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【作品内容】
ページ数:46頁(表紙等含む)
表紙のみAIを一部利用しております。
荒々しい罵声と狂喜の声が渦巻き、まるで地鳴りのようにリング全体を震わせていた。観衆の視線は、一斉に奏へ突き刺さり、彼女の羞恥と怒りを煽っていった。
奏は、その荒々しい罵声と狂喜の声を正面から受け止めながら、先程までの戸惑いを振り切ったかのように――。
ダダダッ!!!
一気にサキュバスとの間合いを詰めるように踏み込み、高く跳び上がった。
「はぁあっ!!」
ドカァッ!!!
戦闘訓練で鍛え抜かれた奏の――。突き出した両脚が、サキュバスの胸をドロップキックで蹴り飛ばした。
ダダダァン!!
サキュバスの身体は後方へ弾かれ、前倒しにマットに叩きつけられると――。
「ヤァアアアアアアアッ!!!」
すかさず奏は、うつ伏せに倒れたサキュバスの背中に跨り、顎の下に腕を回して後ろから引っ張り上げると――。背骨を反らせる関節技、キャメルクラッチを極めた。
ググググ……ッ!!
だが、下から覗くサキュバスの横顔は、苦痛に歪むどころか艶やかな笑みを浮かべたままだった。
「はぁん……? 背骨がきしむ、この感じ……っ こういう苦痛も、たまには良いわねぇ~? もっと強く引っ張りなさいよぉ~?」
「くっ…! それじゃあ、望み通りにしてあげるわ…!!」
奏は覚悟を決め、サキュバスの背骨を折るつもりで、さらに力を込めた。
「でやぁあああああああああっ!!」
だが、その背後から――。蛇のようにしなやかなサキュバスの尻尾が忍び寄っていた。
ぬるっ…ぬるっ…ぬちゃり…
「!!」
その背中にひやりとした感触を覚えた瞬間、奏は反射的に力を増した。
ググググググググ……ッ!!
「くっ……! 絶対に……折ってやる!!」
しかし、サキュバスの狙いは、技からの脱出ではなかった。
艶めいた笑みを浮かべながら、尻尾の先端は奏の背中をまさぐり、戦隊スーツの繋ぎ目――。脱着部分を探っていたのだった。
「さぁ~て、どこかしらぁ? 奏ちゃんを緊縛しているスーツのチャックは?」
「……!!」
戦隊マスク及び戦隊スーツは、変身ブレスレットによって脱着が行われ、変身者本人の意志によってのみ操作できる仕組みになっている。
しかし、戦闘中に負傷した場合や意識を失った場合など、緊急時の対応を考慮し、他者による脱衣も可能とされていた。応急処置や手術を受ける際に、迅速にスーツを外す必要があるからだ。
そのための機構は、首元――。通常は戦隊マスクに覆われた部分に、巧妙に隠されていた。
だが今は、露わになった奏のうなじに、そのロックされた状態で小さな専用ボタンが存在しており――。ロックを解除して、それを押せば背中に縦のファスナーが現れ、ウェットスーツのように背中から下へと脱ぎ下ろすことができる。
知る者にとっては、明確な弱点とも呼べる部分だった。
(っ……!? まさか……それを……!)
奏の背に、冷や汗が伝った。
【体験版に続きが、もう少しあります!】
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