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「メイドのおしごと。最終章」 へのレビュー

    • 2023年12月08日
      レビュアーオススメ!
      あるとすれば現実と夢想の差かと思いました。
      一種のSF小説的手法として「母親みたいなメイドを持った少年」と言う大前提だけが現実離れし、世間の風当たりや未熟な男子の短慮など他の要素は極力リアリティを求めた思考実験のような筋書きを作者様は目指しておられたと感じました。
      一方で、一部読者層は「母親みたいなメイドとの淫蕩生活」と言うまぶしい光源に惹かれていたのも事実で、リアル志向が産む影の部分にまでは目に入っていなかったか、あるいは見ないふりをして夢想を突き通して欲しかったのかもしれません。
      本作は良くも悪くも埋まらない溝が可視化された作品でした。

      近年のバイトテロと呼ばれる浅はかな行為のネット拡散が頻発した事象を鑑みれば痛いほどにリアリティのある内容でした。
      痛すぎて現代劇的ホラーのテイストすら感じました。
      しかも、それらは身に覚えのない通り魔的怪異ではなく、呪いの祠を面白半分で壊したとか、肝試しで禁足地に不法侵入したとかに類する身から出た錆だとシリーズの読者なら熟知しているので余計に苦しい内容でした。
      でも、だからこそ文学作品としては非常に濃密に仕上がったと個人的には思っています。

      もっとも、二人の慕情は見事な読み応えの反面、重すぎて抜けるかと言うと個人差があるかもしれません。
      美少女ゲームでも俗に言う泣きゲーと抜きゲーに分断されるように、複数回のHシーンこそあれど本作は後者には程遠く、泣きゲーの系譜を連想しました。
      ゆえに、絶体絶命の状況だからこそ辛い現実を忘れようと熱く愛し合う、いわゆる現実逃避性交の説得力は凄まじく、そこだけを目当てに買っても値段分の価値はある作品でした。

      8人が役に立ったと答えています

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