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作品内容
泥の水溜りから
いつも僕らは見上げてた
そして今も一人
僕は空を睨み見上げる
ゲームセンターの騒音が頭の中を滝行の様に空白に置き換えていく。
クレーンゲームのアームが縫い包みの耳をつかんで離さない。
こういった類の商品は、店舗で購入するにははばかられるし、
かといって、ネットで購入履歴を残すことも億劫だった。
クレーンゲームでたまたま取れた。
そんな面倒な言い訳を抱えるくらいには、自分の風貌に縫い包みが
似合わないことを俺は自覚していた。
手に入れたからと言って、部屋に飾るなんてことも到底できないのだが、
掴まれた縫い包みがスムーズに対角線に移動し、
景品取り出し口までのストレートラインへとその挙動を変える
縦揺れを乗り越えた時、直観は確信へと変わった。
「勝った」のだと。
その僅かな勝利の報酬さえも、日常が奪ってしまう事を
俺は知りもしなかった。