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有名どころのBLゲームはかなりやってきたので、時には特殊な展開のあるジャンルのゲームであるということは理解しているつもりです。が、それにしてもあらゆる意味で始終痛々しい描写が続くので、いくら主人公の生い立ちが生い立ちであるからといって、普通そこまで痛みに快楽を見いだせるものなのだろうか、と進むにつれて妙に冷めた目でキャラクター同士の掛け合いを眺めている自分がいました。
声優さんの演技とスチルの美しさ、サウンドトラック、演出は素晴らしかったのですが、肝心のキャラクターとストーリーには、特段奥行きや意外性を感じることができなかったように思います。快楽主義者かつ退廃的な生き様を、何より主人公自身が受け入れているので、本来、読み手がキャラクターに寄せる希望や期待、物語の展開を予測する際のワクワク感のようなものは、周を重ねるごとに自然と目減りしていきました。今のままでいいというスタンスにしては理性的で行動的。でも痛みと傷は手放せない。私個人が物語に対して、いまいち奥深さを感じられなかったからかもわかりませんが、私には主人公がただひたすらに、M気質で中二病なだけの痛々しいカウンセラー気取りの人物にしか見えませんでした。痛みという負の要素の塊でしかないような感覚を快楽と呼ぶには設定が軽く、文章での描写不足も否めなかったような気がします。
バイオレンスな内容のものがいい、と言い切れる人には間違いなくお勧めですが、物語の重厚感や読み応えを重要視する方には不向きであろうと思います。