一陣の光さんのレビュー一覧

ほのかにNEO劇画の香りがする”内藤春人”先生の
短篇。
一目惚れした体育教師”根津”に告白し、付き合う
ことになったヒロイン”小西麻奈”。処女を捧げて
彼とラブラブかと思っていたら・・・な、ストー
リー。
読んでいて印象的だったのは、ストーリー展開も
含め、ほのかにNEO劇画な香りのする作風。ラブ
ラブ和姦が全盛のいま、個性的な短篇作品でした。

一冊まるごと『お姉さんショタ』でまとめられている
”森島コン”先生、二本構成の一作品と短篇五作品を収
録した、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、毎日、決まった時刻の電車
で通学している男子主人公”谷くん”。小柄な彼は、途
中の停車駅から乗り込んでくる、黒髪ロング・メガネ、
大柄なヒロイン”上原紫乃”の、巨乳で豊満なカラダを
圧しつけられる責苦(?)を味わっていた・・・・・な、
短篇「オシアイ×トレイン」。”谷くん”のことが以前
から気になっていた”紫乃”の積極的な行為で、その電
車に乗りにくくなった二人の今後が気になる、お話で
した。
読んでいて印象的だったのは、様々なバリエーション
で魅せる『お姉さんショタ』の真髄。オーソドックス
なスタイルの二本構成の短篇「反抗期ヌキのススメ」、
変形スタイルの短篇「金曜日にあいましょう」などは
あまあま、ではあるものの、しつこくないテイストで
まとめられていて”森島コン”先生の矜持を感じました。

インモラルな展開とやたら健全なセックス描写との
ギャップが印象的な”鉢本”先生、コミック・バベル
に掲載された短篇九作品が収められた、自身二冊目
の単行本。
印象に残った収録作品は、アダルト・ビデオの撮影
現場。”ミキちゃん(仮名)”と”ヤマダさん(仮名)”の
処女と童貞の初セックス、と、いうコトで始まった
撮影は・・・な、短篇「ビデオ撮ろうよ」。本巻の
あとがきで明かされる”ミキちゃん(仮名)”の実年齢
に少し驚いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、カラミの描写が意図
的なのか、すこぶる健全に描かれていて、状況設定
のインモラルさを強烈に読み手へ印象付けている点。
前述した「ビデオ～」でも、アダルトビデオの撮影、
という非日常な環境の中におかれた男・女が、お互
いのカラダで快楽を感じ合う姿の健全性はくっきり
と描かれていて、それが、かえって状況設定のイン
モラルさを読み手に意識させる導火線となっている、
というところに”鉢本”先生が提示する、構成の巧み
さを感じました。タイトル通りの稀有な一冊。良作。

何事にも真摯に取り組むヒロインを応援したく
なる”あずまゆき”先生、表題作・第7話～第13
話までを収めた二巻目。
印象に残った収録作品は、店頭に並んでいる商
品の知識を深めるため、ヒロイン”清水杏咲”と
彼女の女友達”中津川彩奈”の二人がエログッズ
と格闘している「第11話・ドキドキ商品研究」。
男性経験がありそうにみえた”彩奈”が、実は処
女だったことが発覚する、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、”櫻井護”の実父
が営んでいた『国道沿いにある謎の店』を実父
急逝の為、引き継ぐことになった”護”と、彼の
幼馴染で生真面目なヒロイン”清水杏咲”と切り
盛りしてゆく、という設定の妙味。いろんな切
り口で展開が見込める”あずまゆき”先生ならで
は、な、巧みさ・老練さが、印象に残りました。

仲睦まじい”きぬ”と”遥”の新婚生活を食べ物を通し
描く”崎由けぇき”先生、表題作・其ノ十六から其ノ
三十三までを収録した、二巻目。
印象に残った収録作品は、”きぬ”は、”遥”の希望で
ライスカレーなるものを作ることになるが、見たこ
とも食べたこともないので、”遥”の実家で食すこと
に・・・な、「其ノ十八」。裕福とは聞いていたも
のの、あまりにすごい、その実家に目を白黒させる
”きぬ”が可愛い、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、仲睦まじい二人。と
らえどころのない”遥”を、キッチリと掌握している
”きぬ”がイイ味、醸し出していました。ゆったりと
流れる、作品内の時間が味わい深い、二巻目でした。

清楚で美人なヒロインのキャラクターデザインが記憶
に残る”雛咲葉”先生、”comic快楽天ビースト”へ掲載
された短篇の後日譚的描き下ろし・一作品を含む、短
編十一作品を収めた、自身五冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、同じテニス部で高嶺の花な
”獅堂”さんに片思いしている”真島”くん。彼女に付き
合っている男子がいることを知り、落胆する”真島”く
んを励ます、同じ部活・クラスの”成瀬”さん・・・な、
短篇「恋愛アドバンテージ」。前から気になっていた
”真島”くんと付き合うことができた”成瀬”さんを応援
したくなる、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、実験的な設定にも挑戦
している”雛咲葉”先生。前述した短篇「恋愛～」のあ
る意味、鉄板・定番的な作風をしっかりと確立しつつ、
新たなる作風を発見しようとする姿勢に感銘しました。

ヒリヒリする状況設定と、その環境の中で精一杯に
『好き』という感情を守っていこうする登場人物へ
感情移入する”名仁川るい”先生、三話構成の一作品
と短篇六作品を収めた、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、授業後の時間を図書室で
潰す、ヒロイン”藤堂真由”と男子主人公”村城高弥”。
二人とも、家庭環境に問題を抱え、おなじニオイと
シンパシーを感じて・・・な、短篇「Afterglow」。
より深刻な状況にいた”高弥”に感情移入する、作品
でした。
読んでいて印象的だったのは、ヒリヒリする状況設
定の中で精一杯、自己と向き合おうとする登場人物
の姿。前述した短篇「After～」や三話構成の中篇
「トクベツアツカイ。」などカラダを交えるコトで
置かれた状況を束の間、忘れようとする男・女の姿
を煽情的に描いています。
ゴリっとした重厚な読み心地が味わえる一冊。良作。

こんなことを言ったら怒られるかもしれないですが、前身の”comic高”は末期、半ば空中分解・失速してしまいました。季刊化した”COMICアオハ”は紙面の充実に力を入れ、はたから見れば快調な滑り出しに読み手としては嬉しい限り。本号も、巻頭を飾る”消火器”先生の寸止めでリビドーたぎる処女ヒロイン、”背中が尻”先生の思い込みの激しいヒロインに目をつけられる男子主人公、”みかづち”先生のプリミティブな描線でシンプルに描かれた初々しい男・女の初体験ストーリーなどなど、長尺で読み応えのある短篇が満載。購読して後悔しない一冊。

時節にあったクリスマスネタあり、爽やかな青春セックスあり、過去の忘れ物を取りに行くストーリーあり・・・と、層の厚いワニマガジン社系作家陣が繰り出すバラエティ豊かな設定・構成が堪能できる”comic快楽天”2020年2月号。印象に残った短篇は、”Hamao”先生の王道な青春セックス。その完成度の高さに読後、うなること間違いなし。そして、”ひげなむち”先生・作画、”きい”先生・ネーム原案の郷愁誘う短篇。じんわりと後口の良い読後感がよかったです。

『にしし』と笑う、ヒロインが記憶に残る”のきん”
先生、短篇三作品を収録した、デジタル作品集。
印象に残った収録作品は、タレ目でハゲな、冴えな
いオジサンと、パパ活に勤しむヒロイン。が、金銭
的に厳しくなったオジサンが、ヒロインに別れを告
げると・・・な、短篇「リスタート」。他のパパ活
相手が、すぐにセックスを求めてきたりして、関係
が続かない中、義理堅く、相手のことを考えてくれ
るオジサンにカラダもこころもほだされたヒロイン
を繊細に描いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、ヒロインの表情。笑
顔を印象的に描いた”のきん”先生の巧みな技量を感
じました。確かな読み心地が記憶に残る一冊。良作。