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「【ASMR】君とアルデラと小さな書斎【筆記音・耳かき】」 へのレビュー

    • 2023年12月29日
      レビュアーオススメ!
      ロゴにあしらわれたガラスペンの多彩な役割に感心しました。まず、ガラス製のペンは異世界の書斎に似つかわしく、室内の雰囲気、差し込む光の明るさを鮮やかに演出しています(イラストを見てください。そうそう、こうやってアルデラの横顔を、踊る筆を眺めていたんだと思える、すばらしいイメージです)。すき透るペンはアルデラの透徹を象徴して、魔術式を綴る筆記具としてお話にも深く絡み、帰還の術式が完成した際は再会を約束する大切な贈り物にもなります。音の快感だけでなく、舞台、ストーリー、キャラクタといった複数の要素をひとつのアイテムに託す洗練に唸らされます。

      定番の耳かきも、お互いの世界について教え合ううちに耳かきを知ったアルデラが日頃の手伝いへのお礼にしてくれる、というのがいいですね。「してもらうのが気持ちいいんでしょ」と彼女は言いますが、「誰かに淹れてもらうとお茶がおいしくなるね」とも語っています。異世界の相手を知りたい気持ちがきっかけとなった、受けたやさしさに応えるあたたかな交感が、ごく自然に描かれます。

      一緒に重ねた時間をさりげなく示す手つきもこなれたもので、以前交わした会話、旅の思い出が端々に忍ばされ、再生時間以上の広がりを感じられます。ふたりで過ごした時間を「茶葉の減り」という具体的な描写に落とし込んでいるのもぐっときました。別れ際には、アルデラが打ち明けるような名残り惜しさが、一緒にいたい切なさが、しっかり胸に芽生えています。

      自作だという効果音は謙遜にはあたらない出来栄えで、筆記音と耳かきはもちろん、足音や紙をめくる音にも動きに即した「表情」が丁寧につけられています。来夢ふらんさんの穏やかな声も、のんびり屋で豊かな知性を秘めたアルデラにぴったりでした。

      丹念に磨かれた琥珀のような完成度の高い作品です。作者のアルカリコさんの手がける新作が、がらくた図書館の書架に並ぶ日を心待ちにしております。

      2人が役に立ったと答えています

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