一陣の光さんのレビュー一覧

”comic快楽天”2024年10月号。印象に残った掲載作品は、女性慣れしていない男子主人公”久保”が合コンに参加してすぐにヤらせてくれると噂のあるヒロイン”三宅”とお近づきに…”Reco”先生、男性主人公”下田”はハイスペック女性上司”宇佐美”が男を見る目が無く”だメンズ”ばかりと付き合っていることを知って…”楝蛙”先生、密かに狙っている男子も多いと噂のヒロイン”小見川つぐみ”とお付き合いしている男子主人公”金子”はただのセックスでは物足りなくなってパイズリを彼女にお願いしたら…”橙織ゆぶね”先生、処女で地味なルックスからクラスメイト達とイマイチ馴染めていないヒロイン”泉麻衣子”は男子主人公”下田”に誘われて念願の処女喪失を果たす…”南文夏”先生などなど。良質な短篇ばかりな”comic快楽天”2024年10月号でした。

リビドー強火な、少しだけ、様子のおかしいヒロインが
十八番(おはこ)な”オクモト悠太”先生、本巻・描き下ろ
しを含む、二本構成・一作品と、短篇・八作品を収録し
た、自身八冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”桜庭”は、同じク
ラスで気軽、かつノリの良いヒロイン”高野”と、誕生日
が同じ日と知り、二十歳になったお祝いに酒盛りしよう
と計画して……な、短篇「オトナデビュー」。たがいに
異性として意識していなかった二人が、童貞・処女卒業
へと進む姿を、微笑ましく描いた、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、”オクモト悠太”先生・お
得意な、リビドー・マシマシかつ、様子が少しだけおか
しいヒロインたち。短篇「きっとステキなお姉さん」の
ヒロインが代表的なキャラで、気がついたら男子主人公
を押し倒している流れは、”オクモト悠太”先生ならでは。
そんな展開なのに、コミカルで後口の良い読後感を残す
のもまた、”オクモト悠太”作品の特色かつ、ポイントな
のでは、と、感じました。
端正な顔立ちのヒロインが、内に秘めた強火なリビドー
を炸裂させ、カラむ。カラッとして読後感の優しい一冊。

”ホムンクルス”先生の短篇、控えめに言って最高でした…”comic快楽天”2024年09月号。印象に残った掲載作品は、普段は参加しない男性同僚との飲み会へ参加した男性主人公”雪村”が帰り道に女性同僚で後輩なヒロイン”日比野”を助けたことから彼女と”お近づき”になって…”ホムンクルス”先生、男子主人公”雨森”の陰キャ・引きこもり生活を心配した後輩でヒロイン”出雲”は…”玉ぼん”先生、男子主人公”伊波”は存在感が希薄なヒロイン”霧山”が気になって仕方ない…”オクモト悠太”先生、幼馴染な男子主人公”尾崎蛍”が告白されている現場に遭遇したヒロイン”種田桔梗”はその後”蛍”から告白されて付き合い始めるも…”小野未練”先生などなど。特筆すべきは”ホムンクルス”先生の短篇。この筋書きで”ホムンクルス”先生が描くヒロイン…、控えめに言って最高です。”ホムンクルス”先生ファン・永久保存版の一冊。

”ごさいじ”先生のカバーイラストと巻頭フルカラー短篇が”お宝”の予感……”comic快楽天”2024年08月号。印象に残った掲載作品は、脱サラして始めたラーメン屋台の店主な男性主人公が出会ったヒロイン”陽菜”は訳ありで……”楝蛙”先生、ヒロイン”千歳”は男子主人公”そーちゃん”が童貞いじりされて傷心・泥酔のお相手をしていたら……”層積”先生、三年ぶりの再会となった同窓会で男子主人公”田島”とヒロイン”綾川”が好きな気持ちを確認しあう……”南文夏”先生、男子主人公”永川”は同じゼミのヒロイン”穂高”から距離を感じて嫌われていると思っていたが……”かづき”先生などなど。ワニマガジン社のエース級な作家さんは勿論、初連載の作家さんにもキラリと光る短篇が多かった”comic快楽天”2024年08月号でした。

自分に自信が持てず、セックスを楽しめないヒロインが、
隣人な男性主人公や、女性セラピスト施術者との出会い
を通して、女体開眼してゆく姿を描いた”ぽちたろ”先生、
本巻・描き下ろしを含む三本構成の一作品、同じく二本
構成の一作品、短篇・二作品を収録した、自身初な単行
本。
印象に残った収録作品は、周りから浮かないことを信条
に生きてきたヒロイン”音無花”が、女性セラピスト施術
者”佐藤”のカウンセリングを受け、快楽に開眼してゆく
姿を100ページ超のボリューム感で濃密・繊細に描いた、
本巻・描き下ろしを含む、二本構成で100ページ超・特
大短篇「絶頂リフレ」。竿役とのカラミシーンで、ヒロ
イン”花”の表情と断面図とのシンクロした構図に、他の
作家では描くことのない描写力から、”ぽちたろ”先生の
破壊力を感じた、作品でした。
読んでいて印象的だったのは、登場人物のモノローグか
ら描く、心理描写の繊細な『ち密さ』。自らの矜持だっ
たり、社会的な”しがらみ”からイマイチ、快感・快楽に
のめりこめないヒロインが女体開眼する姿を、丁寧に描
きこんでいて、初単行本とはとても思えない仕上り、と、
なっていました。
前述した「絶頂～」の、100ページ超のボリューム感と、
破壊力ある描写から、満足感のすこぶる高い一冊。良作。

「タバコ」や「最上級のオーガズム」など、こだわりのテーマを軸に展開する短篇が多数、掲載されていました……”comic快楽天”2024年07月号。印象に残った掲載作品は、付き合っているオトコに影響されやすいヒロイン”カレン”が相席喫煙した男性主人公との馴れ初めを女子会で語る……”Hamao”先生、ヒロイン”遥”は受験生で彼氏な”いつき先輩”が合格できる様に願掛けとしてセックス禁止を申し出る……”桃雲”先生、野球部男子”越谷光正”は後輩でマネジャーなヒロインの”不破那奈”と彼氏・彼女な関係だけどセックスは”那奈”が主導権を握っていて……”スミヤ”先生などなど。特に”Hamao”先生が過去作から大いなる脱皮を進行させているのが記憶に残る、”comic快楽天”2024年07月号でした。

アンダーヘアや、サボっていて”プリン”になった茶髪など
『体毛』への並々ならぬこだわりを感じる”こやま滋”先生、
”comic快楽天”と”X-EROS”にて掲載された、本巻・描き
下ろしを含む、二本構成の一作品と、短篇・六作品を収録
した、自身初の単行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”てっちゃん”が、付
き合い始めてキスまでは許してくれてるヒロイン”綾心”と
その先へ進みたい一心で彼女に迫るも、拒まれて………な
短篇「絶対見ちゃダメ!」。お手入れをしていても直ぐに
もしゃもしゃとなるアンダーヘアを知られたくない”綾心”
の、乙女心がいじらしい、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、”こやま滋”先生の『体毛』
へのこだわり。各短篇における、男性主人公やヒロインの
設定によってアンダーヘアが、もしゃもしゃだったり、整
えられていたり、なかったり、と、絵面からの清潔感が配
慮されていました。また、短篇「一杯のラーメンと君」の
ヒロイン”南城”の”プリン頭”も、本筋には直接、関係ない
ものの、彼女のキャラクターが巧みに表現されていて、印
象に残りました。
少年誌的な絵柄の素朴さ・清潔感と爽やかなシナリオとの
マッチングもよく、爽快な読後感が堪能できる、初単行本。

しかりと構築された設定の短篇作品が多く掲載されていて、読み応えがありました……”comic快楽天”2024年06月号。印象に残った掲載作品は、隣の部屋に住むヒロイン”杏奈”が仕事帰りの泥酔した状態で男性主人公”小田”の部屋を急襲するのがお約束となり……”もじゃりん”先生、転勤が決まった男性教師と関係したことの快楽がカラダに刻み込まれたヒロイン”真島”が男子主人公”溝口くん”とのセックスで上書きされてゆく……”背中が尻”先生、男性主人公で教師の”東山綾乃介”はヒロインで生徒だった”如月美羽”と入籍するまでセックスしないと宣言し完遂するも二人のカラダは我慢の限界で……”西沢みずき”先生などなど。じっくりと読み込みたい一冊。

緻密で繊細な絵柄と相思相愛なメインキャラの関係性が
読み手へとホンワカした読後感を提供する”木瀬樹”先生、
”快楽天BEAST”と”WEEKLY快楽天”にて掲載・配信され
た、二本構成の二作品と、短篇・四作品を収録した自身
初の単行本。
印象に残った収録作品は、ヒロイン”桃”と男性主人公の
”山吹隼人”は、会社の先輩・後輩な間柄。胆力があり策
士な”隼人”と勢いで結婚。長身な”隼人”と小柄な”桃”と
の新婚生活は……な、短篇「Cross-stitch」。ゆっくり
と愛情を育んでいる二人が、うらやましくとも微笑まし
い、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、繊細で緻密な絵柄と状況
設定の妙味。前述した「Cross～」や”京アニ”の某作品
を連想・彷彿とさせる、短篇「エリュトロンの瞳」など、
ホンワカした優しい読後感が堪能できました。
初単行本ということで、今一つ、作家カラーが明確では
ありませんが、独自色が確立されれば『大化け』する様
に思われる作家さんだと感じました。要注目です。良作。

ヒロインの性的魅力や処女性に惹きつけられる男性主人公
を、斜に構えた視線と視点からあぶり出す”瀬尾日々照”先
生、"comic失楽天”と”異世快楽天”にて掲載・配信された、
二本構成の一作品と短篇・五作品を収録した、自身初の単
行本。
印象に残った収録作品は、アイドルとしての矜持を頑なに
信じ、アイドル活動をしていた過去を持つヒロイン”叶”が、
昔のメンバーふたりと共に、男性主人公”清水”と合コンへ
参加して『お持ち帰り』され、処女膜貫通………な、短篇
「ジャンクアイドル」。矜持の象徴ともいえる黒髪ロング
を切ろうと考える”叶”の、心の処女性を喪失する瞬間を描
いて締めくくられた、重厚な作品でした。
読んでいて印象的だったのは、元アイドルとか実姉なヒロ
インへ、男性主人公の性欲をたたきつけ、陥落してゆく姿
をカラミで描写する、斜に構えた視点と視線。陵辱を描く
ことが難しい昨今、精神・矜持への陵辱として描いている
”瀬尾日々照”先生のまなざしが、記憶に残りました。
基本、快楽堕ち。ではあるものの、ヒロインの矜持を破壊
してゆく展開から、ダークな色彩を放つ、重厚な初作品集。