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- (6.98MB)
作品内容
唯一頼れる相手が、いちばん疑わしいかもしれない――記憶喪失から始まる、危うい溺愛サスペンス。
事故のあと、澪が失っていたのは“数か月分”の記憶だった。
白い病室で目を覚ました彼女の前に現れたのは、端正で、静かで、息が詰まるほど整った男――久世朔也。
名門・久世家の嫡男であり、大企業グループの次期当主と噂される彼は、迷いなくこう言った。
「安心しろ。君は俺の婚約者だ」
記憶のない澪にとって、その言葉は救いだった。
家にも、仕事にも、事故の前に誰を信じていたのかにも確信が持てない中で、朔也だけがぶれずに自分を守ろうとしてくれる。
静かな療養先、整えられた生活、必要以上に外へ出さない配慮。
体調を気づかう低い声。
触れるか触れないかの距離で差し出される手。
――やさしい。
なのに、どうしてこんなに怖いのだろう。
澪は少しずつ違和感を拾いはじめる。
消えているはずのメッセージ履歴。会うことを止められる知人たち。
事故の夜を尋ねると、ほんのわずかに硬くなる朔也の目。
婚約者だと言うわりに、彼は肝心なことだけを言わない。
やがて澪は知る。
自分の事故は、ただの不運ではなかったこと。
そして、朔也が隠していたのは、婚約の真偽だけではなく、自分を狙う理由そのものだったことを。
守るための嘘か。
失いたくないから閉じ込めるのか。
彼の愛は本物なのか、それとも都合のいい世界を維持するための檻なのか。
疑いながらも惹かれてしまう。
逃げたいのに、彼の声がすると足が止まる。
思い出せないはずの恋が、記憶の外側から澪を揺らしていく。
これは、忘れてしまった恋を“思い出す”話ではない。
いちばん疑った男を、それでももう一度、自分の意思で選び直す物語。
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この表紙はAIによる画像生成で作っています。
一ノ瀬 澪(25)
- 文化財団の事務職。事故で直近数か月の記憶を失う。
- 弱点:人に迷惑をかけることへの恐れ、状況を飲み込むのが遅いときほど黙り込む。
- 望み:思い出すことより、ちゃんと自分で選べる状態に戻りたい。
久世 朔也(30)
- 名門・久世グループ次期当主。公では冷静で短く断定、私では低く静かに守る。
- 性格:寡黙、理性的、不器用、失うことへの恐れが深い。
- 支配:言葉より環境。人員配置、住まい、動線、情報量で澪を守り、逃がさない。

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