舉報鑒賞

DLsiteのボイスドラマによくある甘いラブストーリーや濡れ場のエロティシズムにこだわった作品に比べると、読後感をどう表現したらいいのかわからない中編小説のような印象を受けました。むしろ、ストーリーテリングが中心で、濡れ場の存在感が弱い作品です。
主人公の極めて長く、頻繁に飛び出す心理描写は、導入部をさっさと飛ばしたい人には異常に長く感じるかもしれませんが、それがあるからこそ、三日坊主で奇妙な妄想を繰り広げ、衝動的に行動しがちな思春期真っ只中の男子高校生のイメージが定着するのだと思います(単に派手な表紙が描く説得力のない人物像ではない)。
攻めの登場が遅いことと、これまでの展開で攻めの心理が描かれていないことから、ノンケであるはずの攻めの心の中で、初体験の後に受けが同棲相手から恋人に急変したことが、コミュニケーションの相手が見つからない世界で安らぎを求めた結果なのか(例えば吊り橋効果のようなもの)、正真正銘の恋愛感情なのか理解に苦しみます。
今のところ、夜になると黒い影が現れ、他の人たちが完全に消えてしまった理由は、まだ知らされていません。最終トラックはまるでバッドエンドのようですが、後編の発売予告も公開されていますし、今後、世界の真実を解き明かし、登場人物二人に真の幸せを届けてくれることを期待します。