刺・トリアングル

『真珠と珊瑚』
革命は成った。赤軍の勝利とともに。
ロシア帝国軍の将校・イワンは仲間を失い、自らの命も危うい。意識が遠のく中で彼に手を差し伸べた女性はまるで天使のようで...
一方革命軍に身を置くディミトリは、白軍の将校を逃した件で上官から叱責を受けた。将校を探すべく、聞き込みをしに叩いた扉の向こうで待っていたのは何とも美しい女性であった。

『精神病院から来た手紙』
精神病院の患者である老人が晩年にしたためた手紙。
その内容は、その昔まだ若い時分に、美術品の蒐集をしていた彼が体験した、フランス革命期のとある貴婦人の肖像をめぐるとても奇妙な出来事であった。

『ノーメンクラトゥーラ』
ソ連が戦禍を免れていた1930年代。
社会主義体制における事実上の貴族「ノーメンクラトゥーラ」であるディミトリは、フランス大使の娘であるお転婆な美女、カトリーヌと交友を深めていた。
一方、没落した旧貴族の血を引く青年イワンは、貧しいながらも友人と作家になる夢を追いかけていた。ある日、彼は黒塗りの高級車に乗った美しい女性と運命的な出会いを果たす。


同じ国・同じ時代に生まれた二人の青年の人生は、一人の美女を巡って、交差し絡み合ってゆく。
ロシア革命後のソ連を舞台にした、三人が繰り広げる三角関係。
少し違うけどどこか似ている、パラレルな三つのショートストーリー。


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