ
たりでしたが・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、始めは、男性経験
豊富なギャルを演じていた”志保”が、実は処女で、
初めてを”亮”に捧げていた、という点。それに気
づいた”亮”が、彼女の最初のオトコであるコトを
再度、確認している姿が印象に残りました。良作。

熱量高く、描きこまれたヒロイン”静流先輩”が
記憶に残る”隈吉”先生の短篇。
完璧超人で美女、校内の人気も高い”森島静流”。
そんな彼女に告白、お付き合いする事になった
”倉崎裕司”ですが・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、男性の”裕司”よ
りも積極的な”静流先輩”。いままで抑えていた
想いを実行へと移す、彼女の姿が印象的でした。

他の作家さんが、主題とはしないセンテンスを
盛り込む”虎助遥人”先生の短篇。
山登りに、のめり込む、男性主人公の”西くん”。
登山口で再会したヒロイン”森川さん”と入山し
たのですが、初心者な彼女に・・・な、ストー
リー。
読んでいて印象的だったのは、小さなテントの
中でカラミはじめる、二人の姿。妙なバイアス
に刺激されて励む、ふたりが印象に残りました。

褐色ヒロイン中心の作風から、新たな一面を創造
する新シリーズ・・・”桃之助”先生、表題作・第
一話。
幼馴染な男性主人公”ゆき”とヒロイン”菫”。深夜
に、ふたりして訪れた神社に伝承される物語には
・・・な、ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、本作中、”ゆき”が
”菫”の処女を奪うのですが、他の作家さんが余り
描かない、破瓜の描写が、丁寧に表現されていて
印象に残りました。今までにない、新たな一面を
創造する”桃之助”先生の新シリーズ・第一話です。

”文野さん”の内心が語られたことで、物語全体
の見え方が変化した”榎本あかまる”先生、表題
作・34個目～44個目(最終話)が収録された、
四巻目・最終巻。
印象に残った収録作品は、他者とのコミュニケ
ーションが苦手な”文野さん”。彼女の内心が明
かされた「41個目・MONO消しゴム」。
読んでいて印象的だったのは、ファーストイン
プレッションとは異なる”文野さん”。彼女の本
当の姿を知り、周りに人が集う様になる、最終
話・44個目が大団円に相応しい、まとまり方で
良かったです。
本音を言えば、もう少しだけ”文野さん”が文具
と戯れている姿を見たかった作品でした。良作。

家庭教師とその生徒という関係性に、セックス指導を
加味した設定が淫靡さを誘う”なんこつ鳥”先生の短篇。
三日前、彼氏と初セックスしたヒロイン”ユキちゃん”。
処女で、勝手がわからなった彼女は、彼氏を満足させ
られなかったコトを気にしていて・・・な、ストーリ
ー。
読んでいて印象的だったのは、手練手管を用いて、処
女喪失したばかりの”ユキちゃん”へ、セックスの快感
をカラダに覚え込ませる、家庭教師”牧田”の姿。ほの
かに、NTRの香りを漂わせる雰囲気が、印象的な短篇。

ほのかに、サキュバスな性向を漂わすヒロインを
意図的に清楚に描いた”豊咲”先生の短篇。
男性主人公”佐倉”の実父が、妾としていた女性の
子供であるヒロイン”茉依”。実父が亡くなり、腹
違いの兄弟である”茉依”を、引き取る決断をした
”佐倉”に性的衝動を抑えられない”茉依”・・・な、
ストーリー。
読んでいて印象的だったのは、男性主人公にのみ、
性的衝動が抑えられない性向を持つヒロインを意
図的に、清楚かつ処女として描いている点。なか
なかに、手練れな作家さんだと感じた、短篇作品。

『虫歯機能』を実装されたりと、どんどん人間化して
ゆく”ロボ”が、なかなかに苦労人な”柴”先生の表題作
16エピソードを収めた、三巻目。
印象に残った収録作品は、顔に広い”ロボ”が頼まれて
『おたのしみ会』の余興で腹話術を披露する事に、な、
「白衣さんと小白衣さん」。”ロボ”が、腹話術人形な
”小白衣さん”を・・・なんかシュールな絵面が楽しい、
お話でした。
読んでいて印象的だったのは、日頃、突き放した様な
言動をする”白衣さん”が、”ロボ”のことを家族と認め
ている点。
『じんわり』とやってくる、”笑い”が堪能できる一冊。