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「吸血鬼は鏡に映らない」 へのレビュー
2023年11月21日 すみれの庭 さん
このレビューは参考になった x 2人
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鏡をキーワードに展開していく吸血鬼のアルベール(元人間)と人間の女の子小鳩ちゃんのお話。 感情が失われている吸血鬼でも恋をするのか、という話から小鳩ちゃんの想い人が自分だということがわかり本気で動揺している様子にアルベールが彼女のことを出会ったときからずっと「9歳の小さなお姫様」として接しているのがとてもよく伝わってきます。 気軽に頬にキスをするのも海外育ちの彼にとっては普通だったり、ハグや添い寝もよくよく聴くと好きな人にというより小さな子を可愛がる雰囲気かなあと。 小鳩ちゃんはもう18歳。日本で育った思春期真っ只中の彼女がアルベールにあんな接し方をされていたら恋心を抱いてしまうのは無理もなく。 子供だからと蔑ろにすることもなく小鳩ちゃんの気持ちを丁寧に掬い取って向き合うアルベール。 彼女の恋心が成就することはありませんがお互いを大切に想ってるのに愛情の種類が違うだけでこんなにも苦しいなんて。 この先長い人生の中で彼女が直面するであろう様々なことに対して何を選び取ろうとどんなことがあっても必ず味方でいるという気持ちは彼から小鳩ちゃんへの「愛してる」そのものだし、そのメッセージの受け取り手が子供ではないけど成熟した大人でもない18歳の女の子であるというのが本当に絶妙で。 どうして小鳩ちゃんが彼にとっての特別なのか、鏡であるということはどういうことなのか、彼女にも伝えていない本当のことが聞ける独白トラックで是非彼の心の内をお確かめください。 全て聴き終わった後にプロローグを聴くとあの短いセリフの中にアルベールの深くて大きな愛を感じてまたぐっときてしまいます。 切ないけれど色々と想像の余地があるシナリオ、小鳩ちゃんを慈しむ気持ちや彼女の表情が見えるような三橋さんのお芝居が本当に素晴らしかったです。 暫くアルベールと小鳩ちゃんに思いを馳せて泣く女になります。 素敵な物語をありがとうございました。
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